2016/06/30

6月30日 台北、淡水

2016年6月30日(木曜日)

ホテルの朝食メニューは昨日と全く同じ選択肢だったが、お粥、卵焼き、野菜炒め、ハム、漬物類、ナッツと日本人の通常の朝食の選択肢だったががほぼ網羅されていて問題ない。

日本の気象庁の衛星写真では、梅雨前線が台湾のほうまで下がってきている。太平洋高気圧の張り出しが弱いと、昨晩の台湾のテレビニュースで言っていた。エルニーニョとかラニーニャとかいう異常気象なのだろうか。昨晩から今朝の早朝まで雨が降っていたようだが、朝起きたときにはやんでいた。時折薄日が差すが、基本的には1日曇り。

8時30分ごろホテルを出て、台北北駅から地下鉄に乗る。

■ 台北捷運 台北車站 8:37 → 士林站 8:48  (20台湾元)

下車駅の数駅手前で、スマホの台湾バスアプリで故宮博物院行きのバス接続を調べる。地下鉄下車して4分後に、近くの大通りにバスがやって切るらしい。地下鉄を降りたら、アプリが表示している地図の場所に急いで向かうと、ちょうどバスがやってきた。バスに乗る人がスマホの画面を凝視して歩いているのは、バスの乗り継ぎナビが完璧に機能しているからなのだろう。台湾全土のすべての市バスや長距離バスのリアルタイムの運行状況が分かるのだから、もはやこのアプリなしでバスには乗れないだろう…。ずっと以前はバス路線図の本を買ったものだが、もう明らかに本の時代は過ぎ去った過去の歴史になってしまった。

■ 公車 815系 捷運士林站 8:52 → 故宮博物院門口 9:03 (15台湾元)

故宮博物院


故宮博物院前でバスを降りたのは2名で、すぐ後にやって来た別のバスも下車したのは数名。故宮博物院を遠くに臨むバス停から、博物院に通じる広場と階段には誰も歩いていない。博物館は年中無休のはずなので、おかしいなと思いながら歩いていくと、博物館の直近の大階段の下はバスの車寄せがある地下道路があるようで、観光バスが次々と到着している音が聞こえる。

博物館の建物に入り、「個人客用の」切符売り場へ。誰も客がいない。個人で来る客は皆無なのか…。入場料は250台湾元。切符を買ってX線検査機を通過して中に入る。数組の団体客が大階段の下に居るが、ほとんど客がいない。まず3階の玉器展示室へ。日本人団体が3組くらい、中国語の団体が4から5組くらいいるくらいで、「近年は中国人団体客でごった返して見物どころではない」という噂は過去のものになったようだ。

故宮博物院は、かなり空いている
故宮博物院   ほぼ無人の展示室も…


蔡英文が新総統になって、親米・親日路線に転換したので、「アジアの皇帝の座」という中国の夢を見る習近平の逆鱗に触れてしまい、中国人団体客の送出を制限した結果が、閑散とした故宮博物院の状態だ。個人客の立場として言わせてもらえば、中国大陸の客が居ないほうが気持ちよく観光できるので、とても良い状態だ。ただ、台湾も「インバウンド経済効果」を得ていたので、その筋の商売の人は経済的に困っているだろう。

日本国内で「インバウンド云々」と旗を振っている政治屋や経済団体、カスゴミなどは、中国大陸政府に依存したら、いずれしっぺ返しを食らうことを覚悟したほうがいいと思う。そもそも、観光がいくら盛んになっても、国の経済は維持できないのはギリシャを見れば明らかだろう。

各国観光局のデータからは、台湾を訪問する旅行客はゼロにはなっておらず、ほんの1割くらい減った程度だ。ロイター通信の記事では 『中国の旅行業者2社はロイターに対し、総統選挙を受けて、台湾への旅行客数を制限するよう当局から命じられたと明らかにした とも書かれており、1割減らすだけで経済的打撃を与えられるなら、数年前のように排日運動が中国大陸で大規模に起り制御不能になれば、1割減どころか9割減というのもありえない話ではない。



玉器 → 青銅器 → 陶磁器 → 書・漢字変遷 → 書画 → 清朝宮廷調度品 とのんびり見て回る。団体客のほとんどは、有名な品物の前だけを高速で見て通過していく。食事や買い物をやめても、この中国4000年の歴史の工芸品類をじっくり見てけばいいのに…。いまは、肉型石や白菜玉器はどこかに貸し出されて不在なので、そのせいで客が少ない… なんて事はないか。

3時間ほど見物して、ふたたびバスに乗り地下鉄士林站に戻る。

■ 公車 304系 故宮博物院門口 11:51 → 捷運士林站 11:59 (15台湾元)

士林站の南口付近の自助餐で昼食。この店は50元固定料金の店で、選んだおかずで値段が上がりすぎないところがありがたい。客が長い行列を作っているのもそのせいなのだろうか。

■ 台北捷運 士林站 12:31 → 淡水站 12:57  (40台湾元)

士林の食堂


台北市内を南北に縦断している淡水川の河口の町、淡水で下車。河岸とそこから1本内陸側の通り(老街)に、学生や若者向けのジャンクフード屋台や雑貨店が軒を連ねていて、たくさんの人が遊びに来ている。日本と違い、ジャンクフードや安食堂の価格が半額以下なので、台湾の人にとっても手軽な娯楽なのだろう。

淡水站前から、紅26系のバスに乗り、紅毛城へ向かう。


■ 公車 紅26系 捷運淡水站 13:11 → 紅毛城 13:19 (15台湾元)

バス停のすぐ前に紅毛城の入場口があり、若い女性が次々と入っていく。切符売り場には、「工事前の最後の機会なので入場無料」と貼り出されている。坂道を登っていくと、工事用のシートに覆われた建物(砦)が1棟と、その裏にまだシートが掛けられていない建物1棟(領事館)がある。17世紀にスペインが建て、オランダ、イギリスと引き継がれ、台湾政府に返還されたのは1980年のことだそうだ。館内1階には、イギリス領事館だった当時の調度品が並べられている。2階は、この場所が恋愛の聖地らしいので、それに関する展示。
なんで恋愛の聖地なんだろう…。

紅毛城

紅毛城 (領事館)
ふたたびバスで淡水站付近まで戻り、老街を見物。コンビニで休憩して、川沿いを歩く。対岸を結ぶ観光船が泥水のように濁った川を渡ってきて、ゴミが大量に浮く観光桟橋に接岸している。昨晩の夕立で上流からゴミが大量に掃きだれてきたのだろう。ジャンクフードの屋台には日本とは少し違った趣向のものが売っている。イカ焼きではなくイカの姿揚げとか、巨大なソフトクリームとか。市街地では食事になるような実用的なジャンクフードが多いが、ここでは単なるおやつにしかならないもののほうが多い。

淡水老街 中正路


■ 台北捷運 淡水站 → 台北車站 15:27 (50台湾元)

地下鉄で台北車站まで戻ってくる。高速鉄道駅の自動券売機で、明日から延伸されて開業する台北郊外の南港站の検索をしてみる。確かに、今日の予約はエラーで、明日は購入可能。台北郊外の町まで延伸してもそれほど価値があるとは思えないのだが、台北駅ではなく少しは土地に余裕のある南港站に折り返し用プラットホームを作ると、鉄道会社としては価値があるのかもしれない。

西門の一つ向こうの站にある艋舺龍山寺を見に行く。西門から店が沿道に立ち並ぶ地区を南西へ。10分ほど歩くと艋舺清水巌という小さいお寺がある。昨日参拝した保安宮と、この2つの寺をあわせて「台北の三大廟門」というらしい。その中では、清水巌だけが規模が小さすぎる気がする…。

艋舺龍山寺


さらに5分ほど歩くと南西へ行くと龍山寺がある。正面入り口の右側には巨大な人工滝が作られていて、水がたくさん流れ落ちている。観光的には特に珍しいものはなく、夕方にもかかわらずたくさんの参拝客を集めていると思った。龍山寺の近所にある自助餐で夕食。125台湾元。歩いて西門のほうへ。巨大なカルフールがあり、テナントにニトリが入っていると看板が出ている。中山通り沿いには、かつての本願寺の跡地に日本家屋を模した建物が復元されている。

■ 力欧時尚旅館 105号室 1085台湾元/日