2010/09/26

9月26日 ショプロン、ソンバトヘイ

9月26日(日曜日)
ジュール、ショプロン、ソンバトヘイ

■ ジュール

夜中にかなり雨が降っていたようで、雨が地面をたたきつける音がずっとしていた。7時過ぎに朝食を食べて、8時過ぎに駅へ。雨は上がったばかりで、雲がすごい速さで南の方へ流されていくのが見える。

ショプロン行きの列車3番線、ソンバトヘイ行きの列車3番線、どちらも8時35分発?? と駅の出発案内に出ている。3番線のプラットホームへ行くと、案内表示にはぜんぜん違う行き先を表示している。どれが本当なんだろうねぇ…。車両の連結装置をつなぐ作業員がプラットホームに居たので、ショプロン行きの車両を教えてもらって乗車。5分遅れの8時40分出発。

列車は西へ。気象衛星の写真では晴れの領域に近づいているはずだ。車窓の畑は、低いところは一面の水溜り状態になっている。
ショプロン往復の切符を一昨日に買ったが、時間が余りそうなので、ついでに他の所も寄ろうかと、Kindleをインターネットに接続して時刻表検索する(いまのところ、Kindleのネット接続は無料なのでありがたい)。ソンバトヘイに接続する列車がちょうどいい具合にあるようなので、そこへ行くことに決める。
本当に乗客が乗り降りするのか、畑の真ん中にあるような辺鄙な駅にも一つずつ停車して、9時45分にショプロン着。


Kindleで列車乗り継ぎ検索中


■ ショプロン

Wikipediaによれば、ローマ帝国時代の"スカルバンティア"という町が起源だそうだ。当時から(旧市街の)中心広場の位置は変わっていないそうだ。

駅を出る。雨が降ったためなのか、北からの空気が流れ込んだのか、結構肌寒い。駅から旧市街方向へ真っ直ぐに延びている通りを10分ほど歩く。今日は日曜日なので、沿道の商店は全て閉店している。旧市街へ入っても、もちろん商店はお休み。観光地とかそういうのは全く関係ない模様。そこらじゅうの教会の鐘が一斉に鳴り、教会から信者が吐き出されてくる。この瞬間だけ、街に人通りが戻るが、自動車などで一目散に家に帰ってしまうので、すぐにゴーストタウン状態。


火の見塔は修復工事中だった


旧市街の中心広場へ。17世紀に造られた"火の見塔"と呼ばれている時計塔と、山羊教会の尖塔に挟まれた広場の中心には、三位一体のモニュメントが建っている。ちらほらと観光客が居るくらいで、秋の観光の季節の観光地とは思えないほどの静寂さ。まあ、火の見塔はフェンスで囲まれて修復工事中だし、山羊教会の内部は床が引き剥がされて工事の真っ最中だし、観光客に来てもらう体制になっていないことは確かだろう。


中心広場の三位一体のモニュメントと山羊教会


ローマ時代からの街ということで、その当時の遺跡か何かを期待してみたが、そういうのは目立つ形の観光地としては残っていないようだ。

天気予報は「雨」なのだが、チラッと晴れ間が覗いてくれた。駅へ戻りソンバトヘイ行きのローカル列車に乗る。(この列車は、ハンガリー国鉄じゃなくて、オーストリア・ハンガリー二重帝国時代に起源を持つ歴史ある GYSEV Raaberbahnという会社が走らせている。)


ショプロン駅に展示されている蒸気機関車 324-1518


11時37分、ショプロン発。単線の各駅に停車していく。途中、発電用風車が建ち並んでいるところを通る。12時45分、ソンバトヘイ到着。


列車の入り口扉を開けると、犬が二匹鎮座


■ ソンバトヘイ

Wikipediaによれば、この街もローマ時代を起源としていて、当時の町の名前はサヴァリア。ローマ帝国のパンノニア州の州都だったそうだ。

ショプロンで少し見えていた青空も、すっかり影を潜めて、どんよりと曇っている。駅を出て真っ直ぐ西へ。サヴァリア博物館のある公園の横に、泥水の濁流渦巻く小川が流れている。よっぽど雨が降ったのだろう。カルガモの親子が岸辺の木の陰に避難している。

この街もゴーストタウン状態。イスラムの食べ物"ケバブ"屋も休んでいる。中央広場に近づくと、音楽が流れてくる。露天が出て、仮設ステージでは(ハンガリーの)カントリー・ミュージックを演奏している。


中央広場のB級グルメ露天


と、とある露天を見ると、ブタを大量展示中。看板には"HUNGA PIG"とある。"HUNG A PIG"の間違いなのか、ブタを売っているのか…。親ブタだけでなく、子豚も付けて売っているのか全くの謎の露天。


中央広場での民俗音楽演奏と民族舞踊


その露天の並んでいる中央広場から、市役所を越えて南側にイシス神殿跡があると"歩き方"には書かれている。遺跡のある辺りが仮設の壁で囲われて、コンクリートでパルテノン神殿のような建物の建設真っ最中。隣の建物の階段から工事現場を見下ろすが、地面は完全にコンクリートやタイルで覆われて、どこが"遺跡"なのか分からない。これじゃあ、復元を通り越して、捏造じゃないですか…。

中央広場を再び通り抜けて、大聖堂へ。市役所は味気ないコンクリートの四角いビルだが、大聖堂の近くにある県庁舎は歴史ありそうな建物。さらに歴史ありそうな司教館と18世紀に建てられた大聖堂がある。大聖堂は、中には入れない。日曜だからなのか、いつも入れないのかは知らないけど。雨が降ってくる。土砂降り。大聖堂横のローマ遺跡公園に入る(入場料600フォリント)。モザイクタイルが残っているのを見れる以外は、復元されまくった遺跡が見れる。学術成果をもとに、コンクリートと石で遺跡を"造って"しまっては、もはや"遺跡"じゃないでしょう…。


ローマ遺跡と大聖堂の尖塔


土砂降りの雨の中、駅へ戻る。15時発のブダペスト行きインターシティに乗る。この列車は、運賃(2110フォリント)の他に特別料金(540フォリント)の切符が必要。買った切符には指定席の席番号が書かれていないので、たぶん自由席なのだろう。乗客はうまい具合に座席が全て埋まる程度の満員状態。特別料金が要らない各駅停車の半分の時間、約1時間でジュールに到着。