2011/10/05

10月5日 リューベック、キール

10月5日(水曜日)

リューベック2日目。今日も曇り。今にも雨が降りそうで降らない。8時、ホテルの朝食。1泊39ユーロはドイツでは多分安い方だが、ポーランドと比べてしまうとどうしても割高感がある。リューベック旧市街にはそれほどたくさんの見るべきものは無さそうだし、曇りでは写真撮影もほとんど不可能なので、どこか他のところに出かけることにする。なるべく、曇りでも問題ないコンテンツのところに…。



早朝のリューベック旧市街


リューベックはドイツ最北端の大都市といっていいほど、デンマークのすぐそばにある。中央駅にはデンマークのコペンハーゲン行きのインターシティが行き来しているくらいだ。GoolgeMapで見てみると、少し北にバルト海に面した港町キールがある。南の方ではリューネブルクが観光地だろうか。雨降りで景色撮影のリューネブルクは辛いので、郊外に海軍博物館があるキールにする。

9時6分の快速列車(RE)でキールまで1時間(運賃10.65ユーロ=1080円)。なだらかな丘陵地が続き、所々に大きな湖がある。ホルスタイン=スイス自然国立公園というのが、この辺りの丘陵地や湖の正式名称のようで、Wikipediaの解説によればスイスのような景色からその名前が付いたそうだ。ホルスタインは、あの乳牛の品種だろうか…。天気がよければ、とんでもなく綺麗な車窓なんだろうね。



キール中央駅に到着


キールでバスに乗り換え。Wikipediaによれば、海軍博物館はキールの郊外のラボーという町にあるという。駅前の市バス乗り場でラボー行きを探すと、100系統と102系統の2つが走っている。102は高速道路経由なので速そうだが、今日はどうも走っていない模様。30分おきにやって来る100系統に乗る。運賃2.9ユーロ。GoogleMapの経路検索では18kmほどだが、周辺の小さな町に寄りながら走るので、40分ほど掛かる。

バスを降りるときに、Uボート博物館はどっち方向かバスの運転手に聞いて、砂浜沿いにそっちの方向(バス停から北向き)に歩く。キール湾に面した砂浜には、海水浴の時の「ドイツ風の風除け」がたくさん置かれている。もう、海水浴季節じゃないので、どれも人が入れないように木のフェンスが取り付けられている。今は、海水浴じゃなくて、カイトサーフィンの季節のようだ。ドイツでも風の強いこの地域、もちろん今はやりの風力発電の風車もたくさん建っているが、ウインドサーフィンやカイトサーフィンも強い風で快適に遊べるのだろう。海岸沿いを歩いて博物館に向かう私には、たんなる向かい風に過ぎないが…



砂浜の沖を貨物船がひっきりなしに通過する


キール湾でカイトサーフィンをする人


バス停のあるマリーナのところから1.2km、海軍メモリアルの巨大なレンガ造りのタワーの袂の砂浜に、小型のUボートVII型が展示されている。まあ、小型の潜水艦なので砂浜に無造作に置いておくことが出来るのだろうね。海軍メモリアルとUボートの入場料7.5ユーロ(750円)。小さい子供を連れた家族が見に来ている。子供にも軍事技術をちゃんと説明して見せるのは、まっとうな常識を持つにはいい教育だと思う。第二次大戦で戦闘任務に着いたUボートのうち、現存(展示されている)するのは4隻。うちドイツ国内には2隻あり、そのうちの1隻がラボーに展示されているVII型のU-995号だ。自国での展示ということで、艦内も念入りに修復展示されていて、主要な機器には説明パネルまで付いている念の入れようだ。



キール湾の砂浜に展示されているU-995


U-995 艦橋の潜望鏡コントローラ


U-995 左舷ディーゼルエンジン


U-995 艦橋の左舷・右舷 推進装置モード設定


計器から読み取った限りでは、速力メーターは最大25ノット、最大深度は250メートル、ラダー角度は±30度。バッテリーの最大出力は800アンペア(7.6ノットで航行出来るそうだ)。艦内は、小型Uボートということで、かなり狭い。乗組員のベッドの所に魚雷を置くようになっていて、これではまともに寝れんでしょう…。通信室は独立した部屋になっているけど、ソナー員の独立部屋は無かったので、どこで聞いていたんでしょうかね。

海軍メモリアルにも行ってみる。まず、高い塔の中に入ると、第一次大戦と第二次大戦で犠牲になったドイツ海軍艦や商船の数が壁一面に描かれている。2回とも敗戦国だったので、膨大な数の船が沈められて犠牲者もたくさん出たのだろう。歴代の海軍旗の展示もされていて、ドイツ国内では使用が禁止されている鍵十字のものや、かつての東ドイツ海軍の旗も展示されている。エレベーターで高さ60mほどの屋上に登ると、周辺の村々が一望できる。曇りなので、それほど感激するような景色じゃないけど。

13時2分のバスでキールに戻る。途中から小学生から高校生まで、学校が終わって帰宅する生徒が大量に乗り込んでくる。この辺りの学校は、13時に終わるんですか…。バスは、キールからリューベック行きの列車の出発時刻に少し遅れてキール中央駅前に到着。乗り継ぎを全く考えていない…。列車は1時間に1本なので、キール市街地を散策する。

第二次大戦の空爆でほとんどは解された後、近代的な都市に完璧に造りかえられている。ポーランドのように、かつての資料に忠実に旧市街を復元しようという意識は、多分無いのだろう。駅前は港になっていて、ステナラインの巨大なフェリーが停泊している。ノルウェーのヨーテボリとの間を結ぶ55,000トンの巨大客船だ。

駅のすぐ西側にあるショッピングモールに沿って北へ。しばらく行くと「新市庁舎」と書かれたビルがある。「新」があるなら「旧」もあるだろうと、もう少し北に行ってみると、巨大な時計塔を持つ「旧市庁舎」がある。旧といっても、戦後に建てられたものなのだろうけど…。



キール旧市庁舎


14時44分発の列車でリューベックに戻る。聖ペトリ教会の尖塔に登る。入場料3ユーロ。頂上までエレベーターが付いている。旧市街はそれほど大きくないけど、塔の上から見下ろしてみると、たくさんの教会があるのが分かる。もう夕方なので、博物館などは全て閉館している時間だが、教会なら… 多分は入れるだろうということで、一つずつ回ってみる。一番大きいマリエン教会は閉館3分前に行くと、無料で見学させてくれた。ただし、3分だけと…。それほど凝った内装というわけでも無い。次に、ヤコビ教会。やたらフラッシュを使って写真を撮影しているロシア語らしき言葉を話す観光客が居た。町の北の端の門は、旧市街を囲んでいた城壁の一部が残っている。



旧市街北側の塔門


ヤコビ教会


泊まっているホテルの近くの大聖堂にたどり着くころには、暗くなってしまう。もちろん、中に入ることは出来ない。