2010/09/25

9月25日 パンノンハルマ、コマールノ

9月25日(土曜日)
ジュール、パンノンハルマ、コマールノ

■ ジュール

7時、ペンションで朝食を食べてから、すぐ近くにある(鉄道駅南側に隣接する)バスターミナルへ。今日はハンガリー最古の建造物であり、いまから1000年前に建てられたベネディクト会 パンノンハルマ修道院へ行こうと思う。昨日、案内窓口で聞いた11番乗り場へ行くと、すでにパンノンハルマ行きバスに乗客が乗り込んでいるところだ。運転手から切符を買って(460フォリント)、バスに乗り込む。8時出発。

バスターミナルを出ると、少し線路に沿ってブダペスト方向に走る。線路沿いにLIDL(ショッピングセンター)がある。そこからまっすぐ南へ。アパートの建ち並ぶジュールの住宅街にあるバス停で次々と乗客が乗ってくる。休日なのに、バスは着席定員ぎりぎりの乗客になる。天気予報どおり曇っているが、ところどころ晴れ間が出ている。

広大なヒマワリ畑が、種の収穫が手付かずのままで放置されていたりするが、いつごろ収穫するのだろうか。30分ほどでパンノンハルマの村に差し掛かる。遠くの丘の上に修道院の塔が見える。村の中心部と思われるところを通り過ぎ、修道院からも遠ざかっていくと見えたが、丘に登るのに裏側から道路が回りこんでいるようだ。通り過ぎてしまったのかと、少しだけ焦る…

■ パンノンハルマ

8時40分、修道院の正面にバスが到着。降りた観光客は、私だけの模様。修道院の正面ゲートに行って見ると、"CLOSED"と札が出ているではないか。入り口の係員に聞くと、バスが来たほうと違う道を下っていき、そこに切符売り場があると言う。坂を下っていくと、建物があり駐車場には観光バスが停まっている。ハンガリー人の老人団体が切符売り場周辺に大量に居たりする。受付で、日本語の説明文を印刷した紙をもらう。修道院内のツアーはハンガリー語で行われるようだ。切符は1800フォリント(約720円)。

9時にツアー開始。切符売り場の建物の3階で修道院を紹介するDVDビデオを見る。入り口で"日本人"であることをさりげなくアピールしておいたので、字幕が日本語だったり…。(DVDメニューでは英語や日本語を含めて5~10程度の言語メニューがあって、その日の外国人の質に合わせて言語を選択しているようだ)
30人ぐらいのグループ2つに分かれて出発するようで、私は"年寄り度の高い"グループの方に加わる。(歩くのが遅いので、写真をとる時間が十分に取れるという魂胆)


パンノンハルマ修道院 時計塔


先に行った"年寄り度のそれほどでもない"グループが出発してから20分くらい経ってから出発。正面入り口の門を入り、中庭を抜けて、時計塔の下へ。運がよく、晴れ間が出てくる。ちょうどここで晴れてくれて、写真を撮るのに都合が良い。


パンノンハルマ修道院 礼拝堂


ツアーは時計塔の横の入り口から建物に入り、礼拝堂、回廊と進み再び建物から出て、時計塔の裏側に回りこみ図書室へ入るというコース。礼拝が行われているときには礼拝堂の見学ができないらしい(日曜と聞いている)ので、そのときは回廊と図書室だけしか見学できないのだろう。

修道士の居る区画には一切立ち入りできないので、修道士を見かけることも無い。このあたりは、ギリシアのメテオラの修道院を見学したときとの大きな違いだ。ギリシアでは修道士から直接話を聞いたり、食堂での食事に加わることもできる(観光客用の施設が無いということの裏返しか…)のだが、パンノンハルマでは見学方式がキッチリしていて修道士の手を煩わすこと無いようにツアーが組まれるのだろう。そのあたりが、ちょっと味気ないというか、残念というか…。


パンノンハルマ修道院 図書室の巨大地球儀


ツアーを終えて、土産物屋を経て外へ。駐車場やバス停と反対側の遊歩道を行くと、時計塔の下を回りこんでギムナジウム(学校)の校庭に達する。高校生ぐらいの生徒がサッカーしてたりする。ギムナジウムの横から、村の方へ降りてゆく急な坂道が分岐している。どんどん歩いてゆくと、10分ほどで村に出る。村の方は観光地じゃないので、もちろん先ほどの団体客はこちらの坂を下りてくることは無い。でも、ここからみる修道院の景色が一番良かったりする。


パンノンハルマ村中心から見た修道院



■ ジュール

11時10分に修道院からジュールへ向かうバスが村のバス停に来たので、乗る。運賃は来たときと同じく460フォリント。11時40分ごろジュールのバスターミナルに到着。バスターミナルの横にあるギロス屋でギロスを食べる(ギロス690フォリント、ペットボトルのアイスティー290フォリント)。"ケバブ"でなくて、マイナーなギリシア語の"ギロス"を使うあたり、かつてオスマン・トルコに占領された歴史からイスラム自体が嫌いなのだろうか…。

さて、せっかく出てきた晴れ間も、南から雲が近づいてきてうす曇になりつつある。駅に行って、コンコースの時刻表を眺めてみる。雲から遠ざかる方向で、一番最初に出る電車がブダペスト行き。途中に、スロバキアとの国境の町コマーロムに停まる各駅停車がある。切符売り場へ行き、コマーロムへの往復切符を買う(1470フォリント)。

ブダペスト行き各駅停車、13時31分出発。途中3駅くらい停車して14時10分にコマーロムに到着。


コマーロム駅に到着したローカル列車


■ コマーロム(ハンガリー)

列車を降りて、跨線橋に登ると、駅の北側に隣接してドナウ川が流れている。向こう岸はスロバキアだ。雲から逃げてきたはずが、やはり雲の速度のさるもので、青空が今にもなくなろうとしている。国境の向こうに教会の尖塔が見えているので、そちらへ行って見る。

駅から、ドナウ川沿いを少し下ったところに、緑色の鉄橋(1892年に架けられたエルジェベート橋)が架かっている。ハンガリーとスロバキアがEUに加盟して、シェンゲン条約で国境検査を撤廃して以後、国境検査は無いはずだ。中央の車道を挟んで、両側に歩道があり、観光客がぞろぞろと渡っている。下流の方から相当強い風が吹いてくるが、かまわずに渡る。雨が降って風があると、傘をさせないので悲惨な状況になるはずだが、今日は雨が降っていないので大丈夫だ(実は、帰りがけに雨が降った…)。

向こう岸まで5分ほどで渡りきる。Wikipediaドイツ語版によれば、延長415mらしい。ちょうど中央あたりが国境で、両国の名称を記した銀色の境界プレートが欄干に取り付けられている。


国境のエルジェベート橋


■ コマールノ(スロバキア)

鉄橋を渡りきったところに、かつての国境検査所が使われなくなった状態で放置されている。さらに運河を渡る橋を渡って、コマールノ市街地に入る。橋の北東側が旧市街で、自動車乗り入れ禁止になっている。旧市街のちょうど中央付近にある聖アンドリュー教会へ向かう。18世紀に建てられたとWikipediaには書かれているが、中に入ると結構質素な雰囲気だ。教会の向かい側には、Jokaiの銅像のある博物館がある。Jokaiはハンガリーの作家なので、この街がまだハンガリー領だったころに生まれた人なのだろう。


旧市街中心にあるアンドリュー教会


旧市街の北側に隣接して、ヨーロッパ・タウンというヨーロッパ中の伝統的建物のレプリカを集めたテーマパーク的なショッピングセンターがある。今日は土曜日なので、旧市街の商店はほぼ全てが閉店だが、このヨーロッパ・タウンの中だけは営業中で、若い人がたくさん来ている。


各国のレプリカの建物を集めたヨーロッパ・タウン


旧市街を出て東へ。大学があり、公園があって、その向こう側に砦の壁が見える。(この手の砦は現在でも軍や警察の土地の場合が多いので)中に入れるのかどうか不明だし、大体スロバキアのお金なんて持っていない。ハンガリーじゃないので、Kindleに入っている自炊したガイドブックにも、この街の情報は存在していないところが辛いところだ。

ハンガリーのコマーロムに戻る。国境の橋を渡っているときに、とうとう吹き降りの雨が降り出した。運が悪い…。

15時53分のローカル列車に乗り、ジュールへ戻る。

■ ジュール

ジュールの繁華街も、今日は土曜なのでほぼすべて閉店している。案の定、マクドナルドが開いているので、ここで夕食。1270フォリントでビッグマックセットのlargeを注文。ジュースをセルフサービスで入れさせる店は、ここが初めての体験だ。ドリンクバーじゃないので、1回しか注いではだめだが、数種類のジュースの液をミックスすることも可能だったりする。