2013/12/27

12月27日 リスボン

12月27日(金曜日)

夜中より、ますます目の状況が悪くなる。目ヤニではなく、膿が出て、それが目の周りで固まってしまい目が開けられなくなってしまった。これはヤバい状況です。洗面で目を水で洗い、やっと目が開いたと思ったら、かすんで何も見えない!!!


ムスカ 曰く:「目が、目が!!!!!」

の世界に突入してしまいました。

6時、旅行出発前日に契約した損保ジャパンの旅行保険のオフィスに電話する。Skypeなので、とりあえず東京事務所へ…。電話に出たオペレーターのお姉さんは、電話代が高いならかけなおそうかと提案してきたが、Skypeは市内電話より安いので特に気にしていない。そもそも、SkypeInの番号をとっていないので、電話番号が無いので受信できないのです。

救急か、通常かを聞かれたので、「生命に直ちに危険はないから、病院が通常開業してからの受診」を希望した。リスボンには損保会社が契約した日本人医師のクリニックがあるから、そこで受診するか、それとも好きな大病院に行ってあとからレシートを保険会社に送って清算するかなど聞かれる。普通の病院に行って、ポルトガル語しか話せないドクターが出てきたら「通訳サービス」を付けてもらう必要があるし、そもそも手術とか仮にもなった場合に、医療英語を話せないので医師が英語を話すとしてもクリティカルなときは困ることになる。

「日本人クリニックで眼科を見てくれるならそちらで」「そうでなければ、日常会話英語をポルトガル語に通訳するサービス」のどちらかおお願いする。

ポルトガルの現地事務所(?)がアレンジして、10時過ぎに折り返し連絡をくれるそうだ。とりあえず、ホテルの電話番号を教える。

目の状況がこれ以上悪化させないように、外に出るわけもいかず、ホテルの部屋を暗くして悶々として10時を待つ。10時15分になっても電話がかかってこない…。 忘れられたのかと思い、督促の電話を入れる。結局、10時45分ごろに損保会社から電話がかかってくる。「日本人医師のクリニック」で「眼科も見てくれる」手配をしたそうで、予約時間の14時30分に来てほしいとのこと。

『Clínica Tsuchiya, 15 Avenida Defensores de Chaves 1000-109』 の大阪というレストランの上

GoogleMapで見たら、ホテルから歩いていけるサルダーニャ駅のすぐ横だ。一昨日、エントレカンポス駅近くの闘牛場を見に行くときに通ったところだ。現地に行くのは楽勝だ。

さて、診察時間まで4時間近くある。まず、ホテルの前にある中華料理屋で昼食。牛肉と野菜のいためものと焼き飯で6ユーロ。食後、ホテルの前のバス停に人が集まっているので、もうすぐバスが来るようだ。すぐに760系統のバスがやってくる。バスに乗り込み、1日券がほしいといったが、なぜか1回券を売りつけられる…。運転手は「one」しか理解できないようだ。「one dia billet」とか、ポルトガル語で「日」を意味する単語を無理やりくっつけないとだめなのだろうか。

■ Gomes Freire 11:31 → Martim Moniz 11:35 (バス760系統 1回券 1.8ユーロ)

マルティン・モニス広場にはトラムの始発駅があり、待機中のトラムが道の真ん中に停車している。車体正面のど真ん中に韓国サムスン電機の社名広告が入っている。こういう名前を売るだけのための宣伝は趣味悪いなぁ…。

広場の東側には、中国商場があり、地下鉄駅につながる地下道からビルの中まで、中国直輸入の衣料品や雑貨を売っている。世界中に中国商場があるが、中国人は商魂たくましいね。たぶん、著作権とか商標とか「細かいこと考えず」に買うのなら、なかなか便利な所じゃないだろうか。ここにはインド系の人も店を出していて、時計や携帯電話、SIMカードなどを売っていた。

トラムの始発駅に大量の欧米系観光客が並んでいる。トラムに乗って、何かいいことでもあるのだろうか。行列に並んでトラムに乗ってみることにする。吹き降りの雨の中、トラムの窓が曇っていて景色などほとんど見えない。それよりも、定員オーバーじゃないかと思うほど詰め込みまくって、さらに各駅から無理矢理乗り込んでくるので、乗車という苦行じゃないかと思えるような路線だ。あとで、地図を見てみると、28系統トラムはリスボン城塞の丘の周囲をぐるっと回る路線のようだ。


旧市街の路地を登る12系統のトラム

トラムは丘の細い路地を起用に登ったり降りたりしている。台車1台の車両なので、急カーブを器用に曲がっていくことができるようだ。

■ Martim Moniz 12:15頃 → Rua Da Conceição 12:50(トラム28E系統 1日乗車券 6ユーロ)

■ Praça Figueira 13:15頃 → Gomes Freire 13:20 (バス760系統 1日乗車券 6ユーロ)

そろそろ診察の予約時間が近づいたのでホテルに戻る。その前に、ホテルの1階にあるカフェで、ポルトガル菓子とコーヒーで休憩(2.5ユーロ)。

14時ごろホテルを出て、サルダーニャ広場へ。GoogleMapでOSAKAレストランのある建物はすぐにわかるが、そのビルの1階に「Clínica Tsuchiya」という看板が出ていないようだ。ビルの入り口のベルのどれを押せばよいのか、さっぱりわからない。ちょうど郵便局の職員が配達にやってきたので、聞いてみる。やはり2階にあるようで、連れて行ってもらう。


このビルの2階に土屋クリニックがある。1階のOSAKAレストランの看板…(笑

診療所に入ると、院長の土屋先生がちょうど奥から出てきたところだ。ポルトガルで、日本語が通じるというのも何か不思議な感じがする。土屋先生は麻酔科が専門で、西洋医学のポルトガルで「医学的に説明のつく針治療」の権威でもあるらしい(と、Googleで検索すると出てくる)。先生曰く「東洋医学の神秘的なものでは、科学的な説明がつかず、西洋では医療と認められない。麻酔科のドクターとして針治療を西洋医学として行っている」そうだ。確かに、日本や中国の鍼灸治療の現場では、「気」とか「流れ」とか科学的に説明がつかない解釈が主流で、物理化学で説明を付ける西洋医学とはどうも相互乗り入れがむつかしいと私も思う。

で、土屋先生は「家庭医」としての今回のご担当で、専門医の先生を同時に呼んでくださっているようだ。(私の認識ではそういう風に解釈している。普通は、家庭医がまず診察し、それから専門医を紹介したり、大病院に転院させたりというのが西洋風のやり方)

14時半になり、カスカイス先生(女医)がやってくる。土屋先生が私を問診した結果をポルトガル語でカスカイス先生に伝えている。カスカイス先生の診断では、『私は風邪をひいていて、目と鼻をつなぐ鼻涙管が閉塞している」とのこと。処方は、「抗ヒスタミン錠剤Claritineを1日2回1個ずつ、抗生物質錠剤Azitromicina1日1回1個、目の炎症の点眼薬Clorocilを6時間ごと2滴、鼻涙管閉塞の点眼薬Neo Siwedrna」の4種類。昨日薬局で買った点眼薬は目を洗う機能があるので、まずそれを点眼してから、今日処方した点眼薬を使うようにとのこと。


処方薬 (15ユーロです)


カスカイス先生が書いた処方薬の用法

診察料は損保会社に直接請求が行くらしいが、処方薬の費用は私がいったん支払って、レシートを日本の損保会社に送付すれば100%返金されるそうだ。

日本も、こういう家庭医制度にすれば、「症状ごとに医者を探す苦労」や「会社を休んで大病院の診察に並ぶ」というようなことを頻繁にする必要が無いのにと思う。厚生労働省は家庭医制度を日本にも導入したいような報告書を出していたが、果たしてどうなることやら。

診察後、サルダーニャ広場の商業ビルや、ピコアスの商業ビルの中を見て歩く。こちらは、商標や著作権を守ったまっとうな店が入っている。オリエンテのショッピングモールに行かなくても、それぞれの商業ビルの地下にはフードコートも入っていて便利そうだ。



地下鉄サルダーニャ駅 レッドラインの列車 動画

フードコートのvitaminasという店で、サラダとマルチビタミン飲料をおやつに食べる。7.75ユーロ。ポルトガル最後の夕食は、再びホテルの前の中華料理屋で、鶏肉のカレーソース炒めと焼き飯。6ユーロ。

結局、今日は目の診療で1日とられてしまったので、予定していた観光スケジュールはすべてキャンセル。まあ、そういうこともあるでしょう。ポルトガルの家庭医制度を垣間見ることができたのが、もっとも有意義な観光だと考えれば、これもまた旅行ですね。

■ レジデンシャル ヨハネス21世 207号室 23ユーロ/1泊