2009/10/01

10月1日 ドレスデン

10月1日(木曜日)
■ ドレスデン

天気予報通り、今にも雨が振り出しそうな曇り空。市内交通の1日乗車券(4.5ユーロ、600円)をを使い、トラムで旧市街へ。ガイドブックやWikipediaによれば、ツヴィンガー宮殿、ドレスデン城、聖母教会などが有名という。

ドレスデン城は入場できるのか出来ないのか…、入り口すら見つからなかった。LonelyPlanetにもSchlossの記述は無いし、実際に城の中庭に通じる門から覗いたら、建築業者が盛んに作業中の模様。

まずはツヴィンガー宮殿へ。ザクセン国王が金に糸目をつけずに買い集めたといわれる、ネーデルラントやフランス、イタリアの中世絵画が大量に展示されているアルテ・マイスター(古典絵画館)へ。第二次大戦時に、岩塩鉱山などに避難させたりして助かったもののうち、ソ連による接収から返還されたもののみが現在残っているそうなので、本来はすごい数を保有していたんだろうね。

ドイツ人の高校生が美術の授業で来ていたり、ドイツ人だけでなく他の欧州諸国からの団体ツアー客が来ていたりと、すごく混雑している。日本から来た5人くらいの団体も、非常に控えめにガイドの後ろにくっついて歩いていた。

宮殿の屋上に登ると、ほんの一瞬だけ雲の切れ間から太陽が出たりする。

宮殿の美術館の入場券(10ユーロ、1300円)は、同じく宮殿の武器庫にも共通の入場券なので、武器庫にも行ってみる。

西洋風の「剣」に混じって、なぜか日本の「刀」が展示してあったりする。16世紀頃の回転式拳銃の展示は、まだ刀で切りあいをしていた戦国時代の日本と欧州とは、大分様子が違ったのだろうか。(まあ、拳銃が普及していたなら、射程距離の短い剣の出番は無かったわけで、剣の展示が多いという事は…)

絵画、武器ともに、このサイズの建物にコンパクトにまとまっていて、手っ取り早く見れる。でも10ユーロは高いのでは…  ルーブル美術館(入場料9ユーロ)やロンドン塔のホワイトタワーの武器展示の広さや量で比べるわけにも行かないんだろうけど。

ドレスデンの聖母教会
聖母教会


次に、聖母教会へ。空襲の後も燃え続け、数日後にドームが崩れ落ちたという。爆撃の衝撃では崩れなかったところが、18世紀には、このような巨大建築物を安定して建てられる実力があったって事なのだろう。

教会の横に、崩れ落ちたときのドームの一部分がそのままの状態で残されている。断面の厚さは1~2mもあって、思っていたよりはるかに厚い壁面になっているようだ。(それだけ重たいという事なので、よほど力学的に安定して作られてるんだろう。鉄の骨組とかまったく使わずに、石やレンガを積み上げただけなのにね)

外壁は損傷の少なかった石の一部がまだらにはめ込まれている。全体の数パーセントくらいだと思うけど、黒濃げになっているからとても目立つ。中に入ると、最新の塗壁になっていて、復元されているのは外部だけのようだ。

ドレスデンが、第二次大戦の破壊から街並みを復元したという事だが、それは城や宮殿、教会だけのようだ。ツヴィンガー宮殿の美術館には、かつてのドレスデンを描いた絵画があったが、聖母教会の周辺の建物は、三角に尖った前面を持つ5階建てくらいの建物に復刻すべきだけど、主要建築物以外は好き勝手にビルを建てて、昔風の色に塗っているだけのようだ。

その点においては、ポーランドのワルシャワ旧市街広場や、グダンスクの旧市街は、昔の絵画から完璧にすべての建物を復刻しているので、評価はできると思う。

昼食は、旧市街広場に出ているソーセージの露天でCurryWurstを食べる(2.5ユーロ、330円)。カレー味はベルリンの専売特許だと思っていたが、案外いろんな所で打っているのだろう。単にカレー粉を余分にかけているだけだから…

13時ごろ、城の入り口を探しに、カトリック大聖堂の横を歩いているときに、旧に強風が吹いて工事現場の砂埃が舞い上がり、直後に猛烈な雨が降ってきた。広場を歩いている観光客が屋根のあるところを求めて逃げまわっている。

30分ほど、カトリック大聖堂で雨やどり。ここも外部は古い部材で復刻しているけど、内部は新しい漆喰になっている。おそらく、鉄筋コンクリート建築なのでは… まるで、大阪城みたい。(大阪城は、外部も勝手な妄想で復刻した内外ともに完璧な偽物なので、こっちの教会の方が外だけでも本物に近いのは、すごいと思う)

一旦、ペンションに帰り、周辺をうろついてみる。トラム13系統の停留所にAltipischen Radhausとあるので、ここに市役所があるという事は、ドレスデン市ではないのか、それとも区役所なのか…

S-Bahnの駅がある。郊外の住宅街の中にあって、完全に忘れ去られたように、数十年前から放置されたような木造駅舎がある。張り出されている時刻表では、1時間に2本弱の列車が止まるようだ。近所の住民は、駅の下にあるバス停に大量に並んでいる。まあ、市内交通はトラムもバスもS-Bahnも同じ会社がやっているので、顧客ターゲットが違うんだろう。(競争しても仕方ないし)

20分に1本くらいしか来ない13系統のトラムで、新市街へ。新市街といっても、中世からある由緒ある市街地で、町の火災から復興させるために、中世の王様が「新市街」と名付けたらしい。新・旧なんて、つけるものじゃないね… 時代とともに、すべて古くなって、「新」の基準があやふやになるんで。


Centrum Galerieとプラガー通り


夕食は、中央駅近くのプラガー通り沿いに9月にオープンしたばかりのCentrum Galerieへ。2階のMediaMarkt(家電量販店)を覗いてみると、液晶テレビが大量展示してあり、ドイツ製がなかったりする。(フィリップスはオランダ製だし、あとはSamsung, LG, 東芝、パナソニック、SONYが目立った)

32インチ300ユーロ(4万円)くらいというのが、売れ筋のようで、ちょうどそのサイズを買っている人が居た。日本のメーカーはダンピング販売してるな…。日本国内はガラパゴス状態をいいことに、高いものを売りつけて、海外では安くお得なものを売る。 EUの報復関税まだですか…

日本と違うのは、ネットラジオ(著作権問題で日本ではまったく普及できない)や、各種フォトフレーム、B-CASカードがないから劇安のCS受信機(最安値は20ユーロ台)などがたくさん展示されていた。

HDTV出力を省いた廉価版の製品でも、B-CASカードや変な著作権管理ができる日本方式チューナーは、5000円もするので、この方式を採用した南米諸国は外れクジを引いたのか…。(どうせ、南米も日本メーカーじゃなく、韓国にチューナーやテレビを注文するので、安く買えるんだろうけど)

ドレスデン交通博物館に展示されている蒸気機関車
ドレスデン交通博物館に展示されている蒸気機関車