2012/10/04

10月4日 イスタンブール

2012年10月4日(木曜日)

イスタンブールのホテルの価格が高騰しているので、今日泊まっているホテルは日本円にして3800円も払っているのに、他の部屋でシャワーを使うと湯が出なくなるわ、朝食は超しょぼいわで、ひどいものだ。イズミールで泊まったホテルは2900円だったが、相当マシだった。

8時過ぎ、シルケジ駅前のフェリー乗り場に行く。ルメリ・ヒサール(砦跡)に行くフェリーが無いか見てみるが、海の上から見るだけの周遊客船(25リラ)しかないようだ。陸路で行くこととする。

エミノニュからトラムで終点のカバタシュまで行き、すぐ目の前にある小さい市バスターミナルから25E系統に乗って30分、1988年に日本のIHIが建設した第2ボスポラス大橋のすぐ下辺りにあるバス停で下車。すぐ目の前の山肌に砦がせり出してきている。

天気予報では「雷雨」となっていたが、結構湿度が高く空が白っぽくなっているだけでなく、北のほうから黒い雲が近づいてきている。入場料5リラ払って砦に入る。他に誰も客が来ていないようで、やたら警備員だけが目立っている。砦は塔と壁で囲まれた中に、古代ローマ劇場があるだけのシンプルな造りだ。

塔には登れないように扉が閉められているが、壁の上の通路に出るための階段がむき出しのまま放置されているので、勝手に上に登れる状態だ。15世紀のオスマン帝国によるコンスタンティノープル包囲戦のときに、オスマン帝国側が建設した砦で、ボスポラス海峡経由での補給を遮断するために造ったのだろう。当時、東方正教会の中心地はウクライナにあったはずなので、黒海経由での補給や援軍派遣もありえたのかもしれない。


ルメリ・ヒサールと第2ボスポラス大橋


砦の壁に上ると、ボスポラス海峡と第2ボスポラス橋が一望できる。旅行案内書などに掲載されている写真は、ここから撮影したものなのだろう。砦の中の平らなところには、オスマン帝国の大砲が並べられている。説明板によれば、19世紀のものだと書かれているので、コンスタンティノープル包囲のときのものではないようだ。

10時20分、再びバスに乗りカバタシュまで戻る。昨日購入した5回分の回数券を使い切ってしまったので、キオスクでチャージ可能なICカードを購入(イスタンブールカード 7リラ)。とりあえず、13リラチャージした。トラムの改札機で入場するときに値段を見ると、1.94リラしか支払われていない。回数券なら3リラなので、3割以上割引があるようだ。

トラムで旧市街を横断して、ビザンチン時代の市壁があったパザール・テケ駅で下車。トラムの走る大通りが壁を貫通しているが、ここがアギオス・ロマーニ門だったところなのだろうか(それとも、新しい道路やトラムを貫通させるときに、門のような偽者を作った可能性もある)。GoogleMapではすぐ南側にメフランカプという地名があり、そこには当時レギオン門というのがあったはずなので、たぶん、トプカプの道路貫通部はビザンチン時代も幹線道路がここにあったのだろう。


ビザンチン時代の市壁跡



二重になった壁の間に入れるので、レストランらしき敷地内から中に入ると、綺麗な緑の芝生に覆われている。どうも、私有地のようだ…。レストランではなく、普通の道路からアクセスできる場所の壁はボロボロで、芝生どころか半砂漠のような状態でゴミが散乱している。貴重な歴史遺産なのだから、もう少しちゃんとした公園に整備できないものかねぇ…。(日本も、大規模公共工事ばかりにODAを垂れ流すのではなく、こういう地道な遺跡整備に金を出してあげればいいのに。ゼネコンは全く儲からないからダメなのかね)

壁のすぐ脇にバスが次々とやってくる小さな広場があり、そこのカフェのようなところで昼食。ドネルケバブとヨーグルトで5.75リラ(260円)。出発していくバスを観察していると、タクシム行きというのがある。直通するなら便利だということで、乗ってみる。出発しそうなバスに乗って待っていると、どうも後部のエンジン室から火が出た?ようで、隣のバスに急遽乗り換えろと言ってくる。マイナー路線は利用している車両も結構オンボロなので、たまに故障するんだろう。

運賃1.24リラと、回数券の半額だ。トラム路線と途中まで併走し、ヴァレンス水道橋のあるアタチュルク大通りを通って金角湾の橋を渡り、タクシム広場へ。

繁華街のイスティクラル通りを下ってガラタ橋を目指す。歩行者天国のイスティクラル通りは、平日にもかかわらず、老若男女問わずいろんな種類の人で大混雑している。

平日に、何で若者がこんなにも沢山、ぶらぶらと歩行者天国をぶらついているのか!


イスティクラル通りのトラム



イスラム圏では平日昼間からカフェで時間を潰す若者が沢山居るが、トルコもイスラム圏だし、失業率も相当高いのだろう。あの若者の失業率が50%のスペインですら、これほど沢山の若者が平日から繁華街をぶらついていなかったと思う。

老人の海釣り公園と化したガラタ橋を渡り、旧市街の国立考古学博物館へ。入場料10リラだが、かなり見ごたえがある。アナトリア半島側のギリシャ、ローマ時代の出土品が整然と展示されている。金角湾を閉鎖していた鎖の実物や、アレクサンドロス大王の石棺も。レバノンのシドンで発掘された大王の棺が、なぜイスタンブールに運ばれたのか、それも不思議なところだ。


アレクサンドロス大王の棺


考古学博物館の仔猫



2時間ほど格物間を見た後、隣のアギア・ソフィア大聖堂(アヤソフィア)へ。すでに閉館間際ということで、観光客の数が減ってくる時間帯だ。写真撮影にはちょうどよい。現役の宗教施設ではなく、展示館になっているので、入場料25リラ(1125円)とかなり高額。これを見ずには帰れないので、少々高くても払う価値はあるだろう。側廊の壁の一部を引き剥がして、中から出てきたキリストや聖母子の金色のモザイク画が有名だが、もっと剥がせば、いろいろ出てくるのではないかなと思う。現代の技術なら、非破壊検査でモザイク画が埋まっているかどうか位は分かるかもしれない。

18時、閉館時間となり客がどんどんと帰って行き、写真撮影しやすい条件になる。ただ、なかなか帰らない人も多いので、完全に無人というわけにはいかなかった。


アギア・ソフィア大聖堂(アヤソフィア)