2012/09/30

9月30日 ベルガマ、イズミール

2112年9月30日(日曜日)

6時30分起床。7時、ホテルの2階(こちらでは1階か…)の食堂で朝食。他に宿泊している人が居ないのか、それとも、もっと遅くに食べに来るのかは知らないが、私以外に誰も居ない。

7時45分、スークの横のバス停から163系統のバスに乗り、バスターミナルに向かう。この街のバス停には、系統番号も時刻表も貼り出されていないので、あらかじめインターネットでバスの時刻を調べておかないと、長時間待つことになるかもしれない。(ちなみに、163系統は30分に1本くらいの運転)


イズミールのバスターミナルに停車しているベルガマ行きミニバス



バスはイズミール市街地中心を避けるようにして、バスターミナルに向かい、約30分で到着。10年前に、カッパドキアから乗ったバスを乗り継いだときには、こんなに大きな場所ではなかったような気がする。新しく建てたのだろうか。ベルガマ行きのバス会社の切符売り場を探すが、見つからない。適当にその辺りの売り場の人に尋ねると、近場へのミニバスは上の階から出るとのこと。2時間の乗車距離で、近場のバスとは、さすが長距離バス路線網が発達したトルコならではだ。

Metro Bergamaという会社の切符を購入。10リラ(450円)。8時30分に、乗客2名を載せて出発。イズミール郊外や途中の小さな町からどんどん客が乗り込んできて満員になる。

雲ひとつない改正の青空の下、乾ききって潅木がまばらに生えた低い山々や、エーゲ海を見ながら約2時間でベルガマに到着。ベルガマの町から相当離れたところにあるバスターミナルには停車せずに、旧市街のバス会社の事務所の前が終点だ。目の前には、アクロポリスの”山”が見えている。アテネのアクロポリス程度なら登ろうかという気も起こるが、ここのアクロポリスは本格的な”山”だ。GoogleMapによれば、バス停のある位置から陸の頂上までは標高差250mとのこと。

バス停の横には”エジプト神の神殿”遺跡がある。占領地の宗教を容認したローマ帝国らしい遺跡だ。バス停から1km程、坂道を登ったところにアクロポリス行きのケーブルカーの駅がある。駅前には団体ツアー客のバスが大量に並んでいる。私のほかに、バス停から歩いて登って来る個人旅行客は全く見かけない。

何年か前にギリシヤのミケーネ遺跡に行ったときには、バス停から遺跡まで4km、標高差160mに比べたら、たいしたことはない。


アクロポリスのギリシヤ劇場跡


アクロポリスのトラヤヌス神殿跡



ケーブルカー(日本人はロープウェーと呼ぶようだ)の料金は10リラ(450円)。標高差200mを一気に上ってくれるので安いものだ。ケーブルカーを降りると、目の前に土産物屋と入場券売り場。入場券は20リラ(900円)と、この国にしては高価だが、ヘレニズムからローマ帝国時代に属州の首都だった古代都市遺跡を見れるのだから、安いものだ。(ただし、出土品は、ベルリンのペルガモン美術館に略奪されてしまっている。数年前にベルリンの方は見たので、今回はこちらの方を…)

所々に潅木が生えているほかは、影一つ無い灼熱の山の上には、太った素肌を露出しまくった欧米のジジババ団体客が何組もうろついている。それと中国人の10人程度の団体と、長袖に帽子、手袋までした場違いの日本人団体の20人くらい。

エーゲ海、遺跡、古代遺跡のリゾートで、何で冬のような格好してきてるんだ…日本人。 日焼けしたくないなら、場違いの国に来なくてもいいのに。

と、人間観察はこのくらいにしておいて、遺跡の観察を。

ものすごく急な斜面に無理やり造った感のある、ギリシア円形劇場。急傾斜過ぎて、一番後ろの席から舞台が遠いこと…。柱の下の部分がまばらに残っているだけのアテナ神殿跡を通り過ぎて、山の頂上辺りに他の遺跡に比べて新しいトラヤヌス神殿が、それなりの形をとどめている。(新しいといってもヘレニズム時代より、ローマ時代のほうが新しいというレベルだが…)

柱が崩壊して、ペディメントが綺麗に地面に落下しても原形をとどめているのは、不思議な感じがする。組み立てなおしたんですかね…。例の日本人団体のガイドの説明が耳に入ってきたが、「当時は奴隷がたくさん居たので、これほど立派な神殿を建てられた」というような説明をしているが、その説明ならスカイツリーも奴隷が居なければ建てられなかった事になる。要件は奴隷の有無ではなく、財政の豊かさと、神殿を建てる権利を行使できる独立性が、(ローマ帝国内の)アジア属州に与えられていたということだと思う。Wikipediaを見ながら現地を見学した方が、よほどマシだと思いますよ>日本の団体さん。

山頂を越えて裏側には、観光客は誰も入ってこないようだが、巨大な貯水槽跡が広がっている。遥か山の麓には、巨大なダム湖が見えている。

再びケーブルカーに乗って遺跡を後にし、旧市街へ降りてゆく。バス停の近くの店で、トルコ風ミート・ピザを食べる(6リラ,270円)。こちらでは、ミンチ肉をレアの状態で出すのが普通のようで、スパイスが効いた肉がおいしい。(反面、日本で禁止されたように、食中毒の原因にもなりえますね)

ちょうど走ってきたタクシーを捕まえて、アスクレピオン神殿へ向かう。アクロポリスとは別の丘の中腹にあり、歩いて来れないことも無いが、登るのが結構しんどそうだ。タクシー料金は10リラ。遺跡の入場券売り場には、大人なのに学生証のようなものを出して、件を購入する団体が並んでいる。その1人ずつのデータをなにやら入力しているので、10人ほどの列なのに30分くらい掛かる。もう、この非効率さはアホなのかと…。たかが500円くらいの入場料ケチるようなシステムやめろよと思う。

こちらも団体観光客だらけ。円形の診療院跡では、妙な古代楽器風のものをガイドが弾いている、英語圏の団体客のジジババが居た。妙な宗教じみたことをするのなら、自分たちの家でやって来いと…。

エーゲ海を挟んだ反対側にあるギリシヤのデルフィと同じく、祈祷のための神殿があったところで、円形の神殿跡があるのもあちらと同じ。ただ、こちらの遺跡は破壊のレベルが激しすぎて、あまり残っていないが…。


アスクレピオン


アスクレピオンの聖なる道と、遥か向こうに見えるアクロポリスの山




3000人収容といわれるギリシヤ劇場は、アクロポリスのものよりかなり小ぢんまりしている。いまでも演劇祭か何かをするようで、座席はコンクリートで補修しまくっているので、原形をあまりとどめていない感じだ。

アスクレピオンからアクロポリス方向に向かって、数百メートルの列柱の道が出来ている。まさか、出来た当時はこの道が繋がっていたということはないだろうが…。

遺跡を後にし、歩いて旧市街に戻り、バス停へ。14時20分発のバスに乗ってイズミールに向かう。バスターミナルではなく、イズミール市街地に入った高速道路のようなところで降ろしてもらい、すぐ横のメトロのボルゲ駅から地下鉄に乗り、県庁前まで。

17時に閉館する考古学博物館に、閉館20分前に滑り込む。バスターミナルまでバスに乗り続けていたら、17時にやっとバスターミナルに到着したくらいだろう。途中で降ろしてもらってよかった。

考古学博物館には、昨日訪れたアゴラ跡で出土した石像も展示してある。それほど展示物は多くないので、20分あれば駆け足で全部見ることが出来る。


イズミール考古学博物館 走る人のブロンズ像



考古学博物館の猫。街の中は、どこも猫だらけ


夕食は県庁舎横にあるショッピングセンターのバーガーキングで。若い人がたくさん入っているが、街の中のレストランより価格設定は高めだ。ワッパーのセットメニューで10.25リラ(460円)と、日本よりは安い。スークを通り抜け、国鉄バスマーネ駅に向かう途中の旧市街でケバブを2リラで買い食いしながら歩き、駅で明日のセルチュク行き切符を購入。


バスマーネ駅近くの下町にて



県庁舎前広場の時計塔とモスク


本日の最高気温33℃、最低気温16℃。http://www.wunderground.com/ のデータによる。