2013/12/25

12月25日 リスボン、カスカイス

12月25日(水曜日)

クリスマス。ほとんどの店が閉店し、交通機関も「特別に」減便して運行される日。さらに追い打ちをかけるように、公務員のストライキがクリスマス休暇期間にあわせて実施されているとのこと。確かに、ごみ収集のストで、道にあるごみ箱があふれかえっているし、今朝はホテルの前にあるバス停に停車するバスの音を全く聞かない。テレビでは、昨日の18時からバス全線でスト突入というようなことを言っていたが…。

外は、時折どしゃ降りの雨が降る不安定な天気。10時少し前、雨が止んだので出かける。公設市場の横を通り、サルダーニャ広場へ。19世紀のポルトガルの首相サルダーニャの像がある。そこからまっすぐ北に延びる大通り、共和国通りのずっと向うに国鉄のエントレカンポス駅が見える。その駅の方へ目指していくが、少し寄り道して右の(西の)ほうへ。

「Casa Da Moeda」(お金の家=造幣局)と書かれた小ぢんまりした建物がある。誰も乗っていないパトカーが玄関の前に駐車されているだけで、特にこれといった警備もされていない雰囲気。その向うに、巨人と小人のオッサンの像がラウンドアバウトの真ん中に立っている。小さいほうの人物像に「アントニオ・ホセ・アルメイダ」と書いてあるが、大きいほうは誰なんだろう…。


アントニオ・ホセ・アルメイダ像

北のほうを眺めると、これまた変わった巨大な建物。明らかに、外敵から中身を守っているといった感じの建物で、ぐるっとまわりこんでみると、カイハ・ゲラフ・デポジトリというポルトガル最大の銀行の本社の建物だ。財政赤字で国がぶっ潰れそうなのに、この巨大な建物は…。ちょっとした国レベルの金を動かしているファンドの本部でさえ、せいぜい建物のワンフロア程度なのに、これだけでかい建物で「国がぶっ潰れそう」とは、よほど金儲けのセンスがないんでしょうか…。まあ、地下鉄などの公共施設にしても巨大なのが好きなのかもしれない。

斜め向かいには、レンガ造りのカンポ・ペケーノ闘牛場がある。19世紀末に建てられた建物が、2006年に改築されたそうで、闘牛以外にコンサートなども行えるそうだ。闘牛だけでは儲からないんでしょうね。


カンポ・ペケーノ闘牛場

闘牛場前を通り過ぎると、すぐに国鉄エントレカンポス駅。昨日の大雨の影響か、屋内コンコースの一部に大きな水たまりができている。国鉄駅から地下鉄駅までは500mほど離れているが、地下通路に水平エスカレーターが付いていて、雨の日でもぬれずに移動できるようになっている。昨日、この駅の乗り継ぎが屋外で雨にぬれるかもしれないと思ったので、遠いオリエンテ駅まで乗り継ぎに行ったが、この駅でもよかったわけだ。

地下鉄の1日券を買う。昨日買ったICカードに、1日券も格納できるようだ。地下鉄Vermelha線に乗り、ホテルの近くのピコアス駅を通り過ぎて、終点のラト駅まで乗る。駅を出ると、

■ エントレカンポス 10:55 → ラト (地下鉄 Vermelha線 1日乗車券 6ユーロ)
■ ラト 11:17 → ピコアス (地下鉄 Vermelha線 1日乗車券 6ユーロ)

ラト駅を出ると、小さな広場にバス停が所狭しと並んでいる。このあたりのバスの乗り継ぎスポットなのだろうか。周囲を見回しても、特に珍しそうなものは無いし、吹き降りの雨も降ってきたので撤退。ピコアス駅まで戻り、歩いてホテルに戻る。ホテルのあるゴメス・フレイレはバスの乗り継ぎポイントのような場所で、大衆レストランやカフェが何軒か固まってある。でも、今日はクリスマスのため、中国料理屋を除いてすべて閉店している。

やはり、キリスト教じゃない中国人は、クリスマスは関係ないのだろう。その中華料理屋に入って昼食を食べる。鶏肉と野菜の炒め物に、小さい焼き飯、ミネラル水で6.5ユーロ。日本で中華料理屋に行って昼定食を食べたらこんな価格なのだが、欧州では安い部類に入ると思う。その、キリスト教徒のポルトガル人も、クリスマスに開いている店が無いので、この中華料理屋に集中してやってきているようだ。

外は急にどしゃ降りの雨が降ったと思ったら、急に青空が広がったりと不純な天気。雨が止んだ瞬間に地下鉄アンジョス駅まで行き、そこから終点のカイス・ド・ソドレ駅へ。国鉄に乗り換えて、カスカイスを目指す。

■ アンジョス → カイス・ド・ソドレ 13:01(地下鉄 Verde線 1日乗車券 6ユーロ)
■ カイス・ド・ソドレ 13:20 → カスカイス 14:05 (国鉄 2.15ユーロ)

国鉄も地下鉄と同じデザインのICカードを使っている。地下鉄で買ったほうは、1日乗車券を格納しているので、カスカイスまでの切符を入れることができない。1枚のICカードには、1種類の切符しか入らないということらしい。もう一枚ICカードを買って、往復分の切符2枚を格納する。

20分に1本走っている列車に乗り、終点のカスカイス駅まで約45分。テージョ川河口の北岸沿いにずっと走ってっ行く。カスカイスに到着すると、晴れている。雲が速く流れているが、30分くらいなら大丈夫そうな雰囲気だ。駅から海岸まで、クリスマスで誰も歩いていない繁華街を下ってゆく。小さい船溜まりがあり、ヨットではなく漁船がたくさん停泊している。岸壁や桟橋には、タコの仕掛けだろうか、たくさんの網でできたツボのようなものが並んでいる。


カスカイスのPalácio Seixas

20世紀に建てられた、中世の城を模した建物が港の傍らに建っている。まるで、「これがカスカイス城ですよ」とアピールしているかのような「偽の城」。本物の城は、船溜まりを挟んだ反対側にあり、こちらは15世紀に建てられた砦の壁だけが残っていて、敷地内はホテルなどの商業施設になってしまっている。


砦の前に建つカルロス1世像

テージョ川河口にある砦なので、さぞ役立ったろうと思ったが、Wikipediaによればスペインの攻撃に全く耐えられなかったそうだ。頑強そうなのは見かけだけですか…。城の傍らには19世紀末のポルトガル国王 カルロス1世像がある。海に向かって双眼鏡を握りしめている像は、珍しいデザインだ。

■ カスカイス 15:03 → カイス・ド・ソドレ 15:45(国鉄 2.15ユーロ)
■ カイス・ド・ソドレ 15:46 → ゴメス・フレイレ 15:59 (バス 760系統 1日乗車券 6ユーロ)

再び国鉄に乗り、カイス・ド・ソドレ駅で下車。たまたま駅前にやってきた760系統のバスに乗り、ホテルの前まで一気に戻る。昼に入った中華料理屋に入り、今度は夕食。牛肉と野菜のいためもの、半分チャーハン、ヨーグルトドリンクで7.35ユーロ。

夕方になり、天気が急速によくなってきて、かなり青空が見えている。夜景撮影のため、再びバスに乗りコメルシオ広場へ。以前来た時には、きれいな色の光で役所の建物が照らされていたが、今日は音楽に合わせて何か映像を建物に映している。中央のアウグスタ門に「サーカス de LUZ 12月14日~25日」という映像が大きく映し出されている。広場にはたくさんの人が待っている。役所の建物に映像を映すショーをやるのを待っているのだろう。

18時、今まで流れていた音楽が急に切り替わり、ダイナミックな映像が映し出される。「サーカス」をどこかでやる宣伝ではなく、建物にアニメのサーカスを映し出すショーが始まった。たしかに、この方法なら広場に集まるたくさんの人が同時にサーカスを見ることができて、クリスマスの催しとしてはなかなか考えられている。ショーは20分ほど続き、見物客の大きな拍手で終了した。


コメルシオ広場の光のショー


動画も


イルミネーションも今日のクリスマスで終了するので、ちょうど良いタイミングで来ることができた。アウグスタ門を通り抜け、目抜き通りのアウグスタ通りのイルミネーションを見つつ、地下鉄の駅へ。イタリアでも感じたが、以前に比べてクリスマスのイルミネーションが「しょぼく」なっている。やはり、経済危機が影響しているのだろうか。

■ バイシャ・シアド → マルケ・デ・ポンバル → ピコアス(地下鉄 Azul線, Vermelha線 1日乗車券 6ユーロ)

■ レジデンシャル ヨハネス21世 207号室 23ユーロ/1泊