2015/09/19

9月19日 トレヴィーゾ、ヴェネツィア

9月19日(土曜日)


5時起床。昨日の夕方スーパーで買ったモルタデッラ ハム(100g)と、フランスパンを食べる。キッチンがついているアパートは、こういう時便利だ。AirBnBなどのP2P宿泊がもっと広まれば、サービスレベルの低い安ホテルは存続できないだろうね。

5時55分、アパートのドアの横のポストにカギを返却しチェックアウト。歩いて1分程度のところにあるバスターミナルの切符売り場横の裏口へ。一昨日はバスターミナルの正面から、ぐるっと大きく迂回したので5分以上かかったが、裏口を使えば1分と便利なところにある。

6時すぎ、ヴェネツィア行きのバスがやってきた。すでに何人か乗客が乗っているので、このバスターミナルに来る前に旧市街のどこかに停車しているのだろう。パドヴァ行きのバスは大型バスなのに、ヴェネツィア行きは小型のバス。なんでパドヴァ行きのほうがたくさんの乗客を集めれるのかねぇ…。


プーラのバスターミナルに入ってきたヴェネツィア行きのバス

■ プーラ 06:25発 → メストレ 10:20着 (FILS Pula バス, ネット予約運賃 213クーナ)

荷物をトランクに入れるのに、運賃以外に10クーナ。荷物預けにお金を取るのは、クロアチア以外では経験したことがない。乗客は座席の半分程度を埋めただけで、一昨日にトリエステから乗ったときに満員だったのとは大きな違いだ。

6時25分にプーラを出たバスは、10㎞程一般道を走ってから高速道路へ。東の空がだんだん明るくなり、7時過ぎに太陽が昇ってくる。空高い筋雲の中を、何本もの飛行機雲が放射状に横切っている。ちょうどこのあたりに航路標識があるのだろう。


クロアチアの日の出

7時30分、クロアチアの出国審査のドライブスルーに停車。係官が乗車してきて、何人かの非EU市民のパスポートにスタンプを押して回る。100mほど行ったスロベニアの入国審査では、パスポートを回収して「料金所ブース」で端末機に入力しているようだ。スロベニア出国時には適当にスタンプを押して回るだけだったのに、シェンゲン入域の時はちょっとだけ真剣に検査するということだろうか。それでも、6冊くらいパスポートを回収して1~2分程度で終わっているので、しつこく検査する「空港の入国審査」に比べれば効率的だ。

近頃話題の難民の群れは、国境警備兵や警察に追い立てられ、クロアチアのザグレブからスロベニアに直接向かっているとニュースで放送していた。その先にあるオーストリアが必死になって国境フェンスを建設中なので、それができてしまうと、今度は難民がイタリア国境に殺到することになる(かもしれない)。そうなれべ、今回私が通ったこの国境は閉鎖されるだろう。明日なのか、明後日なのか…。

スロベニアに入ると一般国道になり、家々の間をバスが走り抜ける。いままでは「ザグレブ○○km」だった標識が、「リュブリャーナ○○km」に変化し、いつの間にかイタリアに入ると再び高速道路になり「トリエステ○○km」に変わる。スロベニアとイタリアの間の国境線は、国境審査ドライブスルーがあった場所が空地になっているだけだ。難民が押し寄せれば、ここにも審査場を造るのだから、売り払うのではなく空地にしていて正解だ。
どうせ、数年後にはドイツの身勝手の難民騒動やギリシャいじめでEUは半分崩壊し、国境線が再びできるはずだから、道路上にあったドライブスルー審査場を廃止してしまったツケはいずれ払うことになるだろうね。

8時20分、トリエステ中央駅横に到着。半数以上の乗客がここで降りる。国際バスなので、ここから乗車する客はいない。

トリエステを出てしばらくすると高速道路に入り、パルマノヴァ近くのドライブインで10分ほどトイレ休憩。トリエステ付近からパルマノヴァ付近まで、霧が出ているような曇りの天気。天気予報では、夏と秋の境目の前線がこのあたりを通過中ということらしい。もしかしたら、ヴェネツィアは涼しいかも…

10時20分、メストレ駅前に到着。バスから降りると、昨日よりは少しだけ気温が下がっているように感じる。ネットで予約した安ホテルに行き、とりあえず荷物を預ける。すぐ横にバーがあり、昼食の料理も出すようだが、中国人の団体が来てなかなか注文が終わりそうにないので、他を探す。こんなところにも中国人の毒牙が伸びてきているようだ。

駅の近くのケバブ屋でケバブ(4.5ユーロ)を食べるが、不味かった。ケバブで外れるとは、相当運が悪い。

■ メストレ 11:29発 → トレヴィーゾ 11:52着 (普通列車,2等運賃 3.30EUR)

メストレ駅からウディーネ行きの各駅停車に乗り、トレヴィーゾに向かう。列車は半分くらいの着席率。冷房が効いていて涼しいと感じるのは、やはり外は蒸し暑いのだろう。車内表示の温度計は、室外が28℃、室内が22℃だった。


トレヴィーゾ駅に到着した普通列車(左側)

20分ほどでトレヴィーゾ駅に到着。駅を出ると、大量の高校生の群れ。学校がこの時間に終わったのだろうか。駅前に、旧市街の城壁が見えている。トレヴィーゾは古代ローマ時代にはコロニア=タルヴィジウムと呼ばれ、ポストゥミア街道沿いの町だったそうだ。それほど大きな町ではなかったのか、現在まで残る「大きな」古代遺跡は無い。今回の旅行の予定では、この街には来る予定がなかったが、(古代には存在すらしなかった)ヴェネツィアに行くよりは、まあ、ポストゥミア街道沿いということで来てみた。

駅前から中世の市壁を越えてローマ通り、ポポロ通りという車が行きかうメイン道路を歩く。駅から10分も歩けば、歩行者天国となった旧市街中心部となり、町の中心のシニョーリ広場に到達。時計塔を持つ15世紀に建てられたポデスタ宮(現在の県庁者)と、13~14世紀に建てられた300人宮がある。Wikipediaの記事につけられている写真では、この広場の景色が街の顔ということらしい。


シニョーリ広場
時計塔のある県庁(ポデスタ宮)と300人宮


大聖堂のライオン像

さらに旧市街奥へ数分歩くと、聖ペテロ大聖堂と洗礼堂がある広場に出る。そのままあと数分歩けば、鉄道駅と反対側の城壁のところに出る。城壁は上に登ることができ、城壁の上の道を時計回りに歩いていくと、トレヴィーゾの町に流れ込んでいるシーレ川が城壁の下をくぐるところに出る。城壁の下をくぐった川は、何本にも分岐させる分水施設を通って、網の目のように町の中を流れるようになっている。何本にも分岐させたのは、昔は衛生上の問題だったのだろう。いまは、川沿いの道に観光客向けのカフェなどができている。城壁上の道が切れて、聖トマソ門のところで地上に降りる。門の前の小ぢんまりした広場や、周辺の道には露店市がずらっと並んでいる。花や果物、衣料品を売る露店だ。


旧市街中心部はポルチコのある建物が並ぶ


シーレ川を堀のように用いた旧市街の城壁

列車に乗る時間が近づいてきたため、駅へ急ぐ。13時25分発のヴェネツィア行き快速列車に乗車。駅の端のプラットホームから、ヴィツェンツァ行き普通列車が出るアナウンスをしている。数日前に、バッサーノ・デル・グラッパに行くときに乗った、あのエアコンなしの気動車だ。ここからヴィツェンツァに直線で向かう鉄道路線は、ちょうどポストゥミア街道と並行して走っているのだろう。いまでは幹線路線ではなく、ローカル路線なので最もおんぼろの客車しか走っていないのかもしれない。

■ トレヴィーゾ 13:25発 → ヴェネツィア=サンタルチア 13:59着 (快速列車,2等運賃3.30EUR)

列車はそれほど古いタイプではないが、冷房が全く効いていない。おそらく、そこらじゅうの窓を全開にしているので、冷房が効かないのだろう。30分ほどでヴェネツィアに到着。

駅を出て、すぐ真の前にある渡船の料金所を見に行く。1回乗車券が7.5ユーロと、まるでロンドンの地下鉄並みに高い。1日券が20ユーロというのも、破格の価格だ。今日の予定は海洋博物館だけなので、歩くことにする。

20年前にヴェネツィアには来たことがあるのだが、その時と比べて観光客の数がものすごく多くなっている。渡船も人が鈴なりになるくらい大混雑している。ちょっと観光客を集めすぎなんじゃないだろうか。


路地裏の運河を行く観光用ボート

イスラム圏の旧市街メディナのように、不規則な路地をあっちへ行ったり、こっちへ行ったり。GPSのGoogleMapで現在地を確かめようにも、そこらじゅうで衛星からの信号受信ができないため、まともにナビができない。取れあえず、リアルト橋まで標識のとおり進んで行き、そこから島の北東海岸沿いと並行している道をヴェネツィア本島の先端向かって、ひたすら歩く。そこらじゅうで道に迷い、おそらく1時間くらいは時間ロスをしている。


造船所跡(現在は海軍施設)の正門

ふいに、目の前にヴェネツィア共和国時代の造船所跡の外壁が目に入る。現在でもイタリア海軍が使っているので、造船所跡自体には入ることはできない。国営造船所(アルセナル)の入り口には、時計塔と巨大なライオン像。この景色は結構有名だ。そのわきに、海洋博物館の入り口。「仮展示場」と書いてあり、入場料は5ユーロ。第二次大戦以後の沿岸警備のパトロール艇や、19世紀に造られた王族のための船などが展示されている。船に取り付けられていた対空機銃や、接触機雷などが何の説明もなく部屋の隅に放置されている。イタリアの、この手の技術博物館はどこも、外国人観光客に見せる体制にはなっていないようだ。


19世紀に建造された王室専用船

大運河に面した海洋博物館の本館に行ってみると、「改装工事で休館中」と張り紙。すぐわきの造船所跡の一部では、現代美術の展示会が開催されている。こちらには、たくさんの若い人が来ている。現代美術を見てもよくわからんので、ここはパス。

再び観光客の少なそうな路地を選んで、駅に戻る。

■ ヴェネツィア=サンタルチア 17:00発 → メストレ 17:07着 (普通列車,2等運賃 1.25EUR)

今度乗った列車は、バッサーノ・デル・グラッパ行き。今回の旅で行ったことのある地名が終着駅のものが多い。再びメストレに戻ってきた。ホテルのすぐ横にあるバーに行くと、まだ開いていない。周囲を探すが、これといった食べるところもなく、すぐ近所の巨大ショッピングモールにあるマクドナルドに入る。ここは自動化が進んでいて、まるでスーパーの無人レジのような、タブレットが入口のところにおいてある。注文と支払いをそれで済ませて、受付番号の書かれたレシートをカウンターにもっていって料理と引き換える仕組み。そのせいか、店員がたった2名しかカウンターに出ていない。料理の供給も自動化すれば、ほぼ無人のマクドナルドができるかも…。値段は安くしないだろうけどね。

■ ホテル ヴィダーレ 3階8号室 ダブルルーム 1泊 46ユーロ