12月24日(火曜日)
早朝から窓の外で風がうなり音を上げている。まるで、台風の時のようだ。テレビのニュースでは、イギリスやフランスでは強風で木が倒れて車に激突したり、橋が通行止めになったりしている映像を流している。いわゆる、クリスマスの嵐だ。今回は、イベリア半島もこの低気圧から延びる前線がもろにぶつかってきていて、強風と大雨に見舞われている。
その前線はポルトガル中部から北部の間を横断しているので、今日 向かう予定のポルトガル最南端のファーロは「天気予報」では曇りとなっている。果たしてどうなのか…
昨晩、スーパーマーケットで購入したハムとバナナ、ミラノから持ってきたパンを部屋で食べて朝食。7時20分ごろホテルを出発。ホテルの1階にあるカフェが、クリスマスイブにもかかわらず営業している。昨日、スーパーマーケットmini precoに張り出されていた閉店案内では、24日は18時までの営業、25日と1月1日が閉店となっていた。ホテルの下にある食堂には24日と25日が休みと張り出されている。24日の営業は、店によりけりというところだろうか。
どちらにしても、明日の25日は「すべての店が閉まっている」ものとして準備しなければならない。
ホテルから地下鉄ピコアス駅方向へ歩く。そこにも別の種類のスーパーがあり、閉店時間などはホテルの近くのものと同じ。スーパー間で「カルテル」を結んでいるのだろうか。日本のコンビニのように、(環境負荷が高く、休みを取りづらい雰囲気を作り出すように)正月も真夜中も開いている必要はないので、カルテルも有りかもしれない。公設市場があり、こちらは早朝にもかかわらずすでに営業している。
急に吹き降りの雨が降ってきた。公設市場の近くのサルダーニャ駅に駆け込む。昨日、GoogleMapの乗り継ぎ検索で調べておいた地下鉄の時間に間に合う。
■ サルダーニャ 7:44 → オリエンテ 8:00 (地下鉄 Vermelha線 1.4ユーロ)
オリエンテ駅で下車。エスカレーターを乗り継いで、すぐ上の階にある国鉄オリエンテ駅へ。出発案内には、8時24分発のファーロ行きは8分遅れと出ている。暴風雨のなか、ポルト始発の列車にしては8分遅れは「優秀」だ。よほど余裕を持ったダイヤを組んでいるのだろうか…。
■ リスボン オリエンテ駅 8:32 → ファーロ 11:25 (国鉄 アルファ・ペンデュラール 1等車 往復36ユーロ)
切符は1か月ほど前にインターネットの割引価格で購入したので、2等車運賃よりはるかに安い。確か、2等車の通常運賃が片道22ユーロなので、1等車にグレードアップして18ユーロは格安だ。オリエンテ駅で列車を待っていた多くの人は2等車に乗り込んでゆき、1等車に乗り込んだのは10人程度か…。1等車の車内はガラガラだ。
飲み物と新聞・雑誌が無料配布され、無線LANも使い放題。ただし、携帯電話網が切れる山間部ではネット接続はもちろん途切れてしまうが…。 オリエンテ駅を出た列車は、リスボン市内のエントレカンポス駅に停車。こちらのほうが、ホテルから近かった…。サルダーニャ駅の次の地下鉄駅で、ホテルから歩いていけないこともない距離だ。リスボン市街地の北を回り込んで、テージョ川に架かる4月25日橋を渡る。リスボン郊外の駅のいくつかに停まった後は、途中停車もなく一気にファーロ近郊の駅まで2時間ほど走り続ける。
リスボンを出てしばらくすると雨はやみ、空もだんだん明るくなってくる。さすが、天気予報は正しかった。ファーロ駅にはほぼ定刻通りに到着。いつの間にか遅れを取り戻していたようだ。
列車を降りると、明らかに地方都市の駅といった感じで、駅前に繁華街とかが「全く」存在しない。駅を出て、単線の鉄道の線路沿いの道を5分ほど歩いてゆくと、少しだけリゾートっぽい街並みになり、カフェやレストランが建物の1階に軒を連ねている。ただ、オフシーズンなので開いている店は半分も無い。「OSAKA」という店名の寿司屋があり、提灯には「火鍋」と書いてあり、さらに店の前の看板には「ドネルケバブ」や「ローストチキン」などの写真入りメニューが…。何屋かわからんですね。ただ、こういう支離滅裂な店には日本人が関与していないことは確かでしょうね。
さらに5分ほど歩くと、小さいヨットが係留されている船溜まりがあり、ゴメス広場というオベリスクが建っている道が広くなっているところに出る。海から強風が吹きつけてきていて、できることなら海から1本中の道に入りたいところだ。広場を横切り、19世紀初めにゴメス司教の命令により建てられた旧市街の門を通って、小ぢんまりした旧市街に入る。城壁に囲まれた旧市街は、中央部が少し高くなっていて、そこに大聖堂が建っている。石田だ身の狭い坂道を、1分ほどで登りきると大聖堂前。それほど狭い旧市街だ。シーズンオフ、さらには時速50㎞(13m/sec)の強風が吹く悪天候でも、パラパラと個人旅行客が来ている。話している言葉から、フランス人、ドイツ人、オランダ人、そして中国人といったところだろうか。
13世紀に建てられたといわれている大聖堂は、入場料3ユーロ。内部には18世紀ごろの聖像などが展示されている部屋もある。入り口で入場料が要ると言われて、入らずに外から眺めている観光客が何組か居たが、ここまで来て3ユーロくらいケチってどうすんだと。
旧市街の道をくまなく歩き、城壁を出てラグーンを見に行く。電車がノロノロと城壁の外の単線の線路を走っていく。ファーロから先の小さな港町に行く列車だ。線路が続いていれば、ジブラルタルもそんなに遠くは無いが、国境を超える海沿いの路線はついに作られることはなかったようだ。
上空をeasyJetの飛行機が着陸態勢で滑空してゆく。ファーロの街の南に広がるラグーンの中に滑走路があり、空港の誘導灯がはっきりと見える。
旧市街を出て、すぐ北東に隣接している新市街の歩行者天国地区(ショッピング街)を歩く。こちらは、地元の人がたくさん歩いている。ちょうどクリスマスセール期間で、商品の袋を持った人もいる。ここにも「火鍋」という提灯を掲げた「Magoya(なごやし)」という店があった。Nではなく、Mで始まるのは、わざとですか…。日本人なら「しゃぶしゃぶ」というはずなので、「火鍋」と書くあたりが中国人ぽいですね。偽物日本料理で日本の評判を落とさないでほしいものだ…。
で、昼食は先ほど通りかかった「OSAKA」のすぐ近くにある大衆レストランに入る。入り口の黒板に書いてある「今日のメニュー」を注文。出てきたのはイカのフライだ。確かに、黒板には「Calamares」と書いてある。ギリシャ料理で「カラマリ」というイカフライがあるが、ラテン語系統は「カラマリ」のような言葉なのだろう(英語なら、スクイッドなので全く語源が違うと思う)。飲み物や食後のカフェも付いて6.5ユーロ。オベリスクのすぐ前にあるマクドナルドに入るより、こういう地元っぽいレストランに入るほうが、何が出てくるかのドキドキ感があってよいと思う。
食後、新市街のカルモ教会を見て、スーパーマーケットで水やパン、ハムを買って駅へ。列車がリスボンに着くのは18時で、スーパーのクリスマス特別閉店時間も18時。なので、ファーロで食材を買ってから乗るのが良さそうだ。
■ ファーロ 15:05 → リスボン オリエンテ駅 18:15(国鉄 アルファ・ペンデュラール 1等車 往復36ユーロ)
ファーロを出てしばらくすると、窓の外は雨となる。列車の車内に表示された気温は、車内が20℃、車外が18℃~19℃と一定している。雨が降っても、寒くなっているというわけでもない。日も暮れて、真っ暗になりリスボンに到着する。外は土砂降りの雨。オリエンテ駅で列車の扉が開くと、屋根がある駅なのに雨が吹き降りで降っている。屋根が全く効果ないくらいの吹き降りの雨だ。
オリエンテ駅に隣接するバスコ・ダ・ガマ ショッピングモールへ。地下の巨大なスーパーマーケットは、ここも18時に閉店していた。それ以外の店は営業しているのに…。2回にあるフードコートで夕食。ローストポークに、焼き飯、レタスのサラダ、飲み物で6.75ユーロ。
フードコートのバーガーキングの前では、子供のクリスマスパーティーをやっているようで、やたら歓声があがっていた。
■ オリエンテ 19:01 → サルデーニャ 乗り換え → ピコアス 19:18 (地下鉄 Vermelha線、Amarera線 1.4ユーロ)
地下鉄は、昨日よりはるかにすいている。さすが、クリスマスイブには出歩く人も少ないということなのだろう。ピコアス駅を出ると、雨が少し小降りになっている。相変わらず風が強く、方向も一定しない。傘をさしても、強風で壊してしまう可能性もあるので、傘をささずに小走りでホテルまで帰る。昨晩も同じような時間にこの道を歩いたが、今日は営業している店は皆無だ。カフェや大衆食堂、その他衣料品店なども1軒も営業していない。オリエンテ駅で食事してきて正解だった。
ホテルに戻りテレビをつけると、ポルトガルの中部の街コインブラで洪水らしい。浸水した店がモップで水をかき出している。去年のイギリス旅行といい、今年のポルトガル旅行も「天気が劇悪」だ。まあ、前回ポルトガルに来た時は天気が良かったので、仕方ないか…。
■ レジデンシャル ヨハネス21世 207号室 23ユーロ/1泊