2012/09/26

9月26日 ヨーク

2012年9月26日(水曜日)

昨日の夜から明け方まで土砂降りの雨が降っていたが、早朝にはほとんどやんでいる状態だ。BBCのニュースによれば、30年に1度ある確率の大雨だそうで、ニューカッスルとヨークシャーで大洪水ということだ。ヨークの郊外の町並みが水没しているところを中継している。大洪水の中心地に、図らずも旅行に来てしまったわけだ (笑


気象衛星の写真



7時30分、ホテルの食堂で朝食。ベーコンが塩辛かったイングリッシュ・ブレックファーストを食べて、8時過ぎに外へ。すぐ隣が小学校か幼稚園のようで、子供を連れた親が大量に”通学”してくる。旧市街の外周の城壁にまず登ってみる。昨日、フィッシャーゲートから少しだけ上を歩いたが、今日はそこからさらに大聖堂のほうを目指して歩く。この手の”歩ける”城壁には、たいてい人が落ちないように手すりが付いているのだが、ここでは景観を優先して手すりは取り付けられていない。史跡の景観を守るためには、人間の安全性くらいは少々犠牲にするという姿勢は評価できる。

結構気温は低いのだが、まだ紅葉は始まっていないので、城壁の周囲の木々は緑色のままだ。紅葉していたらもう少し綺麗なのかもしれない。(それよりも、晴れていたら確実に綺麗な景色なのだろう)

城壁は修復されたもののようで、それほど古くは見えない。城壁に隣接して建ち並んでいる2階建ての住宅群も、10年とか20年前に建てられたような新しいものばかりのようだ。旧市街といっても、これではあまり情緒があるとはいえ無いだろう。


レッド・タワー近くの城壁



路線バスが走る貫通穴が開けられた門のところでは、一旦地上に降りる必要がある。修復のときに、昔は存在すらしなかったバスのための門を開けるなら、門の上に通路もついでに作ってくれれば、わざわざ下に降りなくてもと思う。レッド・タワー(門)で城壁が途切れている。壁が続いていたと思われる場所には、普通の家が建てられている。修復や復元で作られた城壁なら、昔のように街を一周するように復元してしまえばいいのに…。

この辺りには5階建てのアパートが並んでいたりして、旧市街という名前とは違って、近代的な趣がある。さらにアパートの建設が行われるようで、区画整理された広大な空き地が広がっている。しばらく歩くと、大聖堂(ヨーク・ミンスター)の後陣側(裏側)に出てくる。教会付属学校や石細工の修復工房が教会の裏手に集まっている。9ポンド(1134円)払って大聖堂に入場する。教会の見学だけで1000円を超えるとは、さすが物価高のイギリスだけはある。


ヨーク・ミンスター(大聖堂)


ヨーク・ミンスター(大聖堂)内部(真廊)




15世紀に建てられたものらしいが、19世紀に火災からの修復工事をしているそうなので、内装は結構新しく見える。実際に使われている宗教施設だから、壊れているところはどんどん修復するのだろうが、観光客の立場からすれば廃墟であっても古いまま残して欲しいとも思う。

教会を出て、それほど広くは無い旧市街を縦断して、南端にあるヨーク城跡へ。ショッピングセンターの駐車場のど真ん中に、こんもりと盛り上がった芝生の丘があり、その上に城(キープ)が建っている。13世紀に建てられたキープは、イタリアやフランスで見かける四葉のクローバー型をしている。入場料4ポンド払って中に入るが、屋根が焼け落ちて壁だけが残った状態だ。



ヨーク城のキープ(クリフォード・タワー)


キープの内部





駅を挟んで旧市街と反対側に、イギリス随一を言われている鉄道博物館があるので見に行ってみる。途中、ウーズ川を渡る橋に差し掛かると、歩道が大量の人で溢れている。橋のちょうど下辺りにあったリバーサイドのレストランなどが水没している。大聖堂や城郭より、断然たくさんの人が「洪水というアトラクションは、大聖堂や城よりもたくさんの観客を集めるようだ。


ウーズ川に架かる橋には大量の見物客が…




川沿いの建物が浸水し始めている


市街地に向かって広がる浸水を食い止めようとしている」






鉄道博物館は入場料無料だった。入り口を入ると、ユーロスターの切断模型と新幹線が置いてある。日本以外で新幹線を展示している施設があるとは知らなかった。展示物のほとんどは蒸気機関車だが、ユーロトンネルの工事用車両や、一般の豪華客車なども少しだけ展示されている。鉄道部品保管庫のようなところも見学可能で、鉄道ファン向けの即売会を開いたら、高値が付くこと間違い無しの珍しい部品類が綺麗に整理されて置かれている。


鉄道博物館


鉄道博物館 車両修復工場も見学できる




中央駅まで戻り、構内のパン屋でビーフ・パイを購入(3.2ポンド)。街の中の店なら2.5ポンド程度なので、少し高い。駅の出発案内表示には、ほとんど全ての列車が運休も無く運転しているようだ。明日は大丈夫かな…。


一旦ホテルに戻る。途中、ヨーク城のキープの横を通りかかったとき、洪水が街の中の建物が浸水するくらいまで、水位が上がっていた。消防車が来て、土嚢を積んで堤防の低いところを補強している。この場所だけ水密化しても、他から染み出してくるのでは意味無いかなとも思う。

夕方近く、ヨークシャー博物館へ。学校の遠足(社会見学)用の博物館のようで、2階は学校の授業で使うような多目的室になっている。ローマ時代にエボラカムとこの街が呼ばれていたときの出土品が何十点か展示されている。あまり展示品が無いのに、入場料7.5ポンドは高すぎる。ボッタクリだ…


夕食。ホテルの前の中華テイクアウト屋で5.1ポンドの豚肉のXO醤炒めを買う。19時ごろ、再び旧市街へ。夜景を撮影に行く。旧市街の店はほとんどが18時ごろに閉店するようで、レストランやバーを除いてほとんど閉まっている。歩く人も昼間と違ってほとんど居ない。大聖堂はライトアップされるかと思っていたが、尖塔の一部分がライトアップされただけで、ほとんどは真っ暗な状態。何もライトアップされないよりは、マシだが…。


旧市街のショッピング街(昼間)



旧市街の夜



ヨーク大聖堂の夜景


ホテルに戻る途中に、ヨーク城の横を通りかかる。昼間、消防車のポンプで必死に排水しようとしていた場所だが、また水位が少し上がっているようだ。ヨーク城の横の運河がウーズ川に流れ込むところに、(川の水位が運河より高くなったときに)ポンプで水をくみ出す施設があるが、少々浸水しても、最終的にはそこのポンプから排水されるので、町全体が水浸しになることは無いのだろう。

本日の最高気温15℃、最低気温9℃ http://www.wunderground.com/ による。