2009/12/23

12月23日 上海

12月23日(水曜日)

■ 上海

今日も上海市街地をうろうろと観光することにする。8時過ぎ、人民広場駅よ
り地鉄8号線に乗り虹口足球場(ホンコウ ツゥキュウチャン)駅で下車(運賃
4元)。駅から地上に出ると、サッカースタジアムとの間に地鉄3号線の高架橋
が架かっている。地下がだめなら、高架にしてでも地下鉄を無理やり通してし
まったという感じで、駅舎が5階建てビル並みに高いところに見えている。


魯迅公園でダンスをする人々


魯迅公園(ルーシュン コンユェン)に入ると、林の中でたくさんの人が太極
拳ではなく、音楽にあわせて社交ダンスのようなものをしているのが見える。
405組のグループが、それぞれ違う音楽を流して、それにあわせて踊っている。
「静と動」よりも、踊れればもう何でもいいということなんでしょうか。 少
し離れた中日友好モニュメントの前でも音楽に合わせて踊っている人たちがい
る。 公園の通路では、筆に水をつけて道路に文字を書いて習字の練習をして
いる人もいる。さすが、文学人魯迅の墓がある公園だけあって、文学的なこと
もやっているようだ…。

魯迅公園の園路で書道
魯迅公園の園路で書道


公園内には魯迅記念館(入場料は無料)もあって、魯迅直筆の原稿などが展示
されている。(私は魯迅の作品をこれまで読んだこと無かったと思うので、今
度図書館で借りて呼んでみよう…) そのほか、上海天長節爆弾事件(1932年
に起きた爆弾テロ事件の犯人、尹奉吉の記念碑が梅林にあるらしい。入場料15
元と入り口に表示されていた)の場所でもあるようだ。当時は虹口公園と呼ば
れていたようだが…

魯迅公園を出て、南へ向かう。このあたりは第二次世界大戦前は「日本軍警備
区域」で、一種の「日本租界」のような地域だったそうだ。四川北路の南端に
ある電脳城の横に古い門があり、そこから南が歴史的街区としてアンティーク
ショップが軒を並べるなど、観光地化されている。戦前の建物も結構残ってい
て、「日本人家屋」であった建物も改造を経て現在でも使われている。

その多倫路には、20世紀初頭の文化人(もちろん魯迅も含まれる)の銅像が何
体か建てられているが、そのうちの一つが当時の文化サロン的役割を果たした
内山書店の主の内山完造の像もある。)

再び虹口足球場駅に戻り、地鉄3号線に乗り除家匯(シュージャーホイ)を目
指す。といっても単にその駅で降りるのでは観光にならないので、3号線の宜
山路駅で降りて歩くこととする。宜山路駅のような郊外の駅でも、周辺は上海
万博関連の工事だらけ。 除啓公園あたりまで来ると、周囲の工事の雑音が少
しは聞こえにくくなる。公園の真ん中には、なぜか巨大な十字架があり、明の
時代の天文学者 除光啓の墓もある。公園の横には上海気象台もあって(名前
から想像するよりずっと小さい建物)、その入り口には公園にあるものよりも
立派な銅像があったりする。

除光啓の墓の前で碁を打つ人達
除光啓の墓の前で碁を打つ人達


公園の北側には除家匯天主堂(ゴシック様式の教会)があり、周囲の雰囲気か
ら浮いている。教会のような西洋的なものがあると、必ずといっていいほど
「中国人の結婚写真」を撮影する人たちが居る。こういうものだけ、彼らの合
理性は発揮されないようだ。合理的に考えれば、コンピュータ グラフィック
スで写真を「作成」した方が手っ取り早く安いはずだ。(撮影に行く必要も、
カメラマンを雇う必要も無い)

除家匯天主堂で結婚写真の撮影
除家匯天主堂で結婚写真の撮影


大混雑する除家匯の繁華街に足を踏み入れる。お持ち帰りの点心の店で、巨大
なゴマ団子を買い(3.5元)、昼食とする。除家匯交差点の角にある電脳城を
チラッと覗いてみる。最近はメーカー製のノートパソコンと、アップルのipod
など出来合いの製品が並べられているだけなので、わざわざ見学するまでも無
い。(以前は、中国にしかないような摩訶不思議なコンピュータの部品や、著
作権無視のCD-ROMなどが売られていたこともあった)


科技京城電子市場前の交差点を電動バイクが行き交う


電脳上を見たついでに、電子部品のほうも久々に見物したくなった。地鉄1号
線に乗り、人民広場駅まで戻る。電子部品城は、南京東路の数百メートル北に
並行して走る北京東路にある。周辺は電気工事のための電気部品や工具類を売
る店が軒を連ねている。こちらは見てもなんのことやら分からないので、パス。
目的の科技京城電子市場へ。こちらは出来合いの製品ではなく、ちゃんとICや
電子部品など、電子制御基盤を作るのに必要なすべてのものが販売されている。
 以前は、こういうのは秋葉原が世界最大級だったが、現在では中国にあるこ
のような電子城が世界最大級じゃないだろうかと個人的には思おう。

2009/12/22

12月22日 上海

12月22日(火曜日)

■ 上海

上海を「観光」モードで歩いてみようと思う。 天気予報では晴れのち曇りの
はずが、一日快晴だった。

8時過ぎ、人民広場駅から地鉄2号線に乗り、黄浦江を挟んだ対岸の浦東に渡る。
陸家嘴(リュジャーチ)駅で下車(運賃3元)。通勤の人の流れに沿って地下
鉄の駅から出ると、目の前に東方明珠塔の正面入り口がある。朝もやではなく、
砂埃なのか黄砂なのか、快晴なのに薄い黄色のベールに包まれている。平日で、
観光の季節でもないので、東方明珠塔の入り口には誰も並んでいない。傍らを
通り過ぎて、黄浦江沿いの公園(浜江大道という名前らしい)に出る。対岸の
外灘(ワイタン)が、これまた黄色くかすんだもやなのかに見える。黄浦江は
干潮で泥の干潟が広がっている。干潟のごみを拾う作業員が何人か川の中を歩
いている。

黄浦江沿いの公園には中国人団体ツアー客が20人くらい居ただけで、ほかには
誰も来ていない。3日前に行った豫園商場にはたくさん観光客が着ていたが、
商店が無いこういう場所は人気が無いんでしょうかね。 川沿いの公園を南へ
向かう。途中からは高層アパートの横の道に出てさらに南へ。15分くらい歩く
と、ちょうど上海で最も高い環球金融中心ビル(日本人的には上海 森ビルの
呼称のほうが有名か)がちょうど目の前に見える位置に出る。今日の目的は、
この環球金融中心ビルの展望台に登ることにある。

環球金融中心ビルの西側には、さらに高いビルが現在工事中で、地下深く穴を
掘っている。環球金融中心の見学者入り口から入り、100階展望台への入場料
150元を払う。 単なるビルに150元(2000円)も払うなんて、相当気合を入れ
て観光モードで来ない限り、入ろうと思わないようなボッタクリ価格。 とい
うことで、今回初めて100階の展望台に登りました。地上474mということで、
ちょっとした山の高さのレベル。高層マンションに住んでいる私でさえ、この
高さの景色はすごいです。

環球金融中心100階展望台からの眺望
環球金融中心100階展望台からの眺望


30~40階建てのマンションが「ゴミのように小さく」見えるわけです。作業員
がゴンドラに乗って屋外を登って来ている。怖いとか、そういう感覚を通り越
した高さなんじゃないですかね。すぐ横に建っている88階建てのビルでさえ、
下の方に見えるんですから。

展望台からエレベーターで降りたところに郵便局がある。3日前に買った0.8元
の切手がすでに印刷されている年賀葉書を日本に向けて発送する。1枚あたり3.
7元の追加料金が掛かる。つまり、日本までの葉書は1枚あたり3.7+0.8=4.5元
掛かる。

東昌路駅まで歩き、地鉄2号線に乗る。プラットホームには列車がすでに停まっ
ており、なぜか一向に発車する気配が無い。車内放送で、1号線が列車故障で
停まっているというアナウンスがある。 なんで、2号線のこの列車まで停まっ
てるわけ? 数分したら列車が動き出した。人民広場駅で下車。改札口がすべ
て開放されて、下車時の切符検査が省略されてしまっている。


人民広場駅から新天地まで歩き、さらにそこから復興公園のあたりまで歩く。
この地域でもっとも有名そうな場所が、孫文(こちらでは孫中山と呼ばれてい
る)の住んでいた住居が博物館として公開されている。入場料20元。近くには
周恩来の旧居も公開されている。こちらはなぜか入場料無料。 また、19世紀
初めに建てれらたフランスクラブが、現在でも上海市科学堂として残っている。
こちらは公開されていないようだが、入り口が開いていたので中に入って写真
だけ撮影した。

大韓民国臨時政府址
大韓民国臨時政府址


日本のガイドブックには掲載されていない名所として、大韓民国臨時政府舊址
もある。(韓国人用のガイドブックには掲載されているようだが…) ウィキ
ペディアによれば『1919年に朝鮮の独立運動を進めていた人々によって中国の
上海に創設された』となっている。当時朝鮮半島全域は日本国内だったので、
いわゆる国際法上の「交戦団体」というような意味合いのものなんでしょうね。

淡水路の野菜屋店頭の子猫


淡水路の野菜屋店頭の子猫


その後、共産党第一次党大会址を見て(こちらもなぜか入場料無料)、ホテル
に戻る。(観光地があまり無いといわれている)上海でも、観光するぞと気合
を入れてみれば、結構面白いですね。 夕食は、地球の歩き方に「小龍包」が
有名だと書かれているので、南京路の周辺を歩いて地元の人でにぎわっている
小龍包屋に入ってみる。さすがに日本で食べるのとは少し違う、あっさりした
味に仕上がっている。8個で12元。 これだけでは足りないので、定食屋で9元
の定食を食べる。

浦東の夜景(外白渡橋より撮影)
浦東の夜景(外白渡橋より撮影)


夜、浦東の夜景を撮影に行く。川沿いの黄浦公園は全面閉鎖されているので、
外白渡橋から撮影。中山路は工事でものすごい砂埃。こりゃ、観光どころでは
ない。

2009/12/21

12月21日 杭州

12月21日(月曜日)

■ 上海

今日は杭州に日帰りで行く予定。列車が8時に上海駅を出るため、昨日より30
分ほど早く行動開始。7時少し前に東亜飯店の北側の筋にある麺類屋で「辣肉
面(ラーローメン:7元)を食べてから、地下鉄の人民広場駅へ。 上海火車
站(上海駅)には十分余裕を持った8時30分ごろに到着。 D5653次の乗客に指
定されている第三候車室(待合室)で待っていると、入場が締め切られる発車
5分前になっても検票(改札)が始まらない。 大量の乗客が入場口を見つめ
る中、電光掲示板に「約晩至8:20開」が表示される… 上海始発なのに、遅れ
るわけ?

今日もやって来たのはボンバルディア製をコピーしたCRH1型の高速列車。上海
を出て、市街地の外を大きく迂回して南に向かう。高速列車なのに、時速
180km/hくらいしか出さない。線路の状態が悪いか、新空調車などの普通の列
車が前に居てスピードが出せないのだろうか…。 すぐ東側に平行して高速鉄
道の高架橋の建設現場が、杭州までずっと平行して続いている。 高架橋のコ
ンクリート橋脚を造っているのが手に取るように見えるが、その鉄筋が明らか
に「まばら」というか、細い鉄筋で楕円形をした橋脚の表面の形がかろうじて
保てる程度の骨組みを造っているだけというか。 地震に耐えなくて良いので、
日本とは違う強度基準なんだろうか。 (それとも、単に日本がオーバースペッ
クのものを作っているだけという可能性もある)

嘉興、南寧に停車して、出発から1時間45分後の10時05分に杭州駅に到着。


■ 杭州(ハンジョウ)

駅を出ると、普通の中国の大きな駅前広場等感じではない。何かのビルの前で、
高速道路か何かの高架橋が架かった下に出てきてしまったという雰囲気だ。は
て、どちらが観光地(西湖)の方向なのか…  そのあたりの様子を伺ってい
ると、通りがかりのおばさんが、ちょうど目の前に停まっているK7系統のバス
に乗って4つ目の「湖畔」というバス停で降りたらよいと教えてくれる。

運賃2元払って、K7系統のバスに乗る。バスは10分おきくらいに走っているよ
うで、湖畔までは約15分ほど。途中、中層ビルの建ち並ぶ市街地中心部らしき
ところを走る。何のモニュメントかは分からないが、記念写真を写す集団のよ
うな「銅像群」が展示されている場所があった。

湖畔バス停で降りて、中国工商銀行があったのでATMで400元ほどクレジットカード
でキャッシングしておく。(昨日のように、入場料が意外に高い可能性がある
ため)

西湖の遊覧船
西湖の遊覧船


湖の周囲は遊歩道になっていて、中国っぽくないような雰囲気になっている。
遊覧船らしき中国風の屋根を乗せた派手な船が停泊している。切符売り場で聞
いてみると、湖の中央にある三潭印月の島まで行く船らしい。周囲十数キロメー
トルの湖畔に分散して観光地があるようなので、とてもじゃないけど歩いては
回れない。渡りに船とはこのことで、遊覧船に乗れば名所の1箇所目にたどり
着けそうだ。 運賃と三潭印月の入場料込みの券を45元(610円)を買う。25
分おきくらいに出発するようで、次は11時10分とのこと。しばらく湖畔の遊歩
道を散策してみる。 中国楽器の生演奏でカラオケをしている人がいたり、手
漕ぎのゴンドラの客引きが居たりする。 手漕ぎの船で数キロメートル向こう
の島まで行くのだろうか…

11時10分に遊覧船が出発する。 今日は最高気温が9℃まで上がるらしく、屋
外のデッキに立って景色を眺めていてもそれほど寒くは感じない。西湖の東側
には延々と杭州市のビル群が連なっている。遊覧船が手漕ぎのゴンドラを追い
越す。何分ぐらいかかるんだろうねぇ…。20分ほどで島に到着。

三潭印月
三潭印月


17世紀、明の時代に埋め立てられた人工島らしい。当時から埋め立てなんてやっ
ていたのか…。 人工島だけあって、中国人の考える「中国庭園の美」を追求
したものなのだろう。確かに、小さな島の間を結ぶ桟橋の上を歩いていると、
楽しいような何というか…。

湖の南側に大きな寺院の塔が見える。その塔も名所のようなので行ってみるこ
とにする。きたときとは違う船着場に、今度はまったく普通のデザインの渡し
舟が待っている。中国人団体客が来て満員となり、12時10分に出航。10分ほど
で湖の南にある船着場に到着。 入り江には遊覧船の親玉のような、金ピカの
巨大な龍の頭が付いた遊覧船が停まっている。小さな渡し舟に囲まれた親玉の
遊覧船は、シューティングゲームの難攻不落のボスキャラのようにも見える。
 中国人の感性は分からんわ…

雷峰塔
雷峰塔


巨大なお寺の塔(雷峰塔)入り口に到着。入場料40元。やっぱり値段高いなぁ。
 入り口から中に入ると、塔のある陸の上まで一直線にエスカレーターが付い
ている。 さすが、中国の観光地はお客様を疲れさせたりしない、この過保護
さが巣晴らしい。 10世紀に建てられた塔は、20世紀前半に崩壊して基礎の部
分のレンガがわずかに残っているだけ。今見えてるのは、鉄骨造で、内部には
2基のシースルーエレベーターがある近代的な建造物。  寺の塔に見せかけ
て展望台を造って、40元ってのはないんじゃないというのが率直な感想。 中
国人の美学では、オリジナルより近代化した塔の方が価値があるのだろうか。
その感性、分からんわ…。

帰りの列車の時刻が迫ってきた。塔の前の幹線道路にバス停がある。ちょうど
循環バスY2系統が来た。3元払って乗る。バスは駅と反対方向に走り出し、湖
を挟んで街とは反対側の軍人病院(終点)で運転を打ち切ってしまう。循環し
ないの? と思っていると、車掌の女性が残りの客を引き連れてK7系統の市バ
スに案内してくれる。 西湖湖畔に来るときに乗ったバスの終点でもあるよう
だ。 結果としてバスで湖を1周したことになる。

大渋滞の杭州市街地を抜けて、約30分掛かって杭州駅に到着。14時55分発の列
車の改札はすでに始まっている。今回も、CRH1型ということで、今回の旅行で
乗った動車組の車両はすべてCRH1ばかりだった。 この地域ではCRH1が一番多
く走っているのだろうか。車窓を見てると、たまに日本の新幹線のパクリの
CRH2型も稀にではあるが見かける。

朝からのまず食わずだったので、車内販売の「キリン 午後の紅茶」のペット
ボトルを買う。値段6元は良心的価格なのかどうかは分からないが、長距離列
車のような「弁当」を売りに来てくれないのは少々さびしい。

■ 上海

16時20分、上海南站に到着。地下鉄1号線で人民広場まで戻り(運賃4元)、ウ
イグル料理屋で牛肉チャーハンとラーメンを注文。店員が、「2人前も食うの
か」と聞いてくるが、昼飯兼夜飯なので、2人前要るのだと強調しておいた。2
人前食っても、17元と日本人の感覚では全然高くはない。その後、串焼き屋で
シシカバブ1本(2元)を食ってるので、食べすぎではあるかもしれない。

外灘(ワイタン)を念のために見に行く。上海万博のためという工事が延々と
続いているが、今日も工事中。建物のライトアップも行われておらず、「観光
客お断り」状態は相変わらずだ。 対岸の東方明珠塔のライトアップも消され
ており、「エコ」が徹底されているともいえる。

2009/12/20

12月20日 蘇州

12月20日(日曜日)

■ 上海

今日は蘇州へ日帰りで行く予定。7時、ホテルのあるビルの北側の广西路にあ
る麺類屋で肉絲菜炒面(ロースーツァイチャオメン。分かりやすく言えば焼き
うどん)を食べる。8元(110円)。8時過ぎに人民広場から地鉄1号線に乗り、
上海火車站(上海駅)へ。

上海火車站に停車している動車組 CRH1
上海火車站に停車している動車組 CRH1


今日乗る動車組 D5410次 南京行きは、カナダのボンバルディア社製の高速列
車をコピーしたCRH1型車両。座席指定の7号車へ。車内は満員。自動券売機で
ほとんどの列車が売り切ればかりという状況が良く分かる。列車は定刻の8時
52分に出発し、上海万博関連かどうかは知らないが、工事中だらけの路線をの
ろのろと走っていく。市街地を出たあたりからスピードを上げて、時速230km/
hほどで走り出す。日本や欧州のように専用軌道を走っているわけではなく、
今までの長距離路線の線路をそのまま使っているので、切符をこれだけ安く売
ることができるのだろう。途中ですれ違う列車も、日本の新幹線の劣化コピー
版のCRH2型や、旧来から走っている長距離用の新空調車など様々。

途中、昆山駅に停車して、蘇州には9時35分に到着。15両編成の列車に乗って
いた半分くらいの乗客が降りている模様。


蘇州駅に停車する動車組 CRH1



■ 蘇州(スージョウ)

駅を出ると、駅前広場というか、建物が何もない。市街地から離れたところに
駅があるようだ。旅遊会社の客引きやら、タクシー、三輪バイクなど様々な客
引きが現れる。今日は時間もあることだし、徒歩で行くと決めていたので客引
きはすべてお引取り願って、歩いて市街地の方向を目指す。 地図がないと困
るので、駅の前にたむろしている地図売りから、交通地図(5元)を買い、歩
き出す。

報恩寺
報恩寺の門と北塔


市街地を囲む堀なのか、川なのかは知らないが、外城河を渡る橋(平門橋)を
渡って市街地に入る。駅から一番近い場所にあるはずだが、遥か向こうに見え
る塔(報恩寺 北塔)を目指す。地図上では近そうだが、歩いて20分ほど掛かっ
て報恩寺に到着。入場料25元(340円)。案外入場料高いぞ…。今から1800年
ほど前の呉の時代に建てられた寺ということで、9重の塔は900年前の南宋の時
代のものらしい。まあ、どっちにしてもかなり昔だということくらいしか私に
は分からないわけだが…

塔に登ってみると、木造と思っていたが、3階くらいからレンガ造りのレンガ
がむき出しになっている。塔の上から見下ろすと、近隣は3階建てくらいの住
宅が碁盤の目に建ち並んでいる。家々はどれも白い漆喰が施されていて新しそ
うに見えるが、実は古いのだろうか…。


次に、蘇州では有名らしい拙政園へ。地図では2ブロック西ということだが、
これまた遠い。15分ほど歩いて、観光客用土産物屋に囲まれた拙政園の入り口
に到着。こちらは入場料50元(670円)。中国の物価価値からすると、べらぼ
うに高い金額ではないだろうか。ベルサイユ宮殿並みの見所の数々を期待して
はいると、単なる中国式庭園だけなので、50元の価値が… と思ってしまう。
この庭園が蘇州にある数多くの庭園の中で最大のもので、明の時代に作られた
ものといわれても、東京の皇居東御苑が無料なのとつい比べてしまう。

ガイドブックの写真ではハスの葉に覆われた池と、その池に浮かぶ島に建てら
れている中国式東屋という景色が印象的だが、なにぶん真冬なので、ハスはす
べて枯れて池には何も入っていない。

それでも迷路のように配置された東屋を結ぶ回廊をめぐりつつ、変な形をした
岩の置物などを眺めながら庭園をぶらぶら歩くと、案外時間が掛かったりする。

迷路の庭園を巡って、思想を巡らせてくださいという深い意味なのだろうか。
氷点下かどうかというくらいの寒さの真冬では、思想よりも鼻水の方が先に出
てきてしまう。それにしても、たくさんの中国人が入場しているが、これがベ
ストシーズンの春や秋だとどれくらい混雑しているのだろうかと思う。


獅子林
獅子林の庭園


その後、庭園をさらに獅子林、怡園と2箇所めぐる。それぞれ微妙に風情が違
うが、どれも池と中国式東屋、奇岩の置物という組み合わせは同じだ。(それ
が中国式庭園というものなのだろうか…)

蘇州の繁華街である観前街へ。観光客用の地区はあるが、家電品などの巨大デ
パートが建ち並んでいる。日曜だからか、ものすごい数の人が歩いている。昼
食は、観前街から少し西へ行ったところにあるウイグル人のレストランへ。店
の看板にはイスラムでは必須の「清新(ハラール食品を使っている意味)」の
文字も入っている。紅焼牛肉面(8元)を食べる。包丁で切ったのではない、
手で伸ばして作った本物のラーメン。

双塔を見に行ってから、16時過ぎにバスに乗って蘇州駅に戻る。

17時19分発の列車は遅れているようで、待合室に入ってから15分遅れと電光掲
示板に表示されている。高速列車でも、遅れが出るのか…。時速200km/h以上
で走る列車が、ばらばらの遅れでやってきて同じ線路を走っているのだから、
ダイヤの調整も大変なのだろうか。(それとも、適当に間隔をあけて走らせて
いるだけとか…) 上海には18時25分到着。

2009/12/19

12月19日 上海

12月19日(土曜日)

■ 上海 浦東機場(シャンハイ プートン ジージャン)

真冬の寒さの日本を出て2時間30分、中国国際航空のB737-800は定刻どおり
11時ちょうどに、上海 浦東空港に到着した。関空を飛び立って以来、東シナ
海上空まで真冬の雪雲がずっと続いていたが、中国大陸から数十キロメートル
の位置で雲が切れて快晴となっている。機内アナウンスでは上海の気温は氷点
下1℃らしい。日本も今日が寒波の底になるので、こちらも同じような感じで
寒さの底なのだろうか。

今回の旅行の荷物は、ノートパソコン用のIBM印のショルダーバックとカメラ
とガイドブックが入ったポーチの2つだけなので、すべて機内持込済み。飛行
機を降りて、入国審査をさっと通過して、荷物受け取りに並ぶこともなく空港
を出る。 空港ターミナルからやや離れたところにある磁浮(リニアモーター
カー)の駅へ。往復80元(1080円)の切符を購入。完成直後には、ほとんど乗
客が居なかったリニアモーターカーも、最近では満員近くの乗客を乗せている。
80元の価値が中国人にとっても妥当な値段になってきたということなのだろう
か。

ウイキペディアの『上海トランスラピッド』では、最高時速430km/hと謳って
いると書かれているが、車内の速度計は302km/hの巡航速度が最高速度だった。
空港駅から地下鉄龍陽路(ロンヤン ルー)駅まで7分ほどで、30kmの距離を結
んでいる。さすが、ドイツ製のリニアモーターカーの効果というか…

大阪市が関西空港との間にリニアモーターカーが欲しいというのも分かる気が
する。ただ、日本でやるとなると運賃が中国の10倍くらいなので、往復1万円?
 まあ、無理でしょうねぇ。


■ 上海

龍陽路駅で4元の切符を買い、地鉄(地下鉄)2号線で市内中心部の人民広場
(リンミン ガンチャン)へ。龍陽路駅の自動券売機は動いていなかったので、
售票処(窓口)のみ。果たして漢字が読めない外国人が購入できるのかと思っ
て、私の後ろに並んでいた西洋人の様子を見てみると、"people's square" で
購入できていたようだ。 最近の窓口の人は英語通じるんだ…

人民広場駅から南京歩行路へ。そのど真ん中辺りにある東亜飯店が今日から5
日間泊まるホテル。20世紀初頭に建てられた上海時装公司ビル(第二次大戦前
は先施公司ビルと言ったそうだ)の中にあり、1泊198元。チェックイン時の
『押金』のクレジットカードチャージ額は1100元だったりする。若干多めやね。
(フロントのお姉さんは、後で返すからレシートなくさないでねと強調してい
たが)

部屋に荷物を置き、外へ。南京路から東へ福建中路を少し行った所にある食堂
で「'虫毛'油牛肉面(ハユニュウロウメン)」(' '内の文字は1文字)を食べ
る。「虫へんに毛」なので、どんなのが出てくるかと思ったら、普通のロース
とビーフの薄切りが乗っかったラーメンだった。値段8元(110円)。郵便局が
近くにあったので、年賀葉書(新年明信片)を買う。0.8元の切手がすでに印
刷されており、1枚2.88元。

上海火車站
上海火車站 南口


地鉄1号線に乗り、上海火車站(上海駅)へ。運賃3元。明日と明後日、それぞ
れ日帰りで蘇州・杭州へ行く切符を買いに来た。地下鉄を降りて地上へ。駅の
出口を振り返ってみてみると、SADWAY…。なんのこっちゃ。高速鉄道(動車組)
が運行されるようになってから出現した「自動售票処(自動券売機)」。駅の
窓口や旅社でしか購入したことないので、今回初めて使ってみる。座席番号が
まったく選べないのを除いて、普通に切符購入できる。ただ、端末機の反応が
めっぽう遅く、満員でない列車を選んでも満員とダイアログが表示されたり、
プログラムの作りこみがいまいちな雰囲気。ただ、今後には大きく期待が持て
るシステムだなとは思った。

・12/20 D5410次 上海→蘇州 2等座:26元(所要時間41分)
・12/20 D5473次 蘇州→上海 2等座:26元
・12/21 D5653次 上海→杭州 2等座:63元(所要時間1時間47分)
・12/21 D5670次 杭州→上海南 1等座:64元

動車組は「和諧號」といって日本やドイツの高速列車の劣化コピー版らしい。
劣化コピーであったとしても、最高時速300km/hの列車に1時間45分も乗車して、
たったの850円はすごくお値打ち価格だ。劣化コピーとはいえコストダウンの
工夫はさすがだ。


再び地鉄に乗り人民広場へ戻り、そのまま南東へ歩く。豫園(ユーユェン)商
場へ。一応観光地を見ておこうということで向かう。途中、沈香閣(シェンシャ
ンゴースーミャオ)の入り口があったので入ってみる。明の時代に建立された
寺だそうだが、現在のものは1989年に復興されたもの。尼寺だそうで、今日も
奥の本殿で、尼僧が集まってお経を上げていた。

豫園商場
豫園商場


豫園商場は、本当に観光客だらけ。まあ、こういうのもいいんじゃないのかな
という程度で見てまわる。このショッピングエリアで数件だけ、地球の歩き方
に紹介されている食べ物屋がある。ものは試しにと入ってみる。陳列されたお
かず類をトレーに乗せて、レジで清算する形式。粥と鳥の手羽肉のフライと、
蒸し餃子を取ってみたが、粥はさめて冷たくなってるし、鶏肉は骨ばかりでフ
ライの皮がむちゃくちゃ分厚く、その上冷めてるし… これはとんだ食堂です
ね。80元もしたんだけど…。 さすが、現在でも地球の迷い方の称号は返上で
きてないな。

大通りでたまたまやって来た926系統バスに乗り、南京東路へ。吉野家があっ
たので牛丼大盛を食べる。さすがに、「ギュウドン オオモリ」は通じなかっ
たな。「ニュウロウファン ダイ」では、旨さが半減する。味噌汁を付けて22
元(300円)。

南京東路(上海時装商店付近)の夜景
南京東路(上海時装商店付近)の夜景



南京東路(世紀広場付近)の夜景
南京東路(世紀広場付近)の夜景



南京路北側のあまり観光客が行かなさそうな地区にある食堂の入り口に「日式
相撲火鍋面」というポスターがあったので入ってみる。(食べ過ぎだって…)
出てきたのは、案の定ちゃんこ鍋。カレー味のだしに、讃岐うどん、竹輪やつ
みれ団子、トンカツ、もちのスライスしたものなど、日本を代表する食材が無
理やり詰め込まれている。12元(160円)。観光客が行くフードコートで80元
も出して食えたものではなかったのに比べ、12元で十分おいしい食事というの
はどうなんだろうか。