2009/10/03

10月3日 クヴェトリンブルク、ブロッケン山

10月3日(土曜日)祭日
■ ヴェルニゲローデ

朝起きたら、空が朝焼けで赤くなっている。もしかしたら、晴れるかもと思ったが、結局まともな晴れ間には今日一日めぐりあえなかった。

ホステルで朝食(2.9ユーロ、380円)を食べたが、これならスーパーで買ってキッチンで自分で調理した方が安い。しかしながら、安宿系の朝食はハズレの場合が多いので、別料金ならやっぱり拒否すべきなんだろうね。

駅へ行き、8時42分発のハレ行きRE(RegionalExpredss:地域急行)に乗る。車内は、こんな朝早くても、観光客で満員。祭日だからだろうか。5分遅れで出発した列車は、きっかり5分遅れの9時にハルベルシュタット駅に到着。ここでターレ行きの各駅停車に乗り換える。変わりばえしない単調な農場ばかりの景色が続く。(もっと山岳地だと思っていた…) クヴェトリンブルクには9時23分到着。運賃は6ユーロ。

■ クヴェトリンブルク

駅を出て、住宅街の通りのように閑散とした駅前通り(Bahnhofstrasse)を5分ほど歩くと、旧市街の外周道路に突き当たる。(この道路が、昔の城壁の跡地なのだろうか…)

外周道路をしばらく時計回りに歩いてゆくと、中央広場(マルクト広場)に出る。10世紀にザクセン朝ドイツ王国の初代国王ハインリッヒ1世が創立したといわれる城がこ町の起源といわれている。(つまり、古い町という事で、世界遺産に指定されたらしい)

マルクト広場の周辺には、15XX年などと年号が記された木組造りの建物もある。いかにも古そうに見える町役場の建物前では、オッサンばかりのドイツ人団体が、ひたすらガイドの説明を聞いている。町役場の横のカフェは、休みなのか、開店時間前なのかは知らないが、入り口の前のカーペットにでっかい猫が鎮座して番をしている。

クヴェトリンブルク市庁舎横のカフェに鎮座する猫
クヴェトリンブルク市庁舎横のカフェに鎮座する猫


木組造りの建物(観光客向けの店に改装されて、きれいに色を塗り替えられている)が見どころというのだろうね。

丘の上に城か教会が見えるが、時間がないので駅へ戻る。

10時30分発のターレ行き各駅停車に乗車。同時刻に、アレクシスバッド行きのハルツ鉄道の蒸気機関車でけん引されている列車が出発する。今回はうまい具合に、ターレ行き列車の運転士が蒸気機関車と速度を完全に合わせて併走してくれた。


ハルツ狭軌鉄道の蒸気機関車(併走する列車から撮影)


平地を全速力で走る蒸気機関車を、しばらくの間、真横から眺めるという、なかなか出来ない体験ができた。

■ ターレ

クヴェトリンブルクから10分で、終着駅のターレに到着。運賃2.1ユーロ(280円)。

単に観光客がたくさん行くから来てみたが、どうもほとんどすべての人が、ターレ駅のすぐ目の前にある山にハイキングか何かに出かけるようだ。ゴンドラ(Seilbahn)が500mくらいの山の頂上付近とふもとを結んでいる。

さて、どうしたものか。ここで山に登るのなら、ブロッケン山に登った方がいいのではないだろうか…

ということで、ブロッケン山に蒸気機関車でけん引される登山電車に乗るべく、ヴェルニゲローデに戻ることにする。

11時16分にターレを出発する列車に乗り、ハルベルシュタットで乗り換えて、12時16分にヴェルニゲローデ着。運賃は10.3ユーロ。

■ ヴェルニゲローデ

駅周辺には手っ取り早く食べられる食堂がないため、旧市街のケバブ屋ケバブを食べる(3.0ユーロ、400円)。駅に戻り、ハルツ山へ登る列車に乗車。往復運賃は26ユーロ(3400円)。列車はそんなに満員ではなく、かなり席には余裕がある。

13時25分、かなりゆっくりしたスピードで列車が出発。蒸気機関車で走らせているからといっても、特に言われなければ普通の列車と乗り心地は変わらない。

出発直後、天気が少しよくなり、雲の間から日が差してくる。このまま天候が回復してくれたら… とかなわぬ妄想を抱いてしまう。

林の中を右へ左へカーブしながら、徐々に高度を上げて行く。30分くらいいったところのドライ・アンネン・ホーネ駅で半分くらいの客が入れ替わる。こんな中と半端な所で降りてどうするのかな… (駅付近が駐車場になっているからなのだろうか)

ハルツ山から降りてくる列車が遅れていて、私の乗っている列車も、ずるずると遅れが蓄積されてゆく。標高700mくらいにある最後の途中駅、シエルケ駅の付近からは、雲の中に入り視界が灰色の霧で覆われる。

霧にもかかわらず、たくさんの人が山の上から歩いて降りてきている。(この駅で標高差は550m近くある) 天候悪くても、計画通りに行動するドイツ人らしい…

私の乗った席のすぐ向かい側に坐っている老人(80歳らしい)に話を聞くと、この山に登るのは3回目という事で、これほど天候が悪いことは経験したことがないそうだ。第二次大戦時には大学を卒業して、海軍に入隊し巡洋艦に6カ月くらい士官として乗務していたそうだ。で、その結果として、ニュルンベルク裁判に掛けられ、ソ連に数年間抑留されていたそうだ。鉄道ファンでもあるらしく、かなり技術的な解説をしてくれた。

列車はどんどん濃くなる霧の中を山頂を目指すが、上から降りてくる列車をやり過ごすために、何度も退避線に入って止まるため、だんだん遅れて行く。

■ ブロッケン山

霧に包まれたブロッケン山頂駅に到着したハルツ狭軌鉄道の列車
霧に包まれたブロッケン山頂駅に到着したハルツ狭軌鉄道の列車


15分くらい定刻より遅れ、15時45分にブロッケン山頂の駅に到着。すぐ目の前にあるはずの駅舎らしき建物もかすんで見えないし、寒い。駅舎につるされている温度計では5度。人の流れに従って歩いていくと、山頂の地図の掲示板がある。アンテナと天文台のような建物が山頂にあるのだが、ここからではまったく見えない。登り道が見えるが、数メートル先で霧の中に消えている。列車から降りた人が向かっているので、方向的には間違ってないんだろう。

登り道を登るが、吹き飛ばされそうな強風に崖下に吹き飛ばされないようにするのが精いっぱい (笑

数分歩いたところで、ぼんやりと目の前に建物らしきものが見える。尾根の上に出たらしく、向うから暴風が吹きつけてくる。何とか、建物のドアのあるところに到達し、中に入る。ホテルがあるらしい。あとは、みやげ物やとカフェテリア。

何かよくわからんが、山頂の施設はこれだけのようだ。駅に戻り、16時22分発の列車(10分遅れの16時30分過ぎに出発)に乗って、ヴェルニゲローデに戻る。

下山すると、なんと晴れている。ちょうど日没の18時なので、太陽は照っていないけど…。

■ ヴェルニゲローデ


ヴェルニゲローデ中央広場に面した建物
ヴェルニゲローデ中央広場に面した建物


旧市街へ行ってみると、ほとんどの店が祝日のため閉店していて、ゴーストタウン状態。運よく開いていた、西門近くの中華屋(Hot Wokという店)に入って夕食。ホステルの近くのスーパーは、もちろん休みだった。

ヴェルニゲローデ駅の蒸気機関車車庫に写真撮影に行く。本線を通過する列車は、なぜか東ドイツ時代の塗装のまま保存されている、イベント列車が次々と走りぬけて行く。旧塗装にそれほど人気があるのなら、現在走っている列車の何割かを東ドイツ国有鉄道デザインに戻せばいいのに…