9月20日(日曜日)
夜中の12時ごろに、隣の部屋数部屋に団体客がチェックしたので、うるさくて若干寝不足。朝は、涼しいというより少し肌寒い。天気予報によれば、今日からはだんだん気温が平年並みの秋の気温に戻っていくらしい。酷暑はもう散々だ…
6時30分ごろ起きて、昨日スーパーで買ったパンやモッタデッラ ハムなどで朝食。8時過ぎに観光に出かける。まず、メストレ駅前のバス会社(ATVO)の切符売り場で、明日の空港行きのバスの時刻を調べ、切符を買っておく(8ユーロ)。その後メストレ駅から列車でヴェネツィアに向かう。
■ メストレ 08:39発 → ヴェネツィア サンタ・ルチア 08:50着 (普通列車,2等運賃 1.25EUR)
ヴェネツィア駅の前を、大量のウォーキング大会の人が歩いている。スタートゲートらしきものが駅前にある。ただでさえ観光客の多い街に、さらに余計に人を集めてどうすんだと…。
駅前のフェリーボートの切符売り場で、1日乗車券を買う。値段はなんと20ユーロ。まるでテーマパークの「ライド乗り放題券」のようだ。ま、ここはテーマパークだから仕方がないか…。午前中の予定は、かつてのヴェネツィア共和国の官邸であり、ドージェ(総督)の館であったドゥカーレ宮殿を見学することだ。駅前より、1系統のフェリーボートに乗りサン・マルコ広場を目指す。1系統は各駅停車のようで、よこを快速運転している2系統がスイスイと抜き去っていく。帰りは2系統に乗らなければ…
■ 鉄道駅前 09:30発 → サン・マルコ 10:03着 (フェリー1系統,1日券20EUR)
およそ30分かかってサン・マルコ広場に到着。歩いてもそんなに変わらない時間だ。ドゥカーレ宮殿は入場料18ユーロ。これを見にこの街に来たのだから、高いとかそういうのは関係ない。」
中世、同じような勢力を誇ったジェノヴァやピサなどの海洋国家と競い、圧倒的でもなかった軍事力でそれらの国を衰退させ、最も息長く中世を生き抜いたのがヴェネツィア共和国だ。
世襲制ではなく、2年程度で無理やり選挙で交代した国のトップのドージェ(総統)や、最高意思決定機関の10人会議など、圧倒的独裁者を出さなかったことが、結果として国の分裂や弱体化を防いだといわれている。
そのためなのか、普通は宮殿には「過去の王様・独裁者の肖像画や彫像」が並んで飾られていたりするが、ドゥカーレ宮殿にはそういうものはなかった。エンリコ・ダンドーロの肖像画ぐらいあるかなとは期待したのだが…
中世にはマジックミラーや監視カメラはなかったが、訪問客が廊下で待っているときの様子をこっそりと伺うための「のぞき穴」となっている「真実の口のようなライオンの浮彫」が廊下にあったのには驚いた。まあ、これくらいしないと、刺客を最高権力者に会わせたりするようなことも起きかねないので仕方ないだろう。
宮殿の見学コースには、かつて宮殿で行われた裁判で有罪が宣告された囚人が渡って牢獄に送られた「ため息橋」も入っている。人工の少ない地方都市ならいざ知らず、首都で総統府ですべての裁判をやったとも思えない。よほど高位の役人や軍人などが裁判の対象だったのだろうか。そうだとすれば、例えば英国のロンドン塔のような権力者専用の監獄が併設されていたのだろうか。その監獄跡は、ロンドンで見たロンドン塔より環境は良さそうに見えるが、くそ暑いイタリアでは夏はやはり地獄だったのだろう。
展示されている絵画は、ほとんどが宗教画だが、一部にはかつての戦争の概要を記した絵もある。「コンスタンティノープルの防衛線に負けた時」の絵、「オスマン帝国とのレパントの海戦」、「エジプトの権益を争う戦争」などの、歴史的に有名なものがいろいろ描かれている。絵の名前程度は書いてあるが、歴史解説が全くないので歴史を知らない人には全く面白くない展示内容なのかもしれない。
2時間ほど宮殿を見学し、いったんメストレに戻り昼食。こんどは、快速運転の2系統のフェリーに乗る。1系統に比べ、10分弱 時間短縮できた。
■ サン・マルコ 11:57発 → 鉄道駅前 12:20着 (フェリー2系統,1日券20EUR)
■ ヴェネツィア サンタ・ルチア 12:41発 → メストレ 12:50着 (快速列車,2等運賃 1.25EUR)
ホテルの横のバーで昼食。カウンターに並べられている調理済みの料理を取り分けてもらう。少しずつ取り分けてもらうと、いろいろな味を楽しめる。値段は11ユーロと、結構値打ちな価格だ。
■ メストレ 14:24発 → ヴェネツィア サンタ・ルチア 14:19着 (列車,2等運賃 1.25EUR)
■ 鉄道駅前 14:24発 → ムラーノ島 コロナ 14:56着 (フェリー4.2系統,1日券20EUR)
駅前から少し小型のフェリーに乗り、ムラーノ島を目指す。本島内の運河を離れると、フェリーは一気にスピードを上げて走るので、距離は結構あるが時間はサン・マルコ広場に行くのとあまり変わらない。
ガラス工房がたくさんあることで有名なムラーノ島。火災や公害を本島で起こさないため、少し離れたムラーノ島に押し込められた産業だ。いまでは、イタリアのどこかの工場からガラス材料を買ってきて、それをガスバーナーであぶって溶かして成型するだけなので、騒音や大気汚染などは全く起きないだろう。工房に高い煙突があるのは、昔、石炭ボイラーを使っていたからなのだろう。今では、天然ガスバーナーだろうから、燃やして出るのは炭酸ガスと水とNOx程度だ。
本当の路地に軒を連ねる土産物屋と違い、この島の土産物屋はガラス細工品や、ガラス食器などで統一されている。舞踏会のマスクとか、Tシャツとかキーホルダーとかいう一般的すぎるものは売っていない。こういうイメージ作りは、観光業には大切だと思う。
■ ムラーノ島 セレナ 15;51発 → サン・ミケーレ島 セメトリオ 16:01着 (フェリー4.1系統,1日券20EUR)
本島に比べると観光客の数が少ないので、のんびりと散歩することができる。20年位前に来た時には、もっと観光客が少なく土産物屋もほとんどなかったような気がする。ムラーノ島から本島に戻る途中、墓場のあるサン・ミケーレ島に立ち寄る。たとえば、パリにある巨大墓地のように有名人の趣向を凝らした墓がたくさんあると期待したが、いたって普通の墓場だった。十字架がずらっと地面に並んでいるだけ…
■ サン・ミケーレ島 セメトリオ 16:21発 → フォンダメンタ・ヌゥォーベ 16:25着 (フェリー4.1系統,1日券20EUR)
駅に歩いて戻る途中、聖ジョヴァンニ・パオロ教会を見学する。入場料は2.5ユーロ。教会の正面には、ヴェネツィア共和国の傭兵隊長コッレオーニの騎馬像が立っている。歴代ドージェ(総統)の何人かがここに埋葬されていて、さらにはベリーニの宗教画も飾られている。小さい都市国家なのに、他の町なら大聖堂クラスの教会が乱立していているのがすごいことだ。中世初期にヴェネツィア共和国が、古代ローマの勢力圏だった各地から、聖遺物を買い集めまくっただけはある。
ヴェネツィア駅前のバーガーキングで夕食。ダブルチーズバーガーのセットで7.1ユーロ。ファストフードで1000円越えとか、もはやあり得ないほど円安だ。
■ ヴェネツィア サンタ・ルチア 18:35発 → メストレ 18:47着 (快速列車,2等運賃 1.25EUR)
■ ホテル ヴィダーレ 3階8号室 ダブルルーム 1泊 46ユーロ