2009/10/06

10月6日 ベルリン

10月6日(火曜日)
■ ベルリン
朝から、雨。7時にアパートを出発して、ウォリナー通りのトラム停留所へ。トラムが走り去るのが見えたので、仕方なくベルナウ通り地下鉄駅まで歩く(10分ほど掛かる)。地下鉄8号線で市内中心部と反対方向のオスロアー通り駅まで行く。ここで、市バス128系統に乗り継げば、ベルリン・テーゲル空港へ行くことが出来る。市内中心部をまったく通らないので、バスも渋滞にまったく遭遇することなく、定刻どおりテーゲル空港に到着。7時45分。

テーゲル空港。初めて利用するけど、欧州随一の技術大国ドイツの首都空港とは思えないような安っぽさ。なんか、古い建物を増設しまくって、ぐちゃぐちゃになったって感じ。狭いし…

9時55分のエールフランス便でパリのロワシー空港へ。上空から見ても、曇りと晴れの領域が入り混じって、微妙な天気なんだなという事が分かる。

■ パリ
今回は2時間の乗り継ぎ時間。ベルリンよりかなり暖かく(暑く)感じる。ベルリンからの便はDターミナルに到着したので、フランス鉄道の駅をはさんだ対面にあるEターミナルまで行く。出国審査、これまたものすごい長蛇の列。30分以上は並ばないといけない。その後に控える荷物検査も20分待ち。 通過するだけで1時間も掛かるぞ、ヴォケ。 大量の乗り継ぎ客を集めて儲かってるんだから、出国審査の審査官や、X線チェックの警備員を大量増員して、さっさと捌いてくれと思う。 こういうのを見ると、破綻していても関西空港のような閑散としたところがうらやましい。

2009/10/05

10月5日 ベルリン

10月5日(月曜日)
■ ベルリン

天気予報が当たったようで、晴れている。市内交通1日券(6.1ユーロ、810円)を買って、ベルナウ通り駅からアレクサンダー広場駅まで地下鉄で行く。列車はそれほど混雑していなかったが、アレクサンダー広場駅はいろいろな路線が集まってきているので、すごい人の数だ。駅から出る人よりも、乗り換えの人が多いようだ。駅前は閑散としている。オフィスビルとか、この地区には無いんですかね…

駅を出ると、目の前に、空高くそびえ建つテレビ塔がある。1969年に建てられた塔は高さ368mもあるらしい。この景色は東ドイツ時代と同じだ。だれも歩いていないウンター・デン・リンデン通りを西へ。ブランデンブルク門の方へ歩く。

マルクス、エンゲルス像とベルリン大聖堂のクーポラ
マルクス、エンゲルス像とベルリン大聖堂のクーポラ


ベルリン大聖堂には、これまで入場したことがなかったので、入ってみる。入場料5ユーロ(660円)で、トイレはさらに0.4ユーロ取るというぼったくり価格だが、入場料でクーポラの上まで登れるので、(普通は別のチケットが要る場合が多いので)お得な価格なのかもしれない。この大聖堂も、ドレスデンで見たのと同じく、新しく改装されている。どうも、ドイツ人は忠実に過去の状態を復元するという事を好まないようだ。

クーポラに登る。階段は、もちろん新しい。それなら、大阪城のようにエレベーターも付けちゃえよ(笑

たとえば、バチカンの大聖堂から見た景色のように赤い屋根で統一感のある街並みが見えるとか、ロンドンのサン・ピエトロ大聖堂から見た景色のように、近代的な高層ビル群が見えるとか… そういうのがないですね、ここからは。なんというか、一般的な都市の景色って感じです。

ベルリン大聖堂の周辺にある博物館などは、どれも改修工事中。中には閉館しちゃってるものもある。工事現場に入らせてもらって、何枚か写真を撮る。

ウンター・デン・リンデンを西へ歩く。この通りでは、ジプシーが外人に物乞いをしてくる。自分の国で生活保護でももらって、パチンコ三昧で遊んで暮らせやと思うが、彼らには国というものが無いんだな。なんというか、信じられん価値観の民族…。

シラー像とベルリン音楽堂(ジャンダルメンマルクト広場)
シラー像とベルリン音楽堂(ジャンダルメンマルクト広場)


1810年に創立されたベルリン大学が、通りに面してある。通り沿いには、古本を売る露天が出ている。(パリには古本を売る露天がよくあるが、ベルリンではここ以外では見かけなかった) でも、地球の歩き方では、いまだに東ドイツ時代の「フンボルト大学」という名前で書いてあるけど、本当の所はどうなんだろう…

ベルリンのブランデンブルク門
ブランデンブルク門


ブランデンブルク門、いまだに工事中。というか、この門、ちゃんと工事が完了して解放していたことあるの? 東西ドイツが統一された数年後に来たときは、確かに車が走りぬけてたと記憶しているが…

国会議事堂へ。ここが国会議事堂となってリニューアルオープンして以降、始めて見る。前回見たときは、まだ、「旧帝国議会 跡」のような感じで、フェンスに囲まれた廃墟だった。いまは、芝生の公園に囲まれて、ガラスのクーポラがあり、見学者が数百メートルの列をなしている。議事堂はフェンスなどで囲まれておらず、周囲に警官も目立って配置されていない、ムチャクチャ解放的な議会。 テロの脅威とか、変質者の脅威とか無いのかね。

ソ連戦勝記念碑を見て、ごみだらけの道横切り、公園を横切って、ポツダム広場の再開発地区へ。(しかし、自宅の中はきれいにするドイツ人は、公共の場所ではムチャクチャですね。ごみは捨てまくり、落書きしまくり、電車の窓は引っ掻きまくる。学生は奇声を上げて動物のように威嚇していたりするし…。)

ソニー・センター、あの日本の家電品メーカーのソニーが出資して作った街区もある。今では、ぱっとしない遅れた感じのする、あのソニーが、ベルリンでモダンなオフィスビル群(ショッピングスペース付き)を作ってたんですね。ドイツ資本のダイムラーが作った街区はモッサリしているけど、ソニー・センターは一つ抜きんでている感じがします。

旧フリードリッヒ通り検問所(通称チェックポイント・チャーリー)へ行く途中で、昼食にケバブを食べる(3ユーロ、400円)。ベルリン議会の裏手には、ベルリンの壁が数百メートル程度保存されている。その横を通り、フリードリッヒ通り検問所へ。今は検問所は単なる観光用のイミテーションの、古いタイプの小屋に様代わりしてしまっているが、たくさんの観光客が来てますね…。

ベルリンの壁、検問所、旧東ドイツ国鉄の車両など、旧東ドイツが観光資源としてムチャクチャ人気がありますね。それなら、東ドイツテーマパークとか、戦前のドイツ帝国テーマパークとか作ればはやるんじゃないですか。

昼過ぎからだんだん曇ってきて、夕方ごりには完全に曇りに。(夜は雨という天気予報)

ペルガモン博物館へ。今回の旅行では、一度もギリシア、ローマ遺跡を見ていないので、ここでギリシア・ローマ文明期の遺跡を見ることで、旅行の目的を果たしました。ニューヨークの博物館に小さなピラミッドがそのまま収められているメトロポリタン博物館の例は知っているけど、ここは宮殿の一部をそのままの形で再現しているという、スケール大きいです。ここにあったから、現代まで保存できたという功績もありますし。(イラクの例を見ても、ほとんどの遺跡が略奪・崩壊の危機にあるように、管理できるレベルじゃない)

ベルリン ソニーセンターの夜景
ソニーセンターの夜景


夜、ソニーセンターの夜景を撮影して本日の予定終了。まだ雨は降ってきてません。

2009/10/04

10月4日 ヴィッテンベルク、ベルリン

10月4日(日曜日)
■ ヴェルニゲローデ

今日もドイツ鉄道のインターネット予約の乗車券を使って、ヴィッテンベルクで途中下車してベルリンまで行く。IntercityやICEを利用しても値段は29ユーロ。

ハレで乗り換えるときに、余裕時間がたった4分しかないのは困るので、余裕を持って1本早めの列車に乗ることにする。

ヴェルニゲローデの天気は吹き降りの雨。まったく天候には恵まれていない。ドイツ鉄道の駅の隣に、ハルツ狭軌鉄道の蒸気機関車の車庫があり、既に全ての機関車に火が入れられ煙突から蒸気が立ち登っている。機関車を点検している運転士に女性が居るのには驚いた。日本では女性の蒸気機関車運転士は居ないと思う。

7時36分発の列車に乗車する。2両編成の車内は、地元の人が地らほら乗っている程度で、旅行客は今日は誰一人見かけない。途中の駅で運転士が「腹具合が悪くなった」ようで、駅に停車中に列車内のトイレに駆け込むこと2~3回。こういう職業って、大変だと思う。日本のように陰険な国では、途中で運転士がトイレなぞ行こうものなら、電鉄会社に通報されて「日勤教育」が待っているに違いない。

ひたすら続く広大な農地の間を列車が走る間に、天気が雨、曇り、晴れ間と目まぐるしく変わる。低気圧から伸びる前線がこのあたりに掛かっているので、こういう具合になるのだろうか。

約2時間掛かってハレ駅に5分ほど遅れて到着(1本後の急行なら1時間10分)。多分、運転士の腹具合のせいで5分遅れている (笑

約30分の乗り継ぎ時間で、インターシティに乗り換え。終着駅はドイツじゃないような、北欧の港町のような地名。2駅目、30分で下車。なんだか相当田舎の駅のようである。

■ ルターシュタット・ヴィッテンベルク

駅のプラットホームの間を結ぶ地下道を旧市街の方へ抜けると、駅舎がない… 巨大なテントでタクシー乗り場などを覆っているだけの、超田舎の駅… コインロッカーを探してるんだけど、無いねぇ…。プラットホームの反対側を見ると、建物があり、駅舎らしいので行ってみる。切符売り場の窓口が11時から開くので、11時まで待って窓口でコインロッカーのありかを聞く。案外、駅舎の横にあったりして…

この駅のロッカーはたったの1ユーロ(130円)。安い。

旧市街へ向けて歩く。だれも居ない道を、駅を出ると、駅も含めて商店すらないような田舎の住宅街20分くらい歩いて、旧市街に到着。

久しぶりに青空になり、太陽がさしてくる。

かつて、16世紀にヴィッテンベルク大学の教授だったマルティン・ルターが、大学構内の教会(現在のヴィッテンベルク城教会)に「95カ条の論題」を貼り出したことが、宗教改革の口火を切ったことで有名な町らしい。

市庁舎前広場(マルクト広場)にあるルター像は、残念ながら補修工事中で鉄の枠組で囲まれている。メラヒントの像のほうは鉄枠が外れているが、さっきWikipediaで調べてみて、この人の名前を始めて知った。

ヴィッテンベルク城と城内教会
ヴィッテンベルク城と城内教会


旧市街の駅から一番遠い端っこに、ルターが95カ条…を貼り出したヴィッテンベルク城教会がある。円筒型の、変わった形の時計塔があるが、教会じゃなくて、城の塔なのだろうか。

駅に戻る途中、ルターの住んでいた家の跡地の向かい側にある、ホットドック屋で昼食。

駅に戻ると、次に乗るはずのICEが20分遅れと、出発案内の表示に出ている。高速列車がしょっちゅう遅れるのは、どうにかならんのかねぇ。(専用線じゃないから無理なのかな)

13時45分にヴィッテンベルクを出発。約45分でベルリン中央駅に到着。

■ ベルリン

ずっと以前にベルリンに来たときには、この駅は中央駅じゃなくて、ベルリン・レーラーシュタット駅とか呼ばれていて、第二次大戦で破壊されたガラスドームが残っている、都市鉄道(S-Bahn)の各駅停車しか止まらないような駅だったはず…

それが今は、地下から吹き抜け構造の巨大な駅舎に、飲食店などの商店がぎっしりと入り、たくさんの人が行き来している。見違えるばかりの変わりようだ。

中央駅前のバス停に行くが、ものすごい数の人が待っている上に、道路の車が渋滞して、バスがいつ来るか分からん状況。急きょ、地下鉄を使ってトラムに乗り継ぐことにする。市内交通料金の1回券が2.1ユーロ(280円)。べらぼうに高い料金だ。ロンドン地下鉄(4ポンド、570円)よりはましだが…

ネットで予約したマウアー・パーク近くのアパートへ。到着時刻をメールしたにもかかわらず、部屋のベルを押してもだれも出ない。携帯電話で電話をかけて、アパートの部屋の持ち主を呼び出す。

わざわざ不便な住宅街にあるアパートの部屋を借りたのは、ここがかつてのベルリンの壁があった、まさにその場所だからだ。アパートのある建物はベルリンの壁のあった空き地に面していて、当時の東ドイツの中央区にあった住宅だ。

せっかくなので、アパートのすぐ近くのベルナウ通りを、北駅まで歩いてゆく。さきほどトラムで通過した所に、ほんの数百メートルだけ、かつての壁が保存されている。これを見に、かなりの数の観光客がやってきている。観光資源になるのなら、もっとたくさん残しておけばよいのに…

ベルナウ通りに保存されているベルリンの壁
ベルナウ通りに保存されているベルリンの壁


マウアー・パーク(壁公園と訳すのかな)に行ってみると、今日はフレア・マーケットをやっている。どう見ても、がらくたにしか見えない中古品などを売っている店などがある。骨董品は全くといっていいほど見かけない。

夜、吹きぶりの雨となる。やはり、天気のツキは全く無いようだ。

2009/10/03

10月3日 クヴェトリンブルク、ブロッケン山

10月3日(土曜日)祭日
■ ヴェルニゲローデ

朝起きたら、空が朝焼けで赤くなっている。もしかしたら、晴れるかもと思ったが、結局まともな晴れ間には今日一日めぐりあえなかった。

ホステルで朝食(2.9ユーロ、380円)を食べたが、これならスーパーで買ってキッチンで自分で調理した方が安い。しかしながら、安宿系の朝食はハズレの場合が多いので、別料金ならやっぱり拒否すべきなんだろうね。

駅へ行き、8時42分発のハレ行きRE(RegionalExpredss:地域急行)に乗る。車内は、こんな朝早くても、観光客で満員。祭日だからだろうか。5分遅れで出発した列車は、きっかり5分遅れの9時にハルベルシュタット駅に到着。ここでターレ行きの各駅停車に乗り換える。変わりばえしない単調な農場ばかりの景色が続く。(もっと山岳地だと思っていた…) クヴェトリンブルクには9時23分到着。運賃は6ユーロ。

■ クヴェトリンブルク

駅を出て、住宅街の通りのように閑散とした駅前通り(Bahnhofstrasse)を5分ほど歩くと、旧市街の外周道路に突き当たる。(この道路が、昔の城壁の跡地なのだろうか…)

外周道路をしばらく時計回りに歩いてゆくと、中央広場(マルクト広場)に出る。10世紀にザクセン朝ドイツ王国の初代国王ハインリッヒ1世が創立したといわれる城がこ町の起源といわれている。(つまり、古い町という事で、世界遺産に指定されたらしい)

マルクト広場の周辺には、15XX年などと年号が記された木組造りの建物もある。いかにも古そうに見える町役場の建物前では、オッサンばかりのドイツ人団体が、ひたすらガイドの説明を聞いている。町役場の横のカフェは、休みなのか、開店時間前なのかは知らないが、入り口の前のカーペットにでっかい猫が鎮座して番をしている。

クヴェトリンブルク市庁舎横のカフェに鎮座する猫
クヴェトリンブルク市庁舎横のカフェに鎮座する猫


木組造りの建物(観光客向けの店に改装されて、きれいに色を塗り替えられている)が見どころというのだろうね。

丘の上に城か教会が見えるが、時間がないので駅へ戻る。

10時30分発のターレ行き各駅停車に乗車。同時刻に、アレクシスバッド行きのハルツ鉄道の蒸気機関車でけん引されている列車が出発する。今回はうまい具合に、ターレ行き列車の運転士が蒸気機関車と速度を完全に合わせて併走してくれた。


ハルツ狭軌鉄道の蒸気機関車(併走する列車から撮影)


平地を全速力で走る蒸気機関車を、しばらくの間、真横から眺めるという、なかなか出来ない体験ができた。

■ ターレ

クヴェトリンブルクから10分で、終着駅のターレに到着。運賃2.1ユーロ(280円)。

単に観光客がたくさん行くから来てみたが、どうもほとんどすべての人が、ターレ駅のすぐ目の前にある山にハイキングか何かに出かけるようだ。ゴンドラ(Seilbahn)が500mくらいの山の頂上付近とふもとを結んでいる。

さて、どうしたものか。ここで山に登るのなら、ブロッケン山に登った方がいいのではないだろうか…

ということで、ブロッケン山に蒸気機関車でけん引される登山電車に乗るべく、ヴェルニゲローデに戻ることにする。

11時16分にターレを出発する列車に乗り、ハルベルシュタットで乗り換えて、12時16分にヴェルニゲローデ着。運賃は10.3ユーロ。

■ ヴェルニゲローデ

駅周辺には手っ取り早く食べられる食堂がないため、旧市街のケバブ屋ケバブを食べる(3.0ユーロ、400円)。駅に戻り、ハルツ山へ登る列車に乗車。往復運賃は26ユーロ(3400円)。列車はそんなに満員ではなく、かなり席には余裕がある。

13時25分、かなりゆっくりしたスピードで列車が出発。蒸気機関車で走らせているからといっても、特に言われなければ普通の列車と乗り心地は変わらない。

出発直後、天気が少しよくなり、雲の間から日が差してくる。このまま天候が回復してくれたら… とかなわぬ妄想を抱いてしまう。

林の中を右へ左へカーブしながら、徐々に高度を上げて行く。30分くらいいったところのドライ・アンネン・ホーネ駅で半分くらいの客が入れ替わる。こんな中と半端な所で降りてどうするのかな… (駅付近が駐車場になっているからなのだろうか)

ハルツ山から降りてくる列車が遅れていて、私の乗っている列車も、ずるずると遅れが蓄積されてゆく。標高700mくらいにある最後の途中駅、シエルケ駅の付近からは、雲の中に入り視界が灰色の霧で覆われる。

霧にもかかわらず、たくさんの人が山の上から歩いて降りてきている。(この駅で標高差は550m近くある) 天候悪くても、計画通りに行動するドイツ人らしい…

私の乗った席のすぐ向かい側に坐っている老人(80歳らしい)に話を聞くと、この山に登るのは3回目という事で、これほど天候が悪いことは経験したことがないそうだ。第二次大戦時には大学を卒業して、海軍に入隊し巡洋艦に6カ月くらい士官として乗務していたそうだ。で、その結果として、ニュルンベルク裁判に掛けられ、ソ連に数年間抑留されていたそうだ。鉄道ファンでもあるらしく、かなり技術的な解説をしてくれた。

列車はどんどん濃くなる霧の中を山頂を目指すが、上から降りてくる列車をやり過ごすために、何度も退避線に入って止まるため、だんだん遅れて行く。

■ ブロッケン山

霧に包まれたブロッケン山頂駅に到着したハルツ狭軌鉄道の列車
霧に包まれたブロッケン山頂駅に到着したハルツ狭軌鉄道の列車


15分くらい定刻より遅れ、15時45分にブロッケン山頂の駅に到着。すぐ目の前にあるはずの駅舎らしき建物もかすんで見えないし、寒い。駅舎につるされている温度計では5度。人の流れに従って歩いていくと、山頂の地図の掲示板がある。アンテナと天文台のような建物が山頂にあるのだが、ここからではまったく見えない。登り道が見えるが、数メートル先で霧の中に消えている。列車から降りた人が向かっているので、方向的には間違ってないんだろう。

登り道を登るが、吹き飛ばされそうな強風に崖下に吹き飛ばされないようにするのが精いっぱい (笑

数分歩いたところで、ぼんやりと目の前に建物らしきものが見える。尾根の上に出たらしく、向うから暴風が吹きつけてくる。何とか、建物のドアのあるところに到達し、中に入る。ホテルがあるらしい。あとは、みやげ物やとカフェテリア。

何かよくわからんが、山頂の施設はこれだけのようだ。駅に戻り、16時22分発の列車(10分遅れの16時30分過ぎに出発)に乗って、ヴェルニゲローデに戻る。

下山すると、なんと晴れている。ちょうど日没の18時なので、太陽は照っていないけど…。

■ ヴェルニゲローデ


ヴェルニゲローデ中央広場に面した建物
ヴェルニゲローデ中央広場に面した建物


旧市街へ行ってみると、ほとんどの店が祝日のため閉店していて、ゴーストタウン状態。運よく開いていた、西門近くの中華屋(Hot Wokという店)に入って夕食。ホステルの近くのスーパーは、もちろん休みだった。

ヴェルニゲローデ駅の蒸気機関車車庫に写真撮影に行く。本線を通過する列車は、なぜか東ドイツ時代の塗装のまま保存されている、イベント列車が次々と走りぬけて行く。旧塗装にそれほど人気があるのなら、現在走っている列車の何割かを東ドイツ国有鉄道デザインに戻せばいいのに…

2009/10/02

10月2日 ライプチヒ、ヴェルニゲローデ

10月2日(金曜日)
■ ドレスデン

天気予報では雨だが、とりあえず曇っている。トラム9系統に乗り中央駅へ。(それにしても、初乗り料金1.8ユーロは高い…)

中央駅に8時15分ごろ到着。乗る予定のICEがすでにプラットホーム2番線に停車している。(始発だからなんだろう)

今日は、ドイツ鉄道でインターネット予約した割引券を使う。ライプチヒで途中下車し、さらにヴェルニゲローデまでの合計価格が29ユーロ(3800円)。券売機で普通にチケットを買うと50ユーロするらしい。

8時54分、ICE フランクフルト行きが時間通り出発。高速列車とは名ばかりで、のろのろ運転。120kmを1時間15分掛かってるので、平均時速100kmくらい…

ライプチヒに近づくにつれて雲が厚くなって行き、とうとう雨が降り出す。3駅目のライプチヒで下車(10時10分)。コインロッカーに荷物を預け(2ユーロ)、旧市街へ向かう。

■ ライプチヒ

駅からまっすぐ、歩行者天国となっている旧市街へ歩く。ニコライ教会前の広場には花屋などの露天が開いている。(平日でも開いてるのか、明日のドイツ記念祭日が前倒しでやってるのか…)

教会に入ると、幼稚園の行事か何かで、合唱の発表のようなことをやっている。教会のオルガンではなく、先生のギターで伴奏かよ…

中央広場(マルクト広場)へ向かう。巨大なクレーンが建物の改築工事をしている。広場の半分くらいが工事現場になっているが、残りの半分には露天や野外カフェが出ている。(雨だから、カフェにはだれも客は居ないけどね)

さらに駅と反対方向に歩いてゆくと、トーマス教会と、その前に作曲家のバッハの像がある。Wikipediaによれば、1723年にトーマス教会の音楽監督になったとあるので、ここに立像と、すぐ横にはバッハ記念館という博物館があるのだろう。教会に入ると、内陣にバッハが埋葬されている墓石が埋め込まれている。(地球の歩き方では、入り口より右側と書いてあるが、入り口はいくつかあるので、右側は無いだろう… せめて東西南北で書けよ)

次に、東ドイツ秘密警察博物館(Stasi Museum)へ。地球の歩き方は完ぺきに女性向けなので、こういう見どころは全くといって掲載されてないが、LonelyPlanetには主要項目として掲載されている。

ライプチヒの近代史では、1989年の東西ドイツの統一につながる大規模デモ行進で、旧市街を取り囲む外周道路のキーポイントにあった秘密警察支部前をデモが通過できるかどうかが問題だったらしい。結果として、秘密警察支部は独自判断としてデモを阻止しせずに支部前の通過を許したことが、最終的にはベルリンの壁崩壊までの東ドイツ権威の崩壊のきっかけとなったというあたりの話は、書いてないねぇ… 歩き方には。

その秘密警察支部の1階が展示館として解放されていて、装備品の一部が展示されている。(他のフロアは、今でも政府機関の事務所)

で、見学していると、管理人らしき人がやってきて「取材ですか?」と聞いてきた。ほかの人にはそんなこと聞いていないのに、私ってそんなに怪しいですか…

次に、現代史博物館へ。さきほどの中央広場に面している。こちらは高校生が授業の一環で、何か調べろというような記入用紙を持ってやってきていた。

欧州の高校生の社会見学(?)は、日本に比べて思考能力や調査能力を試すというか、なかなかうらやましい授業をしている。私が学生のときは、バスや鉄道で遠くに連れて行かれて、適当に遊んで弁当食べて的なものしかなく、今でも日本の大学のゼミの遠足を欧州の美術館などで見かけるが、単に見学してるだけだもんね…

ここの現代史博物館の第二次大戦部分は、大幅に簡略化しているので、ニュルンベルクの国立文書管理センターの研究施設の方がずいぶん詳しく展示していた。(文書センターが一般解放をしているかどうかというのも、よくわからないけど、私は入れたので、多分一般に入れるのだと思う)

ライプチヒ市庁舎の横で行われていたファッションショー
ライプチヒ市庁舎の横で行われていたファッションショー


博物館の中まで、何やら音楽が聞こえてくるので、市庁舎の横の小さな広場を見ると、ファッションショーをやっている。 やっぱり今日は祝日の振り替え休日なのか…?

駅に戻る途中のアジア料理インビスで4.9ユーロ(650円)で昼食。駅には列車の出発前ぎりぎりに到着し、ハレ行きのRE(RegionalExpress)にきわどく乗車する。(12時51分)

■ ハレ

13時20分、ハレ中央駅到着。さて、この街については観光する予定ではなかったため情報がない。コンピュータに保存してある歩き方には「駅を出て左へ曲がり5分歩き…」とどの出口を出て左かが書いてないし、LonelyPlanetには駅の北西方向に旧市街があるとえらく適当。ま、適当に歩いてみると、適当に旧市街に到着した。駅から20分くらい歩いたかな。

旧市街広場に面して巨大な時計塔や、教会が建っている。もっと何かあるんだろうけど、何かを感じるまで時間がなく、旧市街の中央広場到着と同時に中央駅に引き返す。

今度はハノーバ行きREに乗車。プラットホームにはあふれんばかりの乗客が… やって来たのは4両編成の列車。これ、全員乗れるのかよと思っていたら、案外乗れるものだ。列車は満員となり、14時9分出発。途中の駅でだんだん客が降りて行き、ヴェルニゲローデに着くころには、車内の乗客は半分くらいになっていた。

■ ヴェルニゲローデ

旧市街と反対側の、線路の近くにあるホステルへ。1906年と建物の屋根に書いてあるので、えらく古い建物を改装して使っているのだろう。

曇っている上に、夕方となり薄暗くなった中で、旧市街の探索へ。1kmくらいある歩行者天国(ブライテ通り)には、古い建物を改装した観光客用の店が立ち並んでいて、観光客もたくさん歩いている。観光客ってのは、自宅近くの繁華街でも、ネットショップでも買える物を、わざわざ観光地で買いたくなるのかねぇ…

ヴェルニゲローデを走るハルツ狭軌鉄道の蒸気機関車
ヴェルニゲローデを走るハルツ狭軌鉄道の蒸気機関車


旧市街の外れにさし掛かると、蒸気機関車にけん引されている列車が通過していく。これが、有名なハルツ保存鉄道か。

駅の方へ行ってみる。駅手前の操作場の通用門らしき所の遮断機が、どう見てもくぐりぬけられそうな雰囲気で垂れ下がっている。すでに、何名かの鉄道ファンらしきおっちゃんが中に入って写真を撮っているので、続けて中に入ることに。

蒸気機関車、5台くらいありますねぇ。動態保存とかじゃなく、営業運転に使ってる本物が。来ている鉄道ファンに聞いてみると、何回もここに通っているそうで、晴れている日の写真など見せてもらった。20時まで待つと、すべての蒸気機関車が車庫に戻ってくるらしいが、この寒い中20時まで粘るつもりは無い。

あすは、ハルツ山までの蒸気機関車にけん引される列車に乗るか…(天気が悪いので相当寒そう)、クヴェルトリンブルクやターレといった街を見て回るか…。どうしようか。

2009/10/01

10月1日 ドレスデン

10月1日(木曜日)
■ ドレスデン

天気予報通り、今にも雨が振り出しそうな曇り空。市内交通の1日乗車券(4.5ユーロ、600円)をを使い、トラムで旧市街へ。ガイドブックやWikipediaによれば、ツヴィンガー宮殿、ドレスデン城、聖母教会などが有名という。

ドレスデン城は入場できるのか出来ないのか…、入り口すら見つからなかった。LonelyPlanetにもSchlossの記述は無いし、実際に城の中庭に通じる門から覗いたら、建築業者が盛んに作業中の模様。

まずはツヴィンガー宮殿へ。ザクセン国王が金に糸目をつけずに買い集めたといわれる、ネーデルラントやフランス、イタリアの中世絵画が大量に展示されているアルテ・マイスター(古典絵画館)へ。第二次大戦時に、岩塩鉱山などに避難させたりして助かったもののうち、ソ連による接収から返還されたもののみが現在残っているそうなので、本来はすごい数を保有していたんだろうね。

ドイツ人の高校生が美術の授業で来ていたり、ドイツ人だけでなく他の欧州諸国からの団体ツアー客が来ていたりと、すごく混雑している。日本から来た5人くらいの団体も、非常に控えめにガイドの後ろにくっついて歩いていた。

宮殿の屋上に登ると、ほんの一瞬だけ雲の切れ間から太陽が出たりする。

宮殿の美術館の入場券(10ユーロ、1300円)は、同じく宮殿の武器庫にも共通の入場券なので、武器庫にも行ってみる。

西洋風の「剣」に混じって、なぜか日本の「刀」が展示してあったりする。16世紀頃の回転式拳銃の展示は、まだ刀で切りあいをしていた戦国時代の日本と欧州とは、大分様子が違ったのだろうか。(まあ、拳銃が普及していたなら、射程距離の短い剣の出番は無かったわけで、剣の展示が多いという事は…)

絵画、武器ともに、このサイズの建物にコンパクトにまとまっていて、手っ取り早く見れる。でも10ユーロは高いのでは…  ルーブル美術館(入場料9ユーロ)やロンドン塔のホワイトタワーの武器展示の広さや量で比べるわけにも行かないんだろうけど。

ドレスデンの聖母教会
聖母教会


次に、聖母教会へ。空襲の後も燃え続け、数日後にドームが崩れ落ちたという。爆撃の衝撃では崩れなかったところが、18世紀には、このような巨大建築物を安定して建てられる実力があったって事なのだろう。

教会の横に、崩れ落ちたときのドームの一部分がそのままの状態で残されている。断面の厚さは1~2mもあって、思っていたよりはるかに厚い壁面になっているようだ。(それだけ重たいという事なので、よほど力学的に安定して作られてるんだろう。鉄の骨組とかまったく使わずに、石やレンガを積み上げただけなのにね)

外壁は損傷の少なかった石の一部がまだらにはめ込まれている。全体の数パーセントくらいだと思うけど、黒濃げになっているからとても目立つ。中に入ると、最新の塗壁になっていて、復元されているのは外部だけのようだ。

ドレスデンが、第二次大戦の破壊から街並みを復元したという事だが、それは城や宮殿、教会だけのようだ。ツヴィンガー宮殿の美術館には、かつてのドレスデンを描いた絵画があったが、聖母教会の周辺の建物は、三角に尖った前面を持つ5階建てくらいの建物に復刻すべきだけど、主要建築物以外は好き勝手にビルを建てて、昔風の色に塗っているだけのようだ。

その点においては、ポーランドのワルシャワ旧市街広場や、グダンスクの旧市街は、昔の絵画から完璧にすべての建物を復刻しているので、評価はできると思う。

昼食は、旧市街広場に出ているソーセージの露天でCurryWurstを食べる(2.5ユーロ、330円)。カレー味はベルリンの専売特許だと思っていたが、案外いろんな所で打っているのだろう。単にカレー粉を余分にかけているだけだから…

13時ごろ、城の入り口を探しに、カトリック大聖堂の横を歩いているときに、旧に強風が吹いて工事現場の砂埃が舞い上がり、直後に猛烈な雨が降ってきた。広場を歩いている観光客が屋根のあるところを求めて逃げまわっている。

30分ほど、カトリック大聖堂で雨やどり。ここも外部は古い部材で復刻しているけど、内部は新しい漆喰になっている。おそらく、鉄筋コンクリート建築なのでは… まるで、大阪城みたい。(大阪城は、外部も勝手な妄想で復刻した内外ともに完璧な偽物なので、こっちの教会の方が外だけでも本物に近いのは、すごいと思う)

一旦、ペンションに帰り、周辺をうろついてみる。トラム13系統の停留所にAltipischen Radhausとあるので、ここに市役所があるという事は、ドレスデン市ではないのか、それとも区役所なのか…

S-Bahnの駅がある。郊外の住宅街の中にあって、完全に忘れ去られたように、数十年前から放置されたような木造駅舎がある。張り出されている時刻表では、1時間に2本弱の列車が止まるようだ。近所の住民は、駅の下にあるバス停に大量に並んでいる。まあ、市内交通はトラムもバスもS-Bahnも同じ会社がやっているので、顧客ターゲットが違うんだろう。(競争しても仕方ないし)

20分に1本くらいしか来ない13系統のトラムで、新市街へ。新市街といっても、中世からある由緒ある市街地で、町の火災から復興させるために、中世の王様が「新市街」と名付けたらしい。新・旧なんて、つけるものじゃないね… 時代とともに、すべて古くなって、「新」の基準があやふやになるんで。


Centrum Galerieとプラガー通り


夕食は、中央駅近くのプラガー通り沿いに9月にオープンしたばかりのCentrum Galerieへ。2階のMediaMarkt(家電量販店)を覗いてみると、液晶テレビが大量展示してあり、ドイツ製がなかったりする。(フィリップスはオランダ製だし、あとはSamsung, LG, 東芝、パナソニック、SONYが目立った)

32インチ300ユーロ(4万円)くらいというのが、売れ筋のようで、ちょうどそのサイズを買っている人が居た。日本のメーカーはダンピング販売してるな…。日本国内はガラパゴス状態をいいことに、高いものを売りつけて、海外では安くお得なものを売る。 EUの報復関税まだですか…

日本と違うのは、ネットラジオ(著作権問題で日本ではまったく普及できない)や、各種フォトフレーム、B-CASカードがないから劇安のCS受信機(最安値は20ユーロ台)などがたくさん展示されていた。

HDTV出力を省いた廉価版の製品でも、B-CASカードや変な著作権管理ができる日本方式チューナーは、5000円もするので、この方式を採用した南米諸国は外れクジを引いたのか…。(どうせ、南米も日本メーカーじゃなく、韓国にチューナーやテレビを注文するので、安く買えるんだろうけど)

ドレスデン交通博物館に展示されている蒸気機関車
ドレスデン交通博物館に展示されている蒸気機関車