12月21日(土曜日)
朝、部屋の窓から外を見ると快晴だ。昨日こんな天気だったら… 写真撮影も楽だっただろう。
今日乗るベルガモ行きの飛行機は、ゲート・クローズが10時50分。カト・パフォス発の空港行きバスは始発が10時で、所要時間が30分らしい。道路が渋滞していたり、空港で迷ったりしたら即アウトだ。シェンゲン加盟国じゃないので、国境審査もあるだろうし…。 一昨日、ホテルのフロントにいたマネジャーの女性とそういう話をして、結局タクシーを呼ぶことにした。タクシーが来るまでの時間、手短に写真撮影に出かける。
ホテルの裏手にある聖キリヤキ教会を少しだけ撮影。ここは夕方のほうが「作例」に近いものができるはずだ。
昨日、夕方で光の方向がイマイチだった港の先端にあるパフォス城へ。港の岸壁で釣りをしているお年寄りは、どうも昨日の夕方見た人たちと同じようだ。暇なのか、単に釣りが好きなのか…。ヴェネツィア共和国やオスマン帝国時代にこの城(砦)が整備された時には、現在のようにコンクリート製の防波堤や突堤は無かったはずだ。城を防波堤のコンクリート護岸で取り囲んでしまうのはどうなんだろうか。早朝の太陽光が、かろうじて城の北面を照らしている。
港の岸壁沿いをのんびり歩いていると、時折観光客らしき人が散歩したり、写真撮影したりしている。いくらオフシーズンといえ、少しくらいは観光客も来ているようだ。
ホテルに戻ると、9時20分と約束していたタクシーが既に玄関前に停まっている。ホテルをチェックアウトし、タクシーの乗り込む。空港まで「固定料金」の25ユーロとのこと。空港まで16kmあるので、まあ、観光客価格としては標準的なものなのだろう。タクシーは15分ほどで空港に到着。タクシーメーターは16.5ユーロだが、観光客は固定料金だということで譲らない。固定料金ってのは、メーター価格の倍額近くをぼったくるのを「公定」でもしているのか、とんでもないシステムだ。それなら、発展途上国のようにタクシーメーターなどなくしてしまえばよい。
空港の出国審査は、やはり曲者だった。Departureゲート入り口でプリントアウトした搭乗券を示すと、「スイスポート」へ行ってスタンプを押してもらってこいとのこと、「スイスポート」って…? チェックインカウンターの並んだ反対側、航空会社の予約カウンターなどが並んでいるいちばん端に「swissport」と書かれた受付台がある。そういえば、swissportという名前で空港の運営受託しているところがあったような。どこだったか忘れたが、空港運営会社の名前だ。
そこから先は、すんなりと搭乗ゲート前まで進んだ。市バスが定刻通り空港に到着するのなら、確かにぎりぎり間に合うタイミングだ。飛行機は11時台にベルガモ行き、12時台にモスクワ行き、14時台にロンドン行きというように時間が離れているので、10時の市バスの顧客ターゲットは、モスクワ行きなのかベルガモ行きなのかはっきりしない。
■ パフォス空港 11:35 → ベルガモ空港 14:05 (Ryanair インターネット予約 48.52ユーロ)
飛行機はキプロス島を飛び立つと、ロドス島上空、アテネのピレウス上空を通り過ぎて、コリントス地峡、ケルキラ上空を経てアドリア海へ抜ける。コリントス地峡の上空からは、数年5年ほど前に訪れたデルフィの村と、雪の積もった高山が見える。ギリシアで雪ってのも、経験したことがないからどんなものかわからないが、そういえば、スキー場があるとも聞いたことがある。
イタリア北部に差し掛かると曇りとなり、ベルガモ空港着陸寸前には霧と雨の中だ。天気予報がよく当たるものだ。キプロスはシェンゲン条約対象外なので、飛行機から降りて向かうのは国際線ターミナルの方だ。駐機場を見ると、ライアンエアの飛行機がずらっと並んでいる。確か、ライアンエアはベルガモをハブ空港として使っていると聞いたことがある。
空港内の観光案内所で市営交通24時間乗車券(5ユーロ)を買い、ロータリーの隅っこにひっそりと立つ市バス乗り場で待つ。ふと目の前を見ると、ミラノ中央駅行きのバスが何台も並んでいる。さすが、「ミラノ(ベルガモ)空港」を標榜するだけはあり、シャトルバスの運賃も5ユーロと安いと思う。
■ ベルガモ空港 14:25 → 鉄道駅 14:40 (市バス1A系 運賃 1日券 5ユーロ)
中央駅で市バスを降り、駅の切符自販機で明日の切符を買う。鉄道の2等車が5.3ユーロと、ベルガモ空港からミラノ行きの高速シャトルバスより0.3ユーロだけ高い。が、鉄道のほうが楽そうなので、自販機で切符を購入してから、予約したホテルへ向かう。駅前のバスターミナルの横にはクリスマス市が出ている。そこから新市街の中心、ポルタ・ヌオーヴァまでのローマ通りには、少し高級そうな店が並んでいる。何かの記事で読んだのだが、ベルガモはイタリアで一番地価が高い旧市街だそうだ。
予約したホテルは、店の並んだ通りから1本入った静かそうな場所にあった。チェックインし、荷物を置いて外へ。ホテルのフロントで聞いたポルタ・ヌオーヴァ前のスーパーマーケットに向かう。1階に「BILLA」と書かれたどこかで見たことのあるようなデザイン。旧東欧のどこかの国にたくさん支店があったはずだ。外から見ると衣料品の店にしか見えないが、店内のひっそりとした階段を降りるとスーパーマーケットがある。ここにスーパーがあると教えられないと、絶対にわかりっこない。
そういえば、昼食がまだだったので、駅前通りのケバブ屋に入り、ドネル・ケバブを食べる(5ユーロ)。ギリシアとほとんど価格が変わらない。
■ ポルタ・ヌオーヴァ 16:07 → 旧市街 16:15 (市バス 1系統、1日乗車券5ユーロ)
1系統バスに乗り、旧市街へ。新市街を出ると旧市街の丘に登るつづら折りの道路を登り始める。バスが高度を上げるとともに、霧が濃いくなり、外科医の新市街がかすんで見えるようになる。旧市街の路地には、クリスマスの電飾が「地味に」飾られている。近頃日本は歴史も文化もない「単なる光輝くだけのイルミネーション」をやりまくっているので、本場のものを久々に見ると、こんな風だったかなと、少しがっかりすることもある。
旧市街中心のヴェッキア広場、特に何の電飾も無く、建物のライトアップもない。時計塔のてっぺんが霧でかすんでいる。ラジョーネ宮の美術展を見る。美術展とは関係ないが、壁には巨大な最後の晩餐の絵が掛けられている。コッレオーニ礼拝堂と大聖堂は無料で見学。夕方だからなのか、それとも普段からこんなものなのか知らないが、照明が一部しか照らしておらず、薄暗い。
旧市街を歩いていると、切り売りのピザ屋があったので入る。店員がハサミでざっくりと切り取り、オーブンで再加熱して、さらに食べやすいように細切れに切ってくれる。付け合わせにパン1個…(小麦粉ばかりやな)。1個で確実に満腹になる大きさで、値段は5.6ユーロ。イタリア人はこの大きさでもファストフードの位置づけなのだろうか。
■ Piazza Mercato Scarpe 18:05 → Via Emanuelle Vittorio II 18:08 (旧市街ケーブルカー 1日乗車券5ユーロ)
■ Via Emanuelle Vittorio II 18:10 → ポルタ・ヌオーヴァ (市バス 1A系統 1日乗車券5ユーロ)
帰りはケーブルカーに乗って、そこからバスに乗り換えて新市街まで戻ってくる。ずっと霧雨が降っていて、それなりに肌寒い。気温は一日を通して8℃~10℃くらい。キプロス島に比べて10℃も低いので、肌寒く感じる。
新市街の目抜き通りのローマ通りを挟んで建てられているポルタ・ヌオーヴァは、建物の円柱部分に電飾がされている。すぐ横のヴィットリオ・エマニュエレ広場にはクリスマスの回転木馬が出ている。新市街でクリスマスらしいのはこのあたりだけのようだ。神戸の「ルミナリエ」のようなのを期待していると、確実にがっくり観光地になってしまう。まあ、この地味なのが歴史を感じさせていいのかもしれないし、「地価が一番高い」上品な街に派手な演出は必要ないともいえるのかもしれない。
■ セントラル・ホステル BG 23号室 39.9ユーロ/1泊