2013/12/28

12月28日 リスボン

12月28日(土曜日)

朝、5時30分に起床。昨日スーパーで購入したパンとバナナを部屋で食べて朝食。一昨日に、旅行用コイルヒーターを空炊きして焼損してしまったので、温かい飲み物は無し。ホテルの前の道路にゴミ収集車が来て、大量にたまった家庭ごみを運び出している。テレビでは、ごみ収集のストの「一部が解除」されたようなことを報道している。空港のストの方は報道されていないので、おそらく中止になったのだろう。6時30分にホテルをチェックアウト。

ホテルの前にあるキオスクの店員が、店のシャッターを開けようとしている以外、周辺で開いている店は無い。もちろん、まだ夜明け前なので、真っ暗な中を地下鉄ピコアス駅に向かって歩く。地下鉄駅のすぐ上の道路にバス停があり、空港行きの744系統があと13分で到着すると「電光掲示板に表示」されている。バスのほうが、もちろん空港まで最短距離で行くため早いため、そちらを待ってみることにする。到着時間のカウントダウンが順調に進み、13から2分まで減った所で、いきなり19分に増える。???


ピコアス駅のバス停付近

これは駄目だという事で、やはり地下鉄駅へ。7時の地下鉄に乗り、サルダーニャ駅で乗り換えて、空港まで。

■ ピコアス 7:00 → サルダーニャ 7:02, 7:03 → 空港 7:20 (地下鉄 Amarela線, Vermelha線 1日乗車券 6ユーロ)

駅を出ると到著フロアなので、1階上の出発フロアに登り出発案内表示を見る。今日乗るアムステルダム行きのトランサヴィア航空は、「第2ターミナル」に行けと書かれている。5日前に格安航空のeasyJetで到着したのは、この第1ターミナルなので、第2とはどれほど格安の度合いが増しているのか…。

第1ターミナルの出発フロア前の道路に停まっている、ターミナル間のシャトルバスに乗る。バスは、リスボン市街地の方へ戻る方向へ走り、市街地と滑走路の境界にあるこぢんまりしたターミナルビルに到着。ターミナルの中に入ると、いかにも安っぽいチェックインカウンターの並ぶ部屋があり、easyJetとRyanAirの「コーポレート・カラー」で着色された受付台が全体の3分の2ほどを占めている。その間の「緩衝地帯」のカウンターは無印で、今日乗るオランダの格安航空 トランサヴィアはそこに店開きしている。


第2ターミナルの出発案内表示。Ryanair(青色)とeasyJet(オレンジ色)ばかりで、残りがトランサヴィア

無事チェックインも終わり、セキュリティチェックを受けて待合室へ。シェンゲン内なのでパスポートコントロールは存在せず、身分証明カードなどをチラッと確認を受けるだけ。格安ターミナルでも、待合室エリアにはちゃんと免税店があり、土産物にするような品物が売られている。ただし、第1ターミナルのとは違って、高級なのは無いようだ。途中、オランダで降機して、再度日本へ向かうときに空港セキュリティを通過できるビニール袋に入れてもらえることを確認してから、土産物用のワインを購入。ワインだけは市内で買って「フニャフニャのバックパック」に入れて荷物預けすると、途中で確実に割れるので、手荷物として自分で運搬する以外の選択肢が無い。

しかし、この袋を偽造してしまえば、いくらでも空港内に液体を持ち込み放題だと思われるが、いかがなものだろうか。

■ リスボン空港 10:00 → アムステルダム スキポール空港 13:50 (トランサヴィア 5952便)


リスボン空港からトランサヴィア航空B737-800に乗る

出発時刻の9時30分になっても搭乗開始にならず、飛行機は30分も遅れて出発。それでも、アムステルダム到着は予定より10分遅れ程度。もとから余裕をもたせた時刻表になっているのだろう。オランダの天気は晴れ。

2013/12/27

12月27日 リスボン

12月27日(金曜日)

夜中より、ますます目の状況が悪くなる。目ヤニではなく、膿が出て、それが目の周りで固まってしまい目が開けられなくなってしまった。これはヤバい状況です。洗面で目を水で洗い、やっと目が開いたと思ったら、かすんで何も見えない!!!


ムスカ 曰く:「目が、目が!!!!!」

の世界に突入してしまいました。

6時、旅行出発前日に契約した損保ジャパンの旅行保険のオフィスに電話する。Skypeなので、とりあえず東京事務所へ…。電話に出たオペレーターのお姉さんは、電話代が高いならかけなおそうかと提案してきたが、Skypeは市内電話より安いので特に気にしていない。そもそも、SkypeInの番号をとっていないので、電話番号が無いので受信できないのです。

救急か、通常かを聞かれたので、「生命に直ちに危険はないから、病院が通常開業してからの受診」を希望した。リスボンには損保会社が契約した日本人医師のクリニックがあるから、そこで受診するか、それとも好きな大病院に行ってあとからレシートを保険会社に送って清算するかなど聞かれる。普通の病院に行って、ポルトガル語しか話せないドクターが出てきたら「通訳サービス」を付けてもらう必要があるし、そもそも手術とか仮にもなった場合に、医療英語を話せないので医師が英語を話すとしてもクリティカルなときは困ることになる。

「日本人クリニックで眼科を見てくれるならそちらで」「そうでなければ、日常会話英語をポルトガル語に通訳するサービス」のどちらかおお願いする。

ポルトガルの現地事務所(?)がアレンジして、10時過ぎに折り返し連絡をくれるそうだ。とりあえず、ホテルの電話番号を教える。

目の状況がこれ以上悪化させないように、外に出るわけもいかず、ホテルの部屋を暗くして悶々として10時を待つ。10時15分になっても電話がかかってこない…。 忘れられたのかと思い、督促の電話を入れる。結局、10時45分ごろに損保会社から電話がかかってくる。「日本人医師のクリニック」で「眼科も見てくれる」手配をしたそうで、予約時間の14時30分に来てほしいとのこと。

『Clínica Tsuchiya, 15 Avenida Defensores de Chaves 1000-109』 の大阪というレストランの上

GoogleMapで見たら、ホテルから歩いていけるサルダーニャ駅のすぐ横だ。一昨日、エントレカンポス駅近くの闘牛場を見に行くときに通ったところだ。現地に行くのは楽勝だ。

さて、診察時間まで4時間近くある。まず、ホテルの前にある中華料理屋で昼食。牛肉と野菜のいためものと焼き飯で6ユーロ。食後、ホテルの前のバス停に人が集まっているので、もうすぐバスが来るようだ。すぐに760系統のバスがやってくる。バスに乗り込み、1日券がほしいといったが、なぜか1回券を売りつけられる…。運転手は「one」しか理解できないようだ。「one dia billet」とか、ポルトガル語で「日」を意味する単語を無理やりくっつけないとだめなのだろうか。

■ Gomes Freire 11:31 → Martim Moniz 11:35 (バス760系統 1回券 1.8ユーロ)

マルティン・モニス広場にはトラムの始発駅があり、待機中のトラムが道の真ん中に停車している。車体正面のど真ん中に韓国サムスン電機の社名広告が入っている。こういう名前を売るだけのための宣伝は趣味悪いなぁ…。

広場の東側には、中国商場があり、地下鉄駅につながる地下道からビルの中まで、中国直輸入の衣料品や雑貨を売っている。世界中に中国商場があるが、中国人は商魂たくましいね。たぶん、著作権とか商標とか「細かいこと考えず」に買うのなら、なかなか便利な所じゃないだろうか。ここにはインド系の人も店を出していて、時計や携帯電話、SIMカードなどを売っていた。

トラムの始発駅に大量の欧米系観光客が並んでいる。トラムに乗って、何かいいことでもあるのだろうか。行列に並んでトラムに乗ってみることにする。吹き降りの雨の中、トラムの窓が曇っていて景色などほとんど見えない。それよりも、定員オーバーじゃないかと思うほど詰め込みまくって、さらに各駅から無理矢理乗り込んでくるので、乗車という苦行じゃないかと思えるような路線だ。あとで、地図を見てみると、28系統トラムはリスボン城塞の丘の周囲をぐるっと回る路線のようだ。


旧市街の路地を登る12系統のトラム

トラムは丘の細い路地を起用に登ったり降りたりしている。台車1台の車両なので、急カーブを器用に曲がっていくことができるようだ。

■ Martim Moniz 12:15頃 → Rua Da Conceição 12:50(トラム28E系統 1日乗車券 6ユーロ)

■ Praça Figueira 13:15頃 → Gomes Freire 13:20 (バス760系統 1日乗車券 6ユーロ)

そろそろ診察の予約時間が近づいたのでホテルに戻る。その前に、ホテルの1階にあるカフェで、ポルトガル菓子とコーヒーで休憩(2.5ユーロ)。

14時ごろホテルを出て、サルダーニャ広場へ。GoogleMapでOSAKAレストランのある建物はすぐにわかるが、そのビルの1階に「Clínica Tsuchiya」という看板が出ていないようだ。ビルの入り口のベルのどれを押せばよいのか、さっぱりわからない。ちょうど郵便局の職員が配達にやってきたので、聞いてみる。やはり2階にあるようで、連れて行ってもらう。


このビルの2階に土屋クリニックがある。1階のOSAKAレストランの看板…(笑

診療所に入ると、院長の土屋先生がちょうど奥から出てきたところだ。ポルトガルで、日本語が通じるというのも何か不思議な感じがする。土屋先生は麻酔科が専門で、西洋医学のポルトガルで「医学的に説明のつく針治療」の権威でもあるらしい(と、Googleで検索すると出てくる)。先生曰く「東洋医学の神秘的なものでは、科学的な説明がつかず、西洋では医療と認められない。麻酔科のドクターとして針治療を西洋医学として行っている」そうだ。確かに、日本や中国の鍼灸治療の現場では、「気」とか「流れ」とか科学的に説明がつかない解釈が主流で、物理化学で説明を付ける西洋医学とはどうも相互乗り入れがむつかしいと私も思う。

で、土屋先生は「家庭医」としての今回のご担当で、専門医の先生を同時に呼んでくださっているようだ。(私の認識ではそういう風に解釈している。普通は、家庭医がまず診察し、それから専門医を紹介したり、大病院に転院させたりというのが西洋風のやり方)

14時半になり、カスカイス先生(女医)がやってくる。土屋先生が私を問診した結果をポルトガル語でカスカイス先生に伝えている。カスカイス先生の診断では、『私は風邪をひいていて、目と鼻をつなぐ鼻涙管が閉塞している」とのこと。処方は、「抗ヒスタミン錠剤Claritineを1日2回1個ずつ、抗生物質錠剤Azitromicina1日1回1個、目の炎症の点眼薬Clorocilを6時間ごと2滴、鼻涙管閉塞の点眼薬Neo Siwedrna」の4種類。昨日薬局で買った点眼薬は目を洗う機能があるので、まずそれを点眼してから、今日処方した点眼薬を使うようにとのこと。


処方薬 (15ユーロです)


カスカイス先生が書いた処方薬の用法

診察料は損保会社に直接請求が行くらしいが、処方薬の費用は私がいったん支払って、レシートを日本の損保会社に送付すれば100%返金されるそうだ。

日本も、こういう家庭医制度にすれば、「症状ごとに医者を探す苦労」や「会社を休んで大病院の診察に並ぶ」というようなことを頻繁にする必要が無いのにと思う。厚生労働省は家庭医制度を日本にも導入したいような報告書を出していたが、果たしてどうなることやら。

診察後、サルダーニャ広場の商業ビルや、ピコアスの商業ビルの中を見て歩く。こちらは、商標や著作権を守ったまっとうな店が入っている。オリエンテのショッピングモールに行かなくても、それぞれの商業ビルの地下にはフードコートも入っていて便利そうだ。



地下鉄サルダーニャ駅 レッドラインの列車 動画

フードコートのvitaminasという店で、サラダとマルチビタミン飲料をおやつに食べる。7.75ユーロ。ポルトガル最後の夕食は、再びホテルの前の中華料理屋で、鶏肉のカレーソース炒めと焼き飯。6ユーロ。

結局、今日は目の診療で1日とられてしまったので、予定していた観光スケジュールはすべてキャンセル。まあ、そういうこともあるでしょう。ポルトガルの家庭医制度を垣間見ることができたのが、もっとも有意義な観光だと考えれば、これもまた旅行ですね。

■ レジデンシャル ヨハネス21世 207号室 23ユーロ/1泊


2013/12/26

12月26日 パルメラ、セトゥバル

12月26日(木曜日)

朝起きて外を見ると、快晴。天気予報では曇り時々晴れなので、よいほうに変化してくれたのはありがたい。パルメラとセトゥバルに行く予定で、パルメラ行きのバスは平日なら毎時0分発。休日なら8時、10時… の2時間に1本の0分発。土曜時刻なら9時30分というように、今日26日が平日なのか休日なのかによって時間が異なるのはとても困る。

ちなみに、リスボン市街地のバスや地下鉄は祝日ダイヤだとホームページに告知されている。

とりあえず、9時のバスをめざしてホテルを出発する。8時40分にサルダーニャ駅から地下鉄に乗り、オリエンテ駅へ。

■ サルダーニャ 8:40 → オリエンテ 8:51 (地下鉄 Vermelha線 1日乗車券 6ユーロ)

地下鉄駅のすぐ横にあるバスターミナルへ。以前、ここからスペイン行きの夜行バスに乗ったことがあるが、今回の長距離バスもここから出発するようだ。TST社のマークのバスはすぐ見つかり、車外で雑談している運転手に聞いてパルメラ行バスの列に並ぶ。

■ リスボン オリエンテ 9:00 → パルメラ 9:35 (TSTバス 高速 565系統 3.95ユーロ)

バスは、ものすごく幅の広いテージョ川河口に架かるバスコ・ダ・ガマ大橋を渡り、高速道路でピーニャ・ノヴォの町へ。そこから小さいバス停に停まりながら終点のパルメラに30分ほどで到着。


バスコ・ダ・ガマ橋

パルメラは丘の上にある町なので、はるか遠くまで見渡すことができる。今この町の上は晴れているが、はるか南の方にはのっぺりした雲が、西の方にはもくもくと沸き立った雲が広がっている。晴れているうちに写真撮影。

バス停のあるところから、急な上り坂の路地を登ってゆく。普通の住宅が延々と続いていて、特に観光地というわけではなさそうだ。のんびり歩いても15分ほどで町の一番高いところにあるサン・ペドロ教会の前に到着。ここも別に観光地というわけでもなさそうで、入り口は閉められている。


パルメラ城塞

見どころは、町のある丘のひときわ高い岩山の頂上にある城なのだろう。誰も観光客を見かけないので、果たして開いているのか。心配だが、とりあえず行ってみることにする。昨日までの雨で、じっとりと湿った石田だ身の坂道を皿に登っていくと、城塞の門があった。城の歴史を簡単に記した看板があるが、入場時間や料金など書かれていない。門をくぐると、さらに坂道が続き、奥にホテルがある。反対側に折り返した坂道の頂上には城の塔がある。城の塔のほうに行ってみると、展示室などがあり、ローマ時代や中世の遺跡発掘を説明したものが見られる。おや、入場料をぜんぜん払っていないし、そもそもちゃんとした展示物をただで見れるのは不思議だ。


城塞から見たパルメラの町

城の職員(?)らしきおっちゃんや、掃除をしているおばちゃんがいるが、特に入場券を求められることもなかったので、多分無料公開なのだろう…。

城の塔の中はがらんどうで、屋上からの見晴しは格別だ。もう一つある小さな塔の中は、通信技術の博物館になっている。昔は、この城を通信塔として使っていたのだろうか。

いつの間にか雲が広がってきて、先ほどまでの青空はどこかに行ってしまっている。塔とホテルの間には、サンチャゴ教会という教会の建物がある。中に入ることができるが、いまは教会としての機能は失っているようだ。内陣の祭壇があるはずのところはがらんどうで、建築資材が無造作に置かれている。

城を出て再び町を通り抜け、バス停へ戻る。バス停の横の事務所らしき建物の窓に時刻表が掲示されているが、始発駅の時刻が表示されているだけで、このバス停の出発時刻がよくわからない。しばらく待っていると、11時25分にセトゥバル行きのバスが、パルメラ始発で出発するようだ。

■ パルメラ 11:26 → セトゥバル 11:43 (TSTバス 565系統 1.95ユーロ)

バスはパルメラの丘を下って、数分北に向かうとセトゥバルの街に入る。しばらくの間郊外住宅のようなアパートの立ち並ぶ横を走り、国鉄駅を通り過ぎると市街地に入る。駅が市街地のはずれ… よほど鉄道が嫌われている時代に造られたんだろうか。

バスは街の中心にある小さなバスターミナルに到着。出発案内表示を見ると、毎時45分にリスボンのオリエンテ行き高速バスが出ているようだ。街から遠い鉄道駅まで歩いていくより、帰りもバスにしよう。

スマートフォンに格納しておいた地球の歩き方を見てみると、この街の見どころは15世紀に建てられたイエスの教会とちいさな旧市街、郊外の城塞だそうだ。城塞はホテルに改装されているらしく、さきほどパルメラ城を見てきたので、今日はパスで。まず、イエスの教会に向かう。バスターミナルの前の道を、しばらく西へ歩くと突き当りに地味な教会がある。側廊に入り口があり、開いていたので中に入ってみる。屋根を支える主柱が、三つ編みのようにねじれたデザインの柱だ。もっと細かいねじれのものは、どこかの教会で見たことがあるが、3本のひもがねじれたような柱は初めて見た。屋根の力を受けているまっすぐな部分があるのだろうが、力学的に不安定そうに見せているのもデザイン性の一つなのだろうか。壁にはアズレージョ(彩色タイル)で描かれた聖書の世界があり、側廊の突き当りの聖母像のよこには、丁寧にも聖母を描いたアズレージョ。

イエスの教会の内部の地味さは、教会の横のスケートボード場の壁の落書きの派手さで、中和されている。再びバスターミナルの方へ戻り、バスターミナルと海の間の小さな旧市街へ。かつての街の中心と思われるボガージェ広場には、こちらも地味なデザインだが、時計塔が付け加わっているサン・ジュリアン教会と、広場の中心には18世紀の詩人バルボサ・ボガージェ像の立つ円柱がある。

ふと、広場の横のピザ・ハットをみると「ビュッフェ 6.45ユーロ」との看板が出ている。ピザの食べ放題… 一度挑戦してみることにする。店に入ると、ビュッフェの時間は12時30分かららしく、15分ほど店内で座って待つ。出てきたメニューは、ピザが5種類くらい、パスタ、レタスのサラダだ。イタリアでピザ1枚が3~5ユーロだったのを思い出せば、まあ数枚食べれば元は取れるのだろう。


セトゥバル旧市街のミゼリコルディア広場

食後、旧市街の中を歩く。ピザ・ハットのある広場より、かなり小さめなミゼリコルディア広場には、赤十字の建物の前に巨大なプレセピオが展示されている。赤「十字」だから、キリスト教の出し物をしているのは、まあ、ごく自然な雰囲気だ。

海の方を見に行ってみる。砂浜ではなくて、遊歩道になっているコンクリート岩壁だ。東の方には巨大な貨物船が停泊している。特に観光的に見るべきものはなさそうだ。そろそろリスボン行きのバスが出る時刻なので、旧市街を再びよこびってバスターミナルへ。13時45分発のリスボン オリエンテ駅行きの高速バスに乗る。

■ セトゥバル 13:45 → リスボン オリエンテ 14:26 (TSTバス 562系統 3.95ユーロ)

バスは、途中、セトゥバルの鉄道駅前に停車しただけで、ずっと高速道路を走った。オリエンテ駅前には40分ほどで到着。列車より、おそらく短時間だ。

今日の昼頃から左目の調子がおかしく、目ヤニが大量に出て、目が少しかすんでいるようだ。ホテルに戻り、ホテル前の中華料理屋で鶏肉の炒め物と焼き飯を食べ(6ユーロ)、部屋に帰って休む。

オリエンテ駅から戻ってきた時に入ったホテルの1階にあるカフェで食べたおやつの写真。



エッグタルト(マミーニャス)とカフェ・アメリカーノ 2.3ユーロ

■ レジデンシャル ヨハネス21世 207号室 23ユーロ/1泊

2013/12/25

12月25日 リスボン、カスカイス

12月25日(水曜日)

クリスマス。ほとんどの店が閉店し、交通機関も「特別に」減便して運行される日。さらに追い打ちをかけるように、公務員のストライキがクリスマス休暇期間にあわせて実施されているとのこと。確かに、ごみ収集のストで、道にあるごみ箱があふれかえっているし、今朝はホテルの前にあるバス停に停車するバスの音を全く聞かない。テレビでは、昨日の18時からバス全線でスト突入というようなことを言っていたが…。

外は、時折どしゃ降りの雨が降る不安定な天気。10時少し前、雨が止んだので出かける。公設市場の横を通り、サルダーニャ広場へ。19世紀のポルトガルの首相サルダーニャの像がある。そこからまっすぐ北に延びる大通り、共和国通りのずっと向うに国鉄のエントレカンポス駅が見える。その駅の方へ目指していくが、少し寄り道して右の(西の)ほうへ。

「Casa Da Moeda」(お金の家=造幣局)と書かれた小ぢんまりした建物がある。誰も乗っていないパトカーが玄関の前に駐車されているだけで、特にこれといった警備もされていない雰囲気。その向うに、巨人と小人のオッサンの像がラウンドアバウトの真ん中に立っている。小さいほうの人物像に「アントニオ・ホセ・アルメイダ」と書いてあるが、大きいほうは誰なんだろう…。


アントニオ・ホセ・アルメイダ像

北のほうを眺めると、これまた変わった巨大な建物。明らかに、外敵から中身を守っているといった感じの建物で、ぐるっとまわりこんでみると、カイハ・ゲラフ・デポジトリというポルトガル最大の銀行の本社の建物だ。財政赤字で国がぶっ潰れそうなのに、この巨大な建物は…。ちょっとした国レベルの金を動かしているファンドの本部でさえ、せいぜい建物のワンフロア程度なのに、これだけでかい建物で「国がぶっ潰れそう」とは、よほど金儲けのセンスがないんでしょうか…。まあ、地下鉄などの公共施設にしても巨大なのが好きなのかもしれない。

斜め向かいには、レンガ造りのカンポ・ペケーノ闘牛場がある。19世紀末に建てられた建物が、2006年に改築されたそうで、闘牛以外にコンサートなども行えるそうだ。闘牛だけでは儲からないんでしょうね。


カンポ・ペケーノ闘牛場

闘牛場前を通り過ぎると、すぐに国鉄エントレカンポス駅。昨日の大雨の影響か、屋内コンコースの一部に大きな水たまりができている。国鉄駅から地下鉄駅までは500mほど離れているが、地下通路に水平エスカレーターが付いていて、雨の日でもぬれずに移動できるようになっている。昨日、この駅の乗り継ぎが屋外で雨にぬれるかもしれないと思ったので、遠いオリエンテ駅まで乗り継ぎに行ったが、この駅でもよかったわけだ。

地下鉄の1日券を買う。昨日買ったICカードに、1日券も格納できるようだ。地下鉄Vermelha線に乗り、ホテルの近くのピコアス駅を通り過ぎて、終点のラト駅まで乗る。駅を出ると、

■ エントレカンポス 10:55 → ラト (地下鉄 Vermelha線 1日乗車券 6ユーロ)
■ ラト 11:17 → ピコアス (地下鉄 Vermelha線 1日乗車券 6ユーロ)

ラト駅を出ると、小さな広場にバス停が所狭しと並んでいる。このあたりのバスの乗り継ぎスポットなのだろうか。周囲を見回しても、特に珍しそうなものは無いし、吹き降りの雨も降ってきたので撤退。ピコアス駅まで戻り、歩いてホテルに戻る。ホテルのあるゴメス・フレイレはバスの乗り継ぎポイントのような場所で、大衆レストランやカフェが何軒か固まってある。でも、今日はクリスマスのため、中国料理屋を除いてすべて閉店している。

やはり、キリスト教じゃない中国人は、クリスマスは関係ないのだろう。その中華料理屋に入って昼食を食べる。鶏肉と野菜の炒め物に、小さい焼き飯、ミネラル水で6.5ユーロ。日本で中華料理屋に行って昼定食を食べたらこんな価格なのだが、欧州では安い部類に入ると思う。その、キリスト教徒のポルトガル人も、クリスマスに開いている店が無いので、この中華料理屋に集中してやってきているようだ。

外は急にどしゃ降りの雨が降ったと思ったら、急に青空が広がったりと不純な天気。雨が止んだ瞬間に地下鉄アンジョス駅まで行き、そこから終点のカイス・ド・ソドレ駅へ。国鉄に乗り換えて、カスカイスを目指す。

■ アンジョス → カイス・ド・ソドレ 13:01(地下鉄 Verde線 1日乗車券 6ユーロ)
■ カイス・ド・ソドレ 13:20 → カスカイス 14:05 (国鉄 2.15ユーロ)

国鉄も地下鉄と同じデザインのICカードを使っている。地下鉄で買ったほうは、1日乗車券を格納しているので、カスカイスまでの切符を入れることができない。1枚のICカードには、1種類の切符しか入らないということらしい。もう一枚ICカードを買って、往復分の切符2枚を格納する。

20分に1本走っている列車に乗り、終点のカスカイス駅まで約45分。テージョ川河口の北岸沿いにずっと走ってっ行く。カスカイスに到着すると、晴れている。雲が速く流れているが、30分くらいなら大丈夫そうな雰囲気だ。駅から海岸まで、クリスマスで誰も歩いていない繁華街を下ってゆく。小さい船溜まりがあり、ヨットではなく漁船がたくさん停泊している。岸壁や桟橋には、タコの仕掛けだろうか、たくさんの網でできたツボのようなものが並んでいる。


カスカイスのPalácio Seixas

20世紀に建てられた、中世の城を模した建物が港の傍らに建っている。まるで、「これがカスカイス城ですよ」とアピールしているかのような「偽の城」。本物の城は、船溜まりを挟んだ反対側にあり、こちらは15世紀に建てられた砦の壁だけが残っていて、敷地内はホテルなどの商業施設になってしまっている。


砦の前に建つカルロス1世像

テージョ川河口にある砦なので、さぞ役立ったろうと思ったが、Wikipediaによればスペインの攻撃に全く耐えられなかったそうだ。頑強そうなのは見かけだけですか…。城の傍らには19世紀末のポルトガル国王 カルロス1世像がある。海に向かって双眼鏡を握りしめている像は、珍しいデザインだ。

■ カスカイス 15:03 → カイス・ド・ソドレ 15:45(国鉄 2.15ユーロ)
■ カイス・ド・ソドレ 15:46 → ゴメス・フレイレ 15:59 (バス 760系統 1日乗車券 6ユーロ)

再び国鉄に乗り、カイス・ド・ソドレ駅で下車。たまたま駅前にやってきた760系統のバスに乗り、ホテルの前まで一気に戻る。昼に入った中華料理屋に入り、今度は夕食。牛肉と野菜のいためもの、半分チャーハン、ヨーグルトドリンクで7.35ユーロ。

夕方になり、天気が急速によくなってきて、かなり青空が見えている。夜景撮影のため、再びバスに乗りコメルシオ広場へ。以前来た時には、きれいな色の光で役所の建物が照らされていたが、今日は音楽に合わせて何か映像を建物に映している。中央のアウグスタ門に「サーカス de LUZ 12月14日~25日」という映像が大きく映し出されている。広場にはたくさんの人が待っている。役所の建物に映像を映すショーをやるのを待っているのだろう。

18時、今まで流れていた音楽が急に切り替わり、ダイナミックな映像が映し出される。「サーカス」をどこかでやる宣伝ではなく、建物にアニメのサーカスを映し出すショーが始まった。たしかに、この方法なら広場に集まるたくさんの人が同時にサーカスを見ることができて、クリスマスの催しとしてはなかなか考えられている。ショーは20分ほど続き、見物客の大きな拍手で終了した。


コメルシオ広場の光のショー


動画も


イルミネーションも今日のクリスマスで終了するので、ちょうど良いタイミングで来ることができた。アウグスタ門を通り抜け、目抜き通りのアウグスタ通りのイルミネーションを見つつ、地下鉄の駅へ。イタリアでも感じたが、以前に比べてクリスマスのイルミネーションが「しょぼく」なっている。やはり、経済危機が影響しているのだろうか。

■ バイシャ・シアド → マルケ・デ・ポンバル → ピコアス(地下鉄 Azul線, Vermelha線 1日乗車券 6ユーロ)

■ レジデンシャル ヨハネス21世 207号室 23ユーロ/1泊

2013/12/24

12月24日 ファーロ

12月24日(火曜日)

早朝から窓の外で風がうなり音を上げている。まるで、台風の時のようだ。テレビのニュースでは、イギリスやフランスでは強風で木が倒れて車に激突したり、橋が通行止めになったりしている映像を流している。いわゆる、クリスマスの嵐だ。今回は、イベリア半島もこの低気圧から延びる前線がもろにぶつかってきていて、強風と大雨に見舞われている。

その前線はポルトガル中部から北部の間を横断しているので、今日 向かう予定のポルトガル最南端のファーロは「天気予報」では曇りとなっている。果たしてどうなのか…

昨晩、スーパーマーケットで購入したハムとバナナ、ミラノから持ってきたパンを部屋で食べて朝食。7時20分ごろホテルを出発。ホテルの1階にあるカフェが、クリスマスイブにもかかわらず営業している。昨日、スーパーマーケットmini precoに張り出されていた閉店案内では、24日は18時までの営業、25日と1月1日が閉店となっていた。ホテルの下にある食堂には24日と25日が休みと張り出されている。24日の営業は、店によりけりというところだろうか。

どちらにしても、明日の25日は「すべての店が閉まっている」ものとして準備しなければならない。

ホテルから地下鉄ピコアス駅方向へ歩く。そこにも別の種類のスーパーがあり、閉店時間などはホテルの近くのものと同じ。スーパー間で「カルテル」を結んでいるのだろうか。日本のコンビニのように、(環境負荷が高く、休みを取りづらい雰囲気を作り出すように)正月も真夜中も開いている必要はないので、カルテルも有りかもしれない。公設市場があり、こちらは早朝にもかかわらずすでに営業している。


サルダーニャの1月31日公設市場

急に吹き降りの雨が降ってきた。公設市場の近くのサルダーニャ駅に駆け込む。昨日、GoogleMapの乗り継ぎ検索で調べておいた地下鉄の時間に間に合う。

■ サルダーニャ 7:44 → オリエンテ 8:00 (地下鉄 Vermelha線 1.4ユーロ)

オリエンテ駅で下車。エスカレーターを乗り継いで、すぐ上の階にある国鉄オリエンテ駅へ。出発案内には、8時24分発のファーロ行きは8分遅れと出ている。暴風雨のなか、ポルト始発の列車にしては8分遅れは「優秀」だ。よほど余裕を持ったダイヤを組んでいるのだろうか…。

■ リスボン オリエンテ駅 8:32 → ファーロ 11:25 (国鉄 アルファ・ペンデュラール 1等車 往復36ユーロ)

切符は1か月ほど前にインターネットの割引価格で購入したので、2等車運賃よりはるかに安い。確か、2等車の通常運賃が片道22ユーロなので、1等車にグレードアップして18ユーロは格安だ。オリエンテ駅で列車を待っていた多くの人は2等車に乗り込んでゆき、1等車に乗り込んだのは10人程度か…。1等車の車内はガラガラだ。


リスボン オリエンテ駅に到着した高速列車アルファ ペンデュラール

飲み物と新聞・雑誌が無料配布され、無線LANも使い放題。ただし、携帯電話網が切れる山間部ではネット接続はもちろん途切れてしまうが…。 オリエンテ駅を出た列車は、リスボン市内のエントレカンポス駅に停車。こちらのほうが、ホテルから近かった…。サルダーニャ駅の次の地下鉄駅で、ホテルから歩いていけないこともない距離だ。リスボン市街地の北を回り込んで、テージョ川に架かる4月25日橋を渡る。リスボン郊外の駅のいくつかに停まった後は、途中停車もなく一気にファーロ近郊の駅まで2時間ほど走り続ける。

リスボンを出てしばらくすると雨はやみ、空もだんだん明るくなってくる。さすが、天気予報は正しかった。ファーロ駅にはほぼ定刻通りに到着。いつの間にか遅れを取り戻していたようだ。

列車を降りると、明らかに地方都市の駅といった感じで、駅前に繁華街とかが「全く」存在しない。駅を出て、単線の鉄道の線路沿いの道を5分ほど歩いてゆくと、少しだけリゾートっぽい街並みになり、カフェやレストランが建物の1階に軒を連ねている。ただ、オフシーズンなので開いている店は半分も無い。「OSAKA」という店名の寿司屋があり、提灯には「火鍋」と書いてあり、さらに店の前の看板には「ドネルケバブ」や「ローストチキン」などの写真入りメニューが…。何屋かわからんですね。ただ、こういう支離滅裂な店には日本人が関与していないことは確かでしょうね。


旧市街の門(アルコ・ダ・ヴィラ)

さらに5分ほど歩くと、小さいヨットが係留されている船溜まりがあり、ゴメス広場というオベリスクが建っている道が広くなっているところに出る。海から強風が吹きつけてきていて、できることなら海から1本中の道に入りたいところだ。広場を横切り、19世紀初めにゴメス司教の命令により建てられた旧市街の門を通って、小ぢんまりした旧市街に入る。城壁に囲まれた旧市街は、中央部が少し高くなっていて、そこに大聖堂が建っている。石田だ身の狭い坂道を、1分ほどで登りきると大聖堂前。それほど狭い旧市街だ。シーズンオフ、さらには時速50㎞(13m/sec)の強風が吹く悪天候でも、パラパラと個人旅行客が来ている。話している言葉から、フランス人、ドイツ人、オランダ人、そして中国人といったところだろうか。


旧市街の大聖堂と、タイルでできた女性

13世紀に建てられたといわれている大聖堂は、入場料3ユーロ。内部には18世紀ごろの聖像などが展示されている部屋もある。入り口で入場料が要ると言われて、入らずに外から眺めている観光客が何組か居たが、ここまで来て3ユーロくらいケチってどうすんだと。


旧市街の路地

旧市街の道をくまなく歩き、城壁を出てラグーンを見に行く。電車がノロノロと城壁の外の単線の線路を走っていく。ファーロから先の小さな港町に行く列車だ。線路が続いていれば、ジブラルタルもそんなに遠くは無いが、国境を超える海沿いの路線はついに作られることはなかったようだ。

上空をeasyJetの飛行機が着陸態勢で滑空してゆく。ファーロの街の南に広がるラグーンの中に滑走路があり、空港の誘導灯がはっきりと見える。

旧市街を出て、すぐ北東に隣接している新市街の歩行者天国地区(ショッピング街)を歩く。こちらは、地元の人がたくさん歩いている。ちょうどクリスマスセール期間で、商品の袋を持った人もいる。ここにも「火鍋」という提灯を掲げた「Magoya(なごやし)」という店があった。Nではなく、Mで始まるのは、わざとですか…。日本人なら「しゃぶしゃぶ」というはずなので、「火鍋」と書くあたりが中国人ぽいですね。偽物日本料理で日本の評判を落とさないでほしいものだ…。


新市街の繁華街 サント・アントニオ通り

で、昼食は先ほど通りかかった「OSAKA」のすぐ近くにある大衆レストランに入る。入り口の黒板に書いてある「今日のメニュー」を注文。出てきたのはイカのフライだ。確かに、黒板には「Calamares」と書いてある。ギリシャ料理で「カラマリ」というイカフライがあるが、ラテン語系統は「カラマリ」のような言葉なのだろう(英語なら、スクイッドなので全く語源が違うと思う)。飲み物や食後のカフェも付いて6.5ユーロ。オベリスクのすぐ前にあるマクドナルドに入るより、こういう地元っぽいレストランに入るほうが、何が出てくるかのドキドキ感があってよいと思う。

食後、新市街のカルモ教会を見て、スーパーマーケットで水やパン、ハムを買って駅へ。列車がリスボンに着くのは18時で、スーパーのクリスマス特別閉店時間も18時。なので、ファーロで食材を買ってから乗るのが良さそうだ。

■ ファーロ 15:05 → リスボン オリエンテ駅 18:15(国鉄 アルファ・ペンデュラール 1等車 往復36ユーロ)

ファーロを出てしばらくすると、窓の外は雨となる。列車の車内に表示された気温は、車内が20℃、車外が18℃~19℃と一定している。雨が降っても、寒くなっているというわけでもない。日も暮れて、真っ暗になりリスボンに到着する。外は土砂降りの雨。オリエンテ駅で列車の扉が開くと、屋根がある駅なのに雨が吹き降りで降っている。屋根が全く効果ないくらいの吹き降りの雨だ。

オリエンテ駅に隣接するバスコ・ダ・ガマ ショッピングモールへ。地下の巨大なスーパーマーケットは、ここも18時に閉店していた。それ以外の店は営業しているのに…。2回にあるフードコートで夕食。ローストポークに、焼き飯、レタスのサラダ、飲み物で6.75ユーロ。
フードコートのバーガーキングの前では、子供のクリスマスパーティーをやっているようで、やたら歓声があがっていた。

■ オリエンテ 19:01 → サルデーニャ 乗り換え → ピコアス 19:18 (地下鉄 Vermelha線、Amarera線 1.4ユーロ)

地下鉄は、昨日よりはるかにすいている。さすが、クリスマスイブには出歩く人も少ないということなのだろう。ピコアス駅を出ると、雨が少し小降りになっている。相変わらず風が強く、方向も一定しない。傘をさしても、強風で壊してしまう可能性もあるので、傘をささずに小走りでホテルまで帰る。昨晩も同じような時間にこの道を歩いたが、今日は営業している店は皆無だ。カフェや大衆食堂、その他衣料品店なども1軒も営業していない。オリエンテ駅で食事してきて正解だった。


リスボン オリエンテのバスコ・ダ・ガマ ショッピングセンター

ホテルに戻りテレビをつけると、ポルトガルの中部の街コインブラで洪水らしい。浸水した店がモップで水をかき出している。去年のイギリス旅行といい、今年のポルトガル旅行も「天気が劇悪」だ。まあ、前回ポルトガルに来た時は天気が良かったので、仕方ないか…。

■ レジデンシャル ヨハネス21世 207号室 23ユーロ/1泊

2013/12/23

12月23日 ミラノ、リスボン

12月23日(月曜日)

泊まっている安ホテルはWifiが無く、書き込みはマルペンサ空港T-2の無料のところで行っている。今朝も霧が出ているが、とりあえず雨は降っていないようだ。昨日、スーパーで買ったパンやハム、ヨーグルトなどを部屋で食べて朝食。8時、ホテルに荷物を預けてチェックアウト。

前回ミラノに来た時に、休館日で見れなかったブレラ美術館を見に行く。

■ リマ → ドゥオーモ (地下鉄 M1 1日乗車券4.5ユーロ)

地下鉄は通勤時間帯なのでそれなりの人が乗っている。イタリアでは、今日まで勤務の人が多いのだろうか。ドゥオーモ駅で下車し、早朝で観光客が来ていない大聖堂前広場やガレリアの撮影をそれなりに済ませる。ガレリアは店が閉まっているが、鉄板のシャッターではなくメッシュのシャッターなので、店内で売っているものはとりあえず外からでも見える。撮影には観光客が来る朝の内がいいのかも…。


ガレリア (早朝で、ほとんど人が歩いていない時に撮影)

ガレリアを抜け、スカラ座の前を通り過ぎて、ブレラ美術館のあるブレラ芸術大学へ。入り口に開館日を書いた札がかかっていて、月曜は休みとのこと。そういえば、前回も月曜だったかな…。大学構内に入る入り口に、イタリア語で天文博物館があると書いてある。今日は学校は休校日なのか、照明が落されてがらんとした廊下を進んでゆく。中世とは言わないが、100年くらいは経っていそうな廊下に、これまた古い彫刻がもっさりと置いてある。夜に来たら、確実にお化け屋敷だ。天体観測所と書いてある矢印に沿っていくと、学校を抜けてしまい、実験植物園に出てきてしまう。地元の人だろうか、無人の大学キャンパスを撮影している人がいるが、まあ、観光客が来るような場所ではないのだろう。


ブレラ大学回廊のカヴァリエーリ像 「あなたは眠くなる…」の念力か

薄暗い廊下に戻り、天体観測所と書かれた古い石のプレートが掲げられた階段を3階まで登っていくと、そこが天文博物館だった。子午儀やスペクトル分光計など、天文学に必要だった100年から200年前の機材がきれいに磨かれて展示されている。顕微鏡や起電機など、物理の実験をするための装置も展示されていて、必ずしも望遠鏡博物館ではないようだ。


ブレラ大学 天文博物館の赤道儀式屈折望遠鏡(教育用レプリカ)

大学を出て、GPS地図を頼りに、そのあたりをぶらぶらとする。郵便局のミニバンが、郵便配達をしている。建物の玄関ごとに停車して、助手席からどう見ても私服の若い女性が降りてきて郵便物を配達。日本のように制服を着ろだのうるさいことは言わないのだろう。イタリアらしくおおらかで… という世界か。


聖バビラ広場の像

聖バビラ広場までくる。広場の名前の通りの教会があり、教会前にはライオンがのっかった円柱が立っている。このあたりの地区のシンボルのライオンだと案内板に書かれている。ヴェネツィア通りを北東へ。とある役所のような建物の前に、「私は共産主義者じゃない」とイタリア語で書いたA4のプレートか掲げたおっさんが立っている。何のデモンストレーションなのだろう。


「私は共産主義者ではない」(66歳氏)

公共公園という名前の公園、変な名称だが自然史博物館とプラネタリウムがある。その横を通り過ぎると、ヴェネツィア門という、門じゃなくて小さいギリシア神殿のようなものが道路の両側に建っている。昨日、ベルガモで見たポルタ・ヌオーヴァの門とそっくりの形だ。イタリアで門といえば「凱旋門」のようなアーチ状のものを期待するが、こういう形態のもあるんだと感じた。

そのままヴェネツィア通りを進んでゆく。地下には地下鉄M1が走っているので、朝地下鉄に乗ったリマ駅にじきに到着。駅前のファストフード店で、ちょうど11時で開店したばかりのバーガーキングに入る。わっぱーのセットメニューが6.4ユーロ。まあ、高いと感じるがほかに食べるところもなさそうだし、昼食とする。

11時30分ごろホテルに戻り、荷物を受け取って中央駅へ。切符売り場の自販機でマルペンサ空港までの切符の価格を調べると10ユーロ。バスも10ユーロらしいので、クリスマス休暇の交通渋滞に巻き込まれない鉄道にする。1等と2等が値段が同じ、不思議な価格設定だ。列車の出発まで、駅構内のバーでピザを食べる。シチリアピザというような名前で、厚めのピザ生地に、トマトソースとバジル、オリーブがのっかったものだ。3.5ユーロ。のんびり食べていると、いつの間にか列車の出発時間の5分前。あわてて列車を探す。出発案内にはマルペンサ行は2番線と出ている。17、16、… 5、4で途切れている。駅の端だ。プラットノームの先端のほうを見ると、短い列車専用のプラットホームがそこから出ているようだ。全速力ダッシュで、出発30秒前にマルペンサ空港行き列車に駆け込む。

■ ミラノ中央駅 12:25 → マルペンサ空港ターミナル1 13:17 (鉄道 10ユーロ)

列車は霧の中をのんびりと走り出す。エクスプレスというなとは裏腹に、近隣の人が通勤通学に使う路線のようで、ほぼ各駅停車だ。ほぼ1時間かかって空港に到着。駅を出ると、右がT1,左がT2と書いてある。T2行きの無料シャトルバスが7分おきに出ていると書かれている。その無料シャトルバスに乗り、イージージェット専用の(ような)T2に到着。

16時40分発の便で余裕はあるが、とりあえずセキュリティを通過することにする。ものすごい行列だ。時間ぎりぎりに来たら、明らかに間に合わない。リスボン行はゲートDと出ているだけで、何番か書かれていない。しばらくすれば番号が出るのだろう。とりあえず、スマホのWifiスキャナーを起動すると、セキュリティが掛けられていないWifiを発見。接続してみると、使えるようだ。Webで認証画面を出すと、512kbpsなら無料とのボタンが表示される。それで十分だ。

リスボンの天気予報は、明日から暴風雨、雨、曇り、雨、晴れという予報。リスボンを出発する日だけ晴れですか…

以上、マルペンサ空港T2から書き込み。

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■ ミラノ 16:40 → リスボン 18:40 (easyJet インターネット予約 130ユーロ?)


以前、easyJetは自由席だったが、今日の搭乗券を見たら座席番号がかかれている。いつの間に座席指定になったのだろうか。ミラノを出発した飛行機は、スイス南端をかすめて、イタリア・アルプスからフレンチ・アルプスの上空を飛んでいく。イタリア側では山々が雲の上に突き出して、雲海のような状態になっている。フランスは快晴のようで、地上の街の光がよく見えた。


トリノとグルノーブルの中間付近のアルプス上空 (GPS記録により、位置は正確!)

ポルトガルに近づくと曇ってきて、リスボン到着時にはどしゃ降り。飛行機のタラップを降りて空港内のバスに乗るまでの間にずぶぬれになる。

リスボン市内に出てから食事でもしようと思っていたが、この雨では辛いので、空港内のカフェテリアにあるマクドナルドでビッグマックセット(5.5ユーロ)を食べる。
予約したホテルまで、バスのほうが乗り換えが無いので楽なのだが、雨の中バス停で待つのもつらいので、地下鉄で行くことにする。以前ポルトガルに来た時には、空港に地下鉄など走っていなかった。

地下鉄駅で切符を買う。紙でできたICカードが0.5ユーロ。運賃が1.4ユーロ。日本ならSuicaやICOCAが2000円もぼったくるのに比べたら、非常に良心的な価格設定だ。妙にハイスペックなSonyのFelicaを使わずに、汎用品のオランダフィリップスのMIFAREを使っているから、安価にできるのだろう。どうして日本は、技術開発ばかりを優先して、他の国でやっているように「とりあえず安価に使えればよい」という風にならないのだろう。製品を作るのではなく、商品を作ってほしいものだ。

■ 空港 19:25 → サルダーニャ 乗り換え 19:46 → ピコアス 19:50 (地下鉄 Vermelha線、Amarera線 1.4ユーロ)

地下鉄は以前終点だったオリエンテ駅から延伸してきたもので、ずっと以前に宿泊したユースホステルのあるモスカビデに駅ができていた。ショッピングモールのあるオリエンテ駅からたくさんの乗客が乗ってくるが、それでも席が満席になることはなかった。街の規模や乗客数に比べて、大きすぎるキャパシティの駅や車両を使っているのだろう。

財政赤字削減に反対する労働組合がストライキをしているらしく、「日本の赤旗新聞」のネット記事によれば、先週は税関とリスボンの地下鉄がストライキ、今週はリスボンのバスやほかの公共機関がクリスマス休暇を狙ってストライキをするとのこと。豪華すぎる公共施設を作って、いまは維持費だけでヒイヒイ言っている状態だが、日本のように施設の寿命が迫ってくると改築する金もなくてボロボロの施設だらけで、突然崩壊したりするようになるんじゃないでしょうかね。ストライキしてる場合じゃなく、将来どうするのかよく考えたほうがいいと思う。

途中で乗り換えて、ピコアス駅で下車。駅から出ると、雨がやんでいる。熱帯性低気圧のように、スコールのような降り方をしているのだろうか。ミラノに比べて、温かいのは助かるが、雨はちょっと…。

スマホのGPSナビの地図を見ながらホテルを目指す。出発前に、GoogleMapのストリートビューを一通り見ているので、迷うことなくホテルに到着。以前、泊まったことあるので土地勘が少しあってとても楽だ。ホテルのフロントでチェックインしたい旨伝えると、角を曲がった隣のホテルでチェックインしてほしいといわれる。提携してるのかな…。隣のホテルへ行き、そちらのほうが少し高級そうな外観をしているが値段は同じで、ダブルルームで5泊115ユーロ(1泊23ユーロ)と格安だ。朝食はつかないが、シャワーではなくバスルームがあり、Wifiも無料。ホテルの1階は定食屋さんとカフェで、便利なところだ。

夜10時まであいているスーパーに行き(これも、GoogleMapで調査済み)、朝食の食材を仕入れてくる。ついでに、ホテルの下のカフェでピザを1切れ買う(2.2ユーロ)。明日は、暴風雨の中をポルトガル最南端の町ファーロまで往復する予定。

本当は、レジデンシャル マール・ドス・アゾーレスに予約を入れたが、泊まっているのは、レジデンシャル ジョアンXXI というホテル。ヨハネス21世というポルトガル出身のローマ教皇の名前が付いている。恐れ多い名前を付けたものだ…

■ レジデンシャル ヨハネス21世 207号室 23ユーロ/1泊

2013/12/22

12月22日 ベルガモ、ミラノ

12月22日(日曜日)

昨日に引き続き、今日も霧雨です。7時30分からホステルの朝食。イタリアのホステルの朝食は期待してはならないけど、やはりその「期待」を裏切らない質素さ。以前泊まったナポリほどではないけど…。 パンと、シリアル、ヨーグルトが「取り放題」なのが進化している程度か。

チェックアウト時間は11時なので、部屋に荷物を放置して旧市街に出かける。ホステルのあるポルタ・ヌオーヴァ付近は、午前8時すぎではほとんど人が歩いていない。道路に掛けられているクリスマスの電飾だけが寂しそうに光っている。昨日より霧が深くなっているようで、ポルタ・ヌオーヴァの交差点から見る時計塔すらかすんでしまっている。

■ ポルタ・ヌオーヴァ 8:45 → 旧市街 チッタデッラ前 8:55 (市バス 1A系統 1日乗車券5ユーロ)

市バスに乗り、終点の(旧市街の最も奥にある)チッタデッラの前まで行く。旧市街に登っていく道路には、たくさんのジョギングする人がいる。チッタデッラのところには、スポーツバイクに乗るサイクリストまで…。 雨なのに、クリスマスなのに気合入ってますね。

チッタデッラの回廊の屋根のあるところには、クリスマスだからか、普段から出ているのか知らないがオーガニック食品や美術品を売る露店が並んでいる。ヴェッキア広場に向けて歩く。昨夕はたくさんの地元の家族連れが歩いていたが、さすがに早朝にはその姿も見かけず、ゴーストタウン状態。観光客も、もちろん皆無なのでコッレオーニ礼拝堂や大聖堂の中をちらっと覗いてみたが、無人状態だ。


ベルガモ城塞


昨日、時間切れで行けなかった城塞を見に行く。旧市街ケーブルカーの駅前から急な坂道を少しだけ登ると、霧にかすんだ塔が見えてくる。内部はベルガモの歴史を展示した資料館になっていた(入場料2.5ユーロ)。城のメインタワーの石垣の外には、戦死した英雄の記念碑に囲まれてM42戦車が展示されている。


城塞に展示されているM42戦車


霧雨でも、傘をさして撮影するわけにもいかず、もうずぶ濡れである。ケーブルカーとバスを乗り継ぎ、新市街に戻る。

■ Piazza Mercato Scarpe 10:24 → Via Emanuelle Vittorio II 10:26 (旧市街ケーブルカー 1日乗車券5ユーロ)
■ Via Emanuelle Vittorio II 10:30 → ヴィットリオ・エマニュエレ広場 (市バス 1A系統 1日乗車券5ユーロ)

ヴィットリオ・エマニュエレ広場には、この時間にはだれも乗っていない回転木馬が、音楽だけはクリスマスらしく流しながら回っている。すぐ横のダンテ広場を見てみると、こちらにはクリスマス市の露店が並んでいる。もう10時過ぎているので、ちらほらとお客が来ている。

聖バルトロメオ教会の前まで行き、引き換えし、ホステルに戻る。チェックアウトの11時少し前。部屋でぬれた服をタオルで拭き、チェックアウト。列車は毎時2分なので、12時02分の予定時間までしばらくある。ホステル1階のラウンジで、いまこの日記(今日の前半分)を書いている。

~~~ ここから ~~~

■ ポルタ・ヌオーヴァ 11:40 → 鉄道駅 11:41 (市バス 1A系統 1日乗車券5ユーロ)

12時02分発の列車は、駅にたどり着いた時にはすでにプラットホームに停車していた。イタリア鉄道の列車ではなく、スイス国鉄(CFF)とTRENORDの両方のマークが入った新型車両だ。国境付近でもないのに、何でスイス国鉄と提携してるのだろうか…。

■ ベルガモ 12:02 → ミラノ中央駅 12:50

乗り込んだ快速列車は、ディーゼル車両とは思えないほどの静かさで出発。霧に覆われた小麦畑の中を西へ向かってゆく。車内は結構満員で、立ち席の人が少し居る。途中3駅ほど停車して、定刻通りミラノ中央駅に到着。ほかのプラットホームには、高速列車のユーロスターや、去年から走り出した民間鉄道会社イタロの高速列車などが停車している。

駅を出て、予約したホテルに向かう。駅の東口には、ミラノ空港行きのバスが停車していて、10ユーロと値段が掲示されている。遠いベルガモ空港が5ユーロなのに、(相対的に)近いミラノ空港のほうが高いのか。格安航空しか発着していないベルガモの乗客からは高い金をとれないという判断なのだろうか。

駅を出ると不思議な角度で交わった道路ばかりだ。スマホにインストールしているGPSナビゲーションで、どんなややこしい所でも迷うことなくたどり着けるのは、便利なことだ。ただ、以前のように海外旅行でのドキドキ感は全くなくなってしまったのは、寂しいことでもある。


インド人街にあるホテルにチェックインし、荷物を置いて観光に出かける。ホテル周辺のインドレストランは、インド人が座席をほぼ独占してくつろいでいるので、非インド人の私のような人間が入れるような雰囲気ではない。地下鉄ロレット駅前にあるチキン・ファストフード店でチキンバーガー(3.5ユーロ)を食べて昼食とする。

この地下鉄駅の前には、マクドナルドもあるし、1本道を隔てたところには大きなスーパーマーケットもある。旅行者にとっての便利商店が集まっている感じだ。

地下鉄駅の自販機で1日乗車券を買う。4.5ユーロなので、50ユーロや20ユーロの紙幣を入れると「もっと小額紙幣を入れろ」と警告表示が出てお札が戻ってくる。結局、10ユーロしか受け付けてくれなかった。地下鉄1号線に乗り、ドゥオーモ駅で下車。

■ ロレット 14:07 → ドゥオーモ 14:14 (地下鉄M1 1日乗車券 4.5ユーロ)

駅を出ると、目の前にゴシック様式の大聖堂。そしてクリスマス市の露店が出ている。観光客だろうか、ものすごくたくさんの人が大聖堂前の広場を歩いている。10年位前にこの街に来た時には、ワールドカップサッカーのパブリックビューをしていたが、こんなたくさんの人を見かけなかった。大聖堂に入場する。入場料は取られない。

内部は、かなり大きな空間だ。こんな大きかったという記憶が全くない。身廊の真ん中に巨大なテレビスクリーンを置いて、何かイベントの準備をしているようだ。地下のクリプトの見学に行列ができている。何やら中国人と思われる団体客が、とんでもなくゆっくりと見学しているようだ。キリスト教じゃないんだから、聖人の骨をじっくり見てどうすんだと…。

大聖堂を出てガレリアを横切る。中央にはロンバルディアの旗のマーク(Coat of Arms)と、SVQR(以前よりの、また新規の元老院議員諸君)という略語のモザイク画が埋め込まれている。スカラ座前の広場には、レオナルドダヴィンチの像。とりあえずこのくらいを見て、10年前に入場しなかったスフォルツア城へ。

雨はとりあえず小降りになったが、霧が結構出ている。城の塔が少しだけかすんでいるが、ベルガモ旧市街ほどではないのが救いだ。城の中の展示室の共通入場券は3ユーロと格安だ。中世の教会の石像や、建築部材などが展示されていたり、中世から近世までの家具調度品、中世の甲冑など、いろいろな種類の展示がある。


スフォルツァ城内 中世の騎士

城の歴史を開設したような展示は見かけなかったが、そういうのを知りたい人はイタリアには居ないのだろう。

■ Cairoli 16:29 → ロレット16:39 (地下鉄M1 1日乗車券 4.5ユーロ)

いったんホテルまで戻る。途中でスーパーマーケットに寄り、明日の朝食の食材を買う。ロレット駅前の昼にチキンバーガー0を食べた店で、チキン・ウィングのセットメニューを注文。フレンチフライの代わりに、タイ米を蒸したのに変更したもらった。5.4ユーロ。

■ ロレット 17:50 → ドゥオーモ 18:00 (地下鉄M1 1日乗車券 4.5ユーロ)

夜景を撮影するために、再びドゥオーモ駅へ。大聖堂前の広場には巨大なクリスマスツリーが置かれていて、これと大聖堂、あるいはガレリアとの組み合わせの写真を、人ごみの中で何とか撮影。


大聖堂とクリスマスツリー


大聖堂広場の動画

周辺の道のいくつかを回って、撮影対象になりそうな電飾を探すが、地味なのはあるが特にこれといったものは無い。以前訪れたイタリアの街、パレルモやシラクーザ、あるいはフィレンツェなどではきれいな電飾が目抜き通りなどに取り付けられていたが、ミラノではそういうのは無いようだ。

スカラ座の前の広場では、音楽に合わせて建物に光を当てていたりするが、こういうのは写真撮影には不適だ。

■ ドゥオーモ 18:48 → リマ 18:58 (地下鉄M1 1日乗車券 4.5ユーロ)

今日泊まる安宿は、騒々しくドアを開け閉めしたり、地響きを立てて歩くような下品な客が多いようだ。壁が薄すぎて、騒音が響き渡っている。今回の旅行で泊まったホテルで一番よかったのはラルナカのリゾートホテル。その次が、ベルガモのホステル。ただし、朝食は評価対象から除く (笑

■ ホテル・カリプソ 16号室 37ユーロ/1泊

~~ ミラノ マルペンサ空港T-2の無料Wifiで書き込み

2013/12/21

12月21日 パフォス、ベルガモ

12月21日(土曜日)

朝、部屋の窓から外を見ると快晴だ。昨日こんな天気だったら… 写真撮影も楽だっただろう。

今日乗るベルガモ行きの飛行機は、ゲート・クローズが10時50分。カト・パフォス発の空港行きバスは始発が10時で、所要時間が30分らしい。道路が渋滞していたり、空港で迷ったりしたら即アウトだ。シェンゲン加盟国じゃないので、国境審査もあるだろうし…。 一昨日、ホテルのフロントにいたマネジャーの女性とそういう話をして、結局タクシーを呼ぶことにした。タクシーが来るまでの時間、手短に写真撮影に出かける。

ホテルの裏手にある聖キリヤキ教会を少しだけ撮影。ここは夕方のほうが「作例」に近いものができるはずだ。


パフォス港で釣りをする老人

昨日、夕方で光の方向がイマイチだった港の先端にあるパフォス城へ。港の岸壁で釣りをしているお年寄りは、どうも昨日の夕方見た人たちと同じようだ。暇なのか、単に釣りが好きなのか…。ヴェネツィア共和国やオスマン帝国時代にこの城(砦)が整備された時には、現在のようにコンクリート製の防波堤や突堤は無かったはずだ。城を防波堤のコンクリート護岸で取り囲んでしまうのはどうなんだろうか。早朝の太陽光が、かろうじて城の北面を照らしている。


キプロス沿岸警備艇とパフォス城

港の岸壁沿いをのんびり歩いていると、時折観光客らしき人が散歩したり、写真撮影したりしている。いくらオフシーズンといえ、少しくらいは観光客も来ているようだ。

ホテルに戻ると、9時20分と約束していたタクシーが既に玄関前に停まっている。ホテルをチェックアウトし、タクシーの乗り込む。空港まで「固定料金」の25ユーロとのこと。空港まで16kmあるので、まあ、観光客価格としては標準的なものなのだろう。タクシーは15分ほどで空港に到着。タクシーメーターは16.5ユーロだが、観光客は固定料金だということで譲らない。固定料金ってのは、メーター価格の倍額近くをぼったくるのを「公定」でもしているのか、とんでもないシステムだ。それなら、発展途上国のようにタクシーメーターなどなくしてしまえばよい。

空港の出国審査は、やはり曲者だった。Departureゲート入り口でプリントアウトした搭乗券を示すと、「スイスポート」へ行ってスタンプを押してもらってこいとのこと、「スイスポート」って…? チェックインカウンターの並んだ反対側、航空会社の予約カウンターなどが並んでいるいちばん端に「swissport」と書かれた受付台がある。そういえば、swissportという名前で空港の運営受託しているところがあったような。どこだったか忘れたが、空港運営会社の名前だ。

そこから先は、すんなりと搭乗ゲート前まで進んだ。市バスが定刻通り空港に到着するのなら、確かにぎりぎり間に合うタイミングだ。飛行機は11時台にベルガモ行き、12時台にモスクワ行き、14時台にロンドン行きというように時間が離れているので、10時の市バスの顧客ターゲットは、モスクワ行きなのかベルガモ行きなのかはっきりしない。


パフォス空港からRyanairに乗る

■ パフォス空港 11:35 → ベルガモ空港 14:05 (Ryanair インターネット予約 48.52ユーロ)

飛行機はキプロス島を飛び立つと、ロドス島上空、アテネのピレウス上空を通り過ぎて、コリントス地峡、ケルキラ上空を経てアドリア海へ抜ける。コリントス地峡の上空からは、数年5年ほど前に訪れたデルフィの村と、雪の積もった高山が見える。ギリシアで雪ってのも、経験したことがないからどんなものかわからないが、そういえば、スキー場があるとも聞いたことがある。

イタリア北部に差し掛かると曇りとなり、ベルガモ空港着陸寸前には霧と雨の中だ。天気予報がよく当たるものだ。キプロスはシェンゲン条約対象外なので、飛行機から降りて向かうのは国際線ターミナルの方だ。駐機場を見ると、ライアンエアの飛行機がずらっと並んでいる。確か、ライアンエアはベルガモをハブ空港として使っていると聞いたことがある。

空港内の観光案内所で市営交通24時間乗車券(5ユーロ)を買い、ロータリーの隅っこにひっそりと立つ市バス乗り場で待つ。ふと目の前を見ると、ミラノ中央駅行きのバスが何台も並んでいる。さすが、「ミラノ(ベルガモ)空港」を標榜するだけはあり、シャトルバスの運賃も5ユーロと安いと思う。

■ ベルガモ空港 14:25 → 鉄道駅 14:40 (市バス1A系 運賃 1日券 5ユーロ)

中央駅で市バスを降り、駅の切符自販機で明日の切符を買う。鉄道の2等車が5.3ユーロと、ベルガモ空港からミラノ行きの高速シャトルバスより0.3ユーロだけ高い。が、鉄道のほうが楽そうなので、自販機で切符を購入してから、予約したホテルへ向かう。駅前のバスターミナルの横にはクリスマス市が出ている。そこから新市街の中心、ポルタ・ヌオーヴァまでのローマ通りには、少し高級そうな店が並んでいる。何かの記事で読んだのだが、ベルガモはイタリアで一番地価が高い旧市街だそうだ。


新市街 鉄道駅前のクリスマス市

予約したホテルは、店の並んだ通りから1本入った静かそうな場所にあった。チェックインし、荷物を置いて外へ。ホテルのフロントで聞いたポルタ・ヌオーヴァ前のスーパーマーケットに向かう。1階に「BILLA」と書かれたどこかで見たことのあるようなデザイン。旧東欧のどこかの国にたくさん支店があったはずだ。外から見ると衣料品の店にしか見えないが、店内のひっそりとした階段を降りるとスーパーマーケットがある。ここにスーパーがあると教えられないと、絶対にわかりっこない。

そういえば、昼食がまだだったので、駅前通りのケバブ屋に入り、ドネル・ケバブを食べる(5ユーロ)。ギリシアとほとんど価格が変わらない。

■ ポルタ・ヌオーヴァ 16:07 → 旧市街 16:15 (市バス 1系統、1日乗車券5ユーロ)

1系統バスに乗り、旧市街へ。新市街を出ると旧市街の丘に登るつづら折りの道路を登り始める。バスが高度を上げるとともに、霧が濃いくなり、外科医の新市街がかすんで見えるようになる。旧市街の路地には、クリスマスの電飾が「地味に」飾られている。近頃日本は歴史も文化もない「単なる光輝くだけのイルミネーション」をやりまくっているので、本場のものを久々に見ると、こんな風だったかなと、少しがっかりすることもある。


15世紀に建てられたコッレオーニ礼拝堂


コッレオーニ礼拝堂 内陣付近の祈りの像

旧市街中心のヴェッキア広場、特に何の電飾も無く、建物のライトアップもない。時計塔のてっぺんが霧でかすんでいる。ラジョーネ宮の美術展を見る。美術展とは関係ないが、壁には巨大な最後の晩餐の絵が掛けられている。コッレオーニ礼拝堂と大聖堂は無料で見学。夕方だからなのか、それとも普段からこんなものなのか知らないが、照明が一部しか照らしておらず、薄暗い。


ヴェッキア広場 (右側の建物がラジョーネ宮)


17世紀に建てられた大聖堂

旧市街を歩いていると、切り売りのピザ屋があったので入る。店員がハサミでざっくりと切り取り、オーブンで再加熱して、さらに食べやすいように細切れに切ってくれる。付け合わせにパン1個…(小麦粉ばかりやな)。1個で確実に満腹になる大きさで、値段は5.6ユーロ。イタリア人はこの大きさでもファストフードの位置づけなのだろうか。


■ Piazza Mercato Scarpe 18:05 → Via Emanuelle Vittorio II 18:08 (旧市街ケーブルカー 1日乗車券5ユーロ)
■ Via Emanuelle Vittorio II 18:10 → ポルタ・ヌオーヴァ (市バス 1A系統 1日乗車券5ユーロ)

帰りはケーブルカーに乗って、そこからバスに乗り換えて新市街まで戻ってくる。ずっと霧雨が降っていて、それなりに肌寒い。気温は一日を通して8℃~10℃くらい。キプロス島に比べて10℃も低いので、肌寒く感じる。

新市街の目抜き通りのローマ通りを挟んで建てられているポルタ・ヌオーヴァは、建物の円柱部分に電飾がされている。すぐ横のヴィットリオ・エマニュエレ広場にはクリスマスの回転木馬が出ている。新市街でクリスマスらしいのはこのあたりだけのようだ。神戸の「ルミナリエ」のようなのを期待していると、確実にがっくり観光地になってしまう。まあ、この地味なのが歴史を感じさせていいのかもしれないし、「地価が一番高い」上品な街に派手な演出は必要ないともいえるのかもしれない。


新市街 ヴィットリオ・エマニュエレ広場

■ セントラル・ホステル BG 23号室 39.9ユーロ/1泊

2013/12/20

12月20日 パフォス

12月20日(金曜日)

早朝、太陽が昇る前、窓の外から雷鳴が聞こえる。ホテルの窓は西向きなので、はるか海上で雷雨となっているようだ。8時、ホテルの1階のバーで朝食。オフシーズンなのに、7~8組の客が泊まっていたようだ。

港の近くのこの地区(カト・パフォス)は、リゾートホテルや土産物屋、レストランなどが集まっていて、昨日の夕方ざっと見て回ったところ半数以上の店が閉まっていた。経済危機が起こったから閉鎖されて売りに出されている店もかなりあったが、単にオフシーズンは閉めているところもあると思われる。その結果、営業しているホテルに遺跡観光の客が集中して、それなりの回転率を得られるのだろう。

昨日の夜に1枚45セントの絵葉書を買ったので、それを出すために郵便局に向かう。地区の中心から離れるに従い、どんどん店の廃業率が上がっていく雰囲気だ。海外への葉書の料金は0.45ユーロ。果たして何日くらいで届くのだろうか…。


パフォスの郵便局

港の方へ向かう。港の先端にパフォス城がある。港の防衛のために東ローマ帝国時代にこの場所に砦が造られ、その後地震で崩れたり、ヴェネツィア共和国により武装解除されたりして、現在の姿に改築したのはオスマン帝国だそうだ。ホテルを出るときにはパラパラ振っていた程度の雨が、吹き降りになってきた。とりあえず、パフォス城に入場。入場料は2.5ユーロ。内部は… 何もありませんね。屋上に登るための階段があるだけです。天気が良ければ、ヨットハーバーのきれいな景色が見れるのだろうが、吹き降りでは屋上に登っても単に濡れるだけだ。


パフォス城

パフォス城の横、埠頭の先端には海上警察の停泊地があり、小さな警備艇が2隻停泊している。シリアまで最短距離で100㎞しかないため、難民船が押しかけてきたら追い払うのが主なお仕事だろうか。キプロスはシェンゲン加盟国じゃないため、ここに押しかけても他のEU諸国に自由に移動できないのでは、あまり意味がないかな。

雨が少し小降りになったので、カト・パフォス遺跡公園へ。カト・パフォス地区の半分以上が遺跡じゃないかと思うくらい、広大な土地にぽつぽつと遺跡が点在している。入場料は4.5ユーロで、ローマ帝国時代のモザイクがある建物などは、この有料の地区にある。宿泊しているホテルの隣の教会(聖パウロの円柱があったところ)やカタコンベなど、昨日見物した町の中に点在している遺跡も含め、カト・パフォス地区全体が世界遺産に登録されているそうだ。

デュオニソスの家、テセウスの家、アイオンの家などと呼ばれている建物は、そこにある有名なモザイクの登場人物の名前を付けだもののようだ。そういえば、他の古代ギリシャや古代ローマの都市遺跡のように、文字を書いた石材というのは見当たらない。家の持ち主の名前がわからないのなら、手っ取り早く床に描かれた人物の名前を家自体につけてしまえ、というような安易な命名法なのだろう。


テセウスのモザイク画

確かに、モザイク画の保存状態は良く、去年イスタンブールで見た東ローマ帝国の宮殿のモザイク画の博物館ほどではないが、それに匹敵するくらいのものだと思う。人物や動物を描いた大作は人が上を歩かないようにフェンスなどをしているが、単純な幾何学的なモザイク画は、観光客が通る通路に放置されたままになっている。

入場口付近のモザイク画の展示を見た後、遺跡公園の敷地の中央付近にある灯台やローマ劇場跡などを見に行く。小規模な古代劇場の横には、アスクレピオン神殿がある。古代ギリシアにせよ、ローマ帝国にせよ、こんな僻地にアスクレピオス神殿を作るとは、「パンとサーカス」だけでなく、医療も統治の手段としてばらまいていたのだろうか…


古代劇場跡と灯台

遺跡公園のはずれには、カタコンベ(地下墓地)がある。説明書きによれば、プトレマイオス朝とか書いてある。さすが、中近東付近になると、エジプト文明の植民地になったこともあるということなのだろう。

2時間半ほど遺跡を見学した後、カト・パフォス中央部にあるスーパーマーケットの向かいのドネル・ケバブ屋で昼食。チキン・ドネル・プレートとミネラル水で7ユーロ。日本円に直すと1000円超だが、ドイツやイギリスなど欧州主要国より感覚的な物価は安いのだと思う。

■ カト・パフォス 13:10 → Tombs of the Kings (市バス615系統、運賃1.5ユーロ)

10分に1本走っているコーラル・ベイ行きのバスに乗り、5分ほどで王家の墓の前に到着。入場料は2.5ユーロで、広大な土地に、岩山にうがたれた墓穴らしきものが点在している。こちらはモザイク画もなく、TOMB 1 … と番号で呼ばれているようだ。何の墓なのか、いつごろのものなのか、説明板すらないので、まあ古いものなんだろうな… というような理解で。Wikipediaによれば、紀元前4世紀ごろのものだそうだ。


王家の墓

この街の遺跡は、どこも道案内板などもほとんどなく、『興味ある観光客は勝手に見ればいい』というような感じだ。遺跡観光よりも、ビーチリゾートで散財してくれたり、投資用の住宅を購入してくれたりする客のほうが、たくさんの金を落としてくれるので好ましいのだろう。そういえば、この町の至る所に中国語で書かれた不動産屋の看板が林立している。ロシアのマネーロンダリング(今春破綻)の次は、中国人の土地ころがしの金を狙ってるのか。金に色はついていないが、また破綻しなければいいですね(棒読み)。

■ Tombs of the Kings 14:10 → カト・パフォス(市バス615系統、運賃1.5ユーロ)

スーパーで夕食用の食材を買ってホテルに戻る。窓の外を見ると、雲が晴れて日が差してきている。日没まで1時間ほど、写真撮影に出かける。

まずは、昨日訪れたホテルのすぐ横の聖キリヤキ教会。次に、カト・パフォス遺跡公園へ。朝の入場券を示して、もう一度入場させてもらった。太陽が水平線近くにあり、古代劇場などはすでに影になってしまっていて撮影不可。もう少し早く晴れてくれればよかった。


聖キリヤキ教会


テセウスの館(カト・パフォス遺跡公園)


サランダ・コロネス砦(カト・パフォス遺跡公園)


パフォス城


夕焼け

■ ピラモス・ホテル 301号室(20ユーロ/1泊)