2010/09/29

9月29日 エゲル

2010年9月29日(水曜日)
ブダペスト、エゲル

■ ブダペスト

朝起きると、今回の旅行で初めて"晴れて"いた。7時30分、ブダペスト工業大学宿泊所の食堂で朝食。9時33分にブダペスト東駅から乗る列車の時間に間に合うように、のんびりと宿泊所を出て、(まだ学生がほとんど登校してきていない)大学構内を横切り、ペトゥーフィ橋の袂からトラム6系統に乗って市内中心部へ。

途中、緑色のモザイクタイルで表面が覆われている奇抜なデザインの教会風の建物があったので降りて見てみる。市内地図によれば、工芸美術館とのこと。本『旅名人 ハンガリー』によれば、この緑色の屋根などは、ペーチのジョルナイ工房で焼かれた陶器で、ハンガリーの"アールヌーボー"様式だということだ。ジョルナイといえば、一昨日にペーチにあった噴水が、このジョルナイの陶器で作られていて、不思議な緑色の光を放っていたことを思い出した。

途中で、トラムから地下鉄に乗り換えて東駅(ケレティ駅)へ。9時33分の列車は東駅を出て、ハンガリー東部を巡って、再びブダペストの西駅へ戻ってくるという妙なコースの列車だ。駅の行き先表示板には、"ブダペスト西駅行き"と表示されている。

今回の列車(インターシティ)は9時33分ちょうどに出発。ひたすら平原が続く中を、(インターシティが停まるような町が無いために)1駅も停まらずに1時間30分でフューズサボニー駅に到着。ここでエゲル行きのローカル列車に乗り換える。


どこまでも続く平原(ブダペストとフューズサボニー駅間



平原を走る鉄道。どこまでも一直線の線路


■ エゲル

11時30分、エゲル駅到着。駅の切符売り場に貼り出されている町の観光地図には、駅が載っていない。手書きで、こっちが駅のような落書きのようなものが書かれている。ま、とにかく、駅の正面を出て真っ直ぐ歩いていくと、大きなロータリーがある。自動車用の標識に、"CENTER →"とあるので、そちらへ行くと、10分ほどでオレンジ色の大聖堂が見えてくる。

地球の歩き方の地図では、この大聖堂の位置が最大掲載範囲になっている。このガイドブックはツアー客向けだろうから、駅を掲載しなくても誰も困らないのだろう。(個人旅行客は、GoogleMapにGPSで現在地表示させるような端末を持って行けということになるんだろうか…)


エゲル 大聖堂


大聖堂は有料のオルガンコンサートがあるらしく、中へ入るのは後ほどにする。旧市街中心部へ。平日だけど観光客(?)が歩いている繁華街があり、そこを抜けると野菜売りが目立つ中央市場がある。ハンガリーといえば、調味料のパプリカを思い出すが、あれは観光のお題目なのだろうか…。ほとんど売っているのを見かけない。アラブ世界では、露天市場にはパプリカの乾燥させた奴などを軒先につるして売っているのをよく見かけるのだが、アラブがパプリカで有名とは聞いたことないし。この辺りは、ハンガリーの商売のうまさ(観光のお題目つくりのうまさ)なのかもしれない。


エゲル旧市街の繁華街 セーチェニ・イシュトバーン通り


旧市街中心の、ドボー・イシュトバーン広場までやってくる。広場の名前になっているドボー・イシュトバーンの銅像が城を背景に立っている。振り上げている刀は、どことなくオリエント風の弧を描いた剣。


ドボー・イシュトバーン像


Wikipedia日本語版では、"赤ワインの生産で有名"とか、ハンガリーの歴史で重要なことを全てすっ飛ばして食い物のことしか書いていない欠陥記事になっているが、英語版にはちゃんと書いてあるので、英語版を読む。『エゲル城、温泉、ミナレットに代表されるオスマン建築と赤ワインで有名な町。オスマン・トルコがハンガリーを占拠したときに、ハンガリー側の最前線となって、ここに篭城したドボー・イシュトバーンが有名… 云々』となっている。ハンガリーの中では、相当有名な史実らしいが、日本人の私はぜんぜんこういう歴史を知らないもので…。

なにわともあれ、歴史舞台の中心となった城へ。旧市街中心の広場から、観光客向けの店が並んでいるイシュトバーン通りのゆるい坂を上っていくと、城門がある。入場料1800フォリント。入場券売り場の横に"ガイド"のオッサンが居て、盛んに営業活動してくるのがうざい。1800フォリントも払ってんだから、観光客に許可も得ずに話しかけてくる輩くらい排除してくれよ。


エゲル城の城門


1重の城壁に囲まれている城は、これでよくぞオスマン帝国に対抗できたものだと感心する。以前、ギリシアのロドス島の旧市街の壁を見たことがあるが、あちらは2重の鉄壁の城壁だったが、それでも2回目の総攻撃で敗退して、騎士団はマルタ島へ逃げたくらいだ。ハンガリー辺りまで来ていたオスマン軍は弱かったのか、もしくはドボー・イシュトバーンが相当な運の持ち主だったのかのどちらかなのだろう。

このあたりの歴史的遺物を展示した展示館が場内にあって、見学できる。

天気予報では「曇り時々晴れ、時々雨」みたいななんでもありの天気予報になっているのだが、案の定、雨がぽつぽつと降ってくる。ミナレットを見てから、旧市街の中心のマクドナルドで昼食。

14時過ぎ、駅に戻る。この時になって、雲が切れて青空になってくる。運が悪いとはこのこと…。14時33分、ブダペスト行きローカル列車に乗車。4駅目のフューズサボニー駅で下車し、インターシティに乗り換え。案の定、インターシティは20分も遅れてやってくる。


20分遅れで到着するインターシティ


エゲルから乗ったローカル列車もブダペストへ行くのだが、結局、このローカル列車とインターシティはほぼ同時にブダペスト駅に到着することになる。インターシティの値打ちないなぁ…。

■ ブダペスト

東駅よりバスとトラムを乗り継いで、大学近くまで戻る。この辺りは、安い食堂やら、学生向けの店がたくさんあって生活コストが安くできている。で、またもや中華料理屋に入って、中国語で注文してみると、食べきれないほどの量が出てくる。(焼き飯だけしかないと思っていたら、中国語でパイファン(白飯)と注文すると出てくるという謎なシステム…)

旅行を始めて1週間程度になるため、ズボンの状態がヤバくなってきた。洗濯屋に行き(コインランドリーだけど、なぜか管理人のおばちゃんが居たりする)、洗濯(800フォリント)乾燥(300フォリント12分)とする。ズボンとか、手で洗うより遥かに楽。

部屋に戻り、たまっている動画をYouTubeにアップロードしてみる。大学のインターネット接続速度は結構速いみたい。夜だから、利用者が少ないからかなぁ。