2013/12/20

12月20日 パフォス

12月20日(金曜日)

早朝、太陽が昇る前、窓の外から雷鳴が聞こえる。ホテルの窓は西向きなので、はるか海上で雷雨となっているようだ。8時、ホテルの1階のバーで朝食。オフシーズンなのに、7~8組の客が泊まっていたようだ。

港の近くのこの地区(カト・パフォス)は、リゾートホテルや土産物屋、レストランなどが集まっていて、昨日の夕方ざっと見て回ったところ半数以上の店が閉まっていた。経済危機が起こったから閉鎖されて売りに出されている店もかなりあったが、単にオフシーズンは閉めているところもあると思われる。その結果、営業しているホテルに遺跡観光の客が集中して、それなりの回転率を得られるのだろう。

昨日の夜に1枚45セントの絵葉書を買ったので、それを出すために郵便局に向かう。地区の中心から離れるに従い、どんどん店の廃業率が上がっていく雰囲気だ。海外への葉書の料金は0.45ユーロ。果たして何日くらいで届くのだろうか…。


パフォスの郵便局

港の方へ向かう。港の先端にパフォス城がある。港の防衛のために東ローマ帝国時代にこの場所に砦が造られ、その後地震で崩れたり、ヴェネツィア共和国により武装解除されたりして、現在の姿に改築したのはオスマン帝国だそうだ。ホテルを出るときにはパラパラ振っていた程度の雨が、吹き降りになってきた。とりあえず、パフォス城に入場。入場料は2.5ユーロ。内部は… 何もありませんね。屋上に登るための階段があるだけです。天気が良ければ、ヨットハーバーのきれいな景色が見れるのだろうが、吹き降りでは屋上に登っても単に濡れるだけだ。


パフォス城

パフォス城の横、埠頭の先端には海上警察の停泊地があり、小さな警備艇が2隻停泊している。シリアまで最短距離で100㎞しかないため、難民船が押しかけてきたら追い払うのが主なお仕事だろうか。キプロスはシェンゲン加盟国じゃないため、ここに押しかけても他のEU諸国に自由に移動できないのでは、あまり意味がないかな。

雨が少し小降りになったので、カト・パフォス遺跡公園へ。カト・パフォス地区の半分以上が遺跡じゃないかと思うくらい、広大な土地にぽつぽつと遺跡が点在している。入場料は4.5ユーロで、ローマ帝国時代のモザイクがある建物などは、この有料の地区にある。宿泊しているホテルの隣の教会(聖パウロの円柱があったところ)やカタコンベなど、昨日見物した町の中に点在している遺跡も含め、カト・パフォス地区全体が世界遺産に登録されているそうだ。

デュオニソスの家、テセウスの家、アイオンの家などと呼ばれている建物は、そこにある有名なモザイクの登場人物の名前を付けだもののようだ。そういえば、他の古代ギリシャや古代ローマの都市遺跡のように、文字を書いた石材というのは見当たらない。家の持ち主の名前がわからないのなら、手っ取り早く床に描かれた人物の名前を家自体につけてしまえ、というような安易な命名法なのだろう。


テセウスのモザイク画

確かに、モザイク画の保存状態は良く、去年イスタンブールで見た東ローマ帝国の宮殿のモザイク画の博物館ほどではないが、それに匹敵するくらいのものだと思う。人物や動物を描いた大作は人が上を歩かないようにフェンスなどをしているが、単純な幾何学的なモザイク画は、観光客が通る通路に放置されたままになっている。

入場口付近のモザイク画の展示を見た後、遺跡公園の敷地の中央付近にある灯台やローマ劇場跡などを見に行く。小規模な古代劇場の横には、アスクレピオン神殿がある。古代ギリシアにせよ、ローマ帝国にせよ、こんな僻地にアスクレピオス神殿を作るとは、「パンとサーカス」だけでなく、医療も統治の手段としてばらまいていたのだろうか…


古代劇場跡と灯台

遺跡公園のはずれには、カタコンベ(地下墓地)がある。説明書きによれば、プトレマイオス朝とか書いてある。さすが、中近東付近になると、エジプト文明の植民地になったこともあるということなのだろう。

2時間半ほど遺跡を見学した後、カト・パフォス中央部にあるスーパーマーケットの向かいのドネル・ケバブ屋で昼食。チキン・ドネル・プレートとミネラル水で7ユーロ。日本円に直すと1000円超だが、ドイツやイギリスなど欧州主要国より感覚的な物価は安いのだと思う。

■ カト・パフォス 13:10 → Tombs of the Kings (市バス615系統、運賃1.5ユーロ)

10分に1本走っているコーラル・ベイ行きのバスに乗り、5分ほどで王家の墓の前に到着。入場料は2.5ユーロで、広大な土地に、岩山にうがたれた墓穴らしきものが点在している。こちらはモザイク画もなく、TOMB 1 … と番号で呼ばれているようだ。何の墓なのか、いつごろのものなのか、説明板すらないので、まあ古いものなんだろうな… というような理解で。Wikipediaによれば、紀元前4世紀ごろのものだそうだ。


王家の墓

この街の遺跡は、どこも道案内板などもほとんどなく、『興味ある観光客は勝手に見ればいい』というような感じだ。遺跡観光よりも、ビーチリゾートで散財してくれたり、投資用の住宅を購入してくれたりする客のほうが、たくさんの金を落としてくれるので好ましいのだろう。そういえば、この町の至る所に中国語で書かれた不動産屋の看板が林立している。ロシアのマネーロンダリング(今春破綻)の次は、中国人の土地ころがしの金を狙ってるのか。金に色はついていないが、また破綻しなければいいですね(棒読み)。

■ Tombs of the Kings 14:10 → カト・パフォス(市バス615系統、運賃1.5ユーロ)

スーパーで夕食用の食材を買ってホテルに戻る。窓の外を見ると、雲が晴れて日が差してきている。日没まで1時間ほど、写真撮影に出かける。

まずは、昨日訪れたホテルのすぐ横の聖キリヤキ教会。次に、カト・パフォス遺跡公園へ。朝の入場券を示して、もう一度入場させてもらった。太陽が水平線近くにあり、古代劇場などはすでに影になってしまっていて撮影不可。もう少し早く晴れてくれればよかった。


聖キリヤキ教会


テセウスの館(カト・パフォス遺跡公園)


サランダ・コロネス砦(カト・パフォス遺跡公園)


パフォス城


夕焼け

■ ピラモス・ホテル 301号室(20ユーロ/1泊)