2011/10/06

10月6日 ハンブルク、ブレーメン

10月6日(木曜日)

早朝より窓にたたきつけるような吹き降りの雨が降っていた。9時、ホテルをチェックアウトして駅へ向かう。途中まで霧雨のような気にならない程度の雨だったが、駅まであと5分くらいという所で、吹き降りの雨になる。しばらくバスターミナル(Lubeck ZOB)で雨宿り。



駅へ向かう道から振り返り、リューベック最後の1枚
左から ホルステン門、マリエン教会、ペトリ教会



9時42分発の快速列車(RE)で、まずハンブルクに向かう。今日の運賃は当日購入のため、29ユーロ(2900円)とちょっと高め。ローカル列車だけの場合、格安のインターネット価格が無いので損した気分になる。GoogleMapで自動車の場合の距離を測ったら180kmほど、日本のJRの場合は180km×16.2円/km=2916円になるはずなので、似たような価格になっている。乗車したDB Regioの車両は室内照明がすべてLEDに取り替えられている。さすが、環境技術のアピールに余念の無いドイツだと思った。蛍光灯からLEDに切り替えても、それほど消費電力が下がるわけでも無いのは電子技術をかじった人間なら誰でも知っている。蛍光灯が切れたときに取り替えにくい場所、たとえば、高い天井の上とかなら寿命の長いLEDという選択肢もあるんだろうけどね。



LED照明化したドイツ鉄道の近郊列車の車内


農地や林といった、北ドイツの一般的な景色も見飽きるので、Amazon Kindleで日本のニュースでも読みながら時間をすごす。アップルのスティーブ・ジョブス死去のニュースがトップで報じられていたのは驚いた。リューベックで降っていた雨は、ハンブルクに近づくとやんでいる。地面もぬれていないので、雨雲は局所的にやってくるのだろう。10時25分、ハンブルク中央駅到着。



ハンブルク中央駅 旧市街側コンコース


駅のコインロッカーに荷物を入れて(3ユーロ)、街を見に出かける。ハンブルクは、ドイツでベルリンと並ぶ「特別市」で、州政府をすっ飛ばして市が全権限を持っている。日本では地方分権と称して、政令市をぶっ潰して県に吸収するという”まるで中央集権化”のような馬鹿みたいな議論をしているが、世界的には巨大都市は州や県から独立するのが一般的だ。まあ、ハンブルクの場合はハンザ同盟時代の「都市権」を今に至るまで保持しているという解釈もあるようだが、その市役所を見に行ってみる。



ハンブルク市庁舎 中央の時計塔は高さ110mだそうだ


駅を出て、歩行者天国になっているシュピタル通りを10分ほど歩く。Europe Passageというショッピングモールがあるので、その中を通り抜けて向こう側に出ると市役所の巨大な時計塔が見えてくる。1897年に建てられた市庁舎は、中庭をはさんで裏側には商業取引所の建物がくっついている。市役所1階は誰でも入れるようで、観光客がぎっしり詰まっていた。

市役所を越えてさらに北へ。道路、運河、道路… と何本かの運河が掘られている。エルベ川とアルスター湖の水位が違うので、ちょうど道路の下辺りに閘門が造られている。そういえば、夏にトライアスロンの大会がハンブルクで開かれていたが、アルスター湖が水泳の会場だった。橋の上から眺めた限りでは、大都市特有の「濁った汚い川」にしか見えない。WikitravelのHumburgの項目では、市内中心部の旧市街広場周辺で見るべきものは市庁舎くらい(私はショッピングには興味は無い)なので、駅に引き返すことにする。アルスター湖沿いの道を駅の方へ戻っていくと、コンテナを並べて未来の都市鉄道と環境技術についての展示場がある。環境都市といいながら、市街地の中心に自家用車が大量に行き来しているのを何とかしろと言いたい。総論賛成、各論反対の自動車に乗る金持ちを強制的に市電・バスに乗せてからえらそうな口をたたいて欲しい。



市庁舎北側の運河。いわゆる、ウォーターフロント開発ですか


ハンブルク中央駅に戻り、構内のレストラン街の中華屋で昼食(4.5ユーロ)。しばらくヨーロッパに滞在すると、飲み物を注文せずに食事するのに慣れてしまう。日本なら、水は無料で出るものだが、ヨーロッパは水すら有料。だから食べ物だけ注文する客が、この手のフードコートでは大半だ。12時15分発のブレーメン行きの列車に乗る。ドイツ鉄道ではなく、メトロノームという運行会社の列車だ。EU指令で各国の国鉄が上下分離、民営化されて、ドイツでも線路と駅はDB Netz、長距離列車はDB、近郊路線の快速や普通列車はDB Regioにばら売りされたが、近郊路線の一部は民間企業に買い取られて、メトロノームのような違う会社が運営しているものもある。切符は通しで買えるので旅行客的には問題ないけど、線路と電車を別会社にするとそのうち事故るよ… イギリスのように。線路(インフラ)のようなコストカットしまくれる部門は、保線の手を抜きすぎる傾向がある。どこまで手を抜くべきか、本当は経営工学の難しい問題だが、インフラ部門はどの国でもやる気無い人間の巣窟になるのでだめだろうね。



ハンブルク中央駅。中央の黄色と白の列車がブレーメン行き


ハンブルクからブレーメンまで、1時間10分。途中で車窓が真っ白になるくらいの滝のような雨の区域を通過する。さすがに列車は徐行運転になった。ブレーメンに13時25分到着。3年位前に1度来たことがあるが、そのときは飛行機の乗り継ぎで深夜の6時間程度滞在しただけだ。だから、街の中は全く知らない。

駅を出て、ネットで予約したホステルへ。パーカーを着ているので傘をさす必要は無いが、それでも気になるくらいの吹き降りの小雨が降っている。天気予報によれば、ちょうど寒冷前線が通過しているところで、猛烈な風が吹き付けてくる。駅から歩いて1kmほど、ドイツテレコムの巨大なビルの横のホステルに到着。荷物だけ置いて旧市街の観光へ。

トラムが中央を走る歩行者天国に平行して、ショッピングモールのガラス天井のアーケード街が続いている。アーケードの中を歩くと、雨に濡れずに旧市街中心の中央広場に出る。結構小さい旧市庁舎は15世紀からあるものらしい。1階はがらんどう、2階はツアーでしか入れないようだが、外から見た感じでは大きなホールのようになっているようだ。単なる観光施設化しちゃってますね…。市庁舎の北にフラウエン教会、東にペトリ大聖堂がある。どちらも赤茶色のレンガ造りで、似たような形の高い尖塔を持っている。Wikitravelではペトリ大聖堂の方の記述があるので、そちらに入ってみる。やっぱりドイツの教会は地味ですね…。天井の漆喰の白いところに少しだけ絵を描いているのは、美観的には努力の跡が見えるけど、イタリアの教会のように全面にフレスコ画を描いたりしていない。



旧市庁舎と、左背後のフラウエン教会の尖塔


間抜け顔のブレーメンの音楽隊のロバ


ベットヒャー通り


市庁舎の横に「ブレーメンの音楽隊」の銅像。記念写真を撮る観光客が取り囲んでいます。一番下のロバの顔がいかにも間抜けっぽくみえるのは、私だけだろうか。市庁舎正面に鎮座しているローラント像の顔もちょっと間抜けっぽい。昔の美術のトレンドは、こういう顔なのだろうか。ヴェーザー川を越えて新市街に行ってみる。川には帆船のレストランが係留されていて、ちょうどその帆船と旧市街の教会が写真の素材にぴったりだ。だけど、今日は雨…。

夜、夜景を撮影していると急に雲が流れ去り快晴に。あと数時間早く晴れてくれたら、まともな写真を撮れたのに…。まあ、天候だけは運なので仕方ないですね。前線が通過して急に寒くなり、外の気温は8℃らしいです。



旧市庁舎とペトリ大聖堂の夜景


19時30分の気象衛星写真。寒冷前線が通過して一旦晴れの領域に入った